2人の精霊
―遡ること数刻前―
「スコット。殿下が蒼炎で世界樹様を覆ったということは…」
「ああ。まだ望みはあるって事だな。世界樹の爺様は、後はないという顔をしていたが…」
カメリアとスコット。精霊の二人は、蒼炎が燃え盛る世界樹の大きな虚の中で、その様子を仰ぎ見ながら話をしていた。果たして、できることがあるのか。世界樹自身が諦めているのだから、もう手の施しようがないのでは。2人の頭の中では、考えが浮かんでは消え。浮かんでは消え。思考の堂々巡りをしていた。
「――――考えていても仕方ありませんね。私は世界樹様を調べますので…」
「俺ぁ土を調べる。なにかわかったら――――」
「ええ」
思考するよりも行動を選んだ2人は、それぞれの得意分野において行動することに決めた。
最初に異変を見つけたのは――――。
○
「ん?なんだ…?これは…」
スコットは土に手を当て、どんな小さな違和感でもいい。なにか無いかと探していると、表層より少し下。根との境目にいくつかの異物を見つけた。
「気持ちわりぃな…何だこりゃ…。ここだけ…ってこたぁねぇよな…うっし!」
彼は気合を入れ直し、根が広がる部分全てに違和感を見つけるよう意識を研ぎ澄ませた。するとどうだろう…無数の違和感が見つかった。ただ、どれも虚の中だけに広がっており、外には広がっていなかった。これが違和感の元か。そう思ったスコットであったが、とりあえずカメリアが戻ってくるのを待って、行動しようと決め、探索範囲を広めて外の情報を土を通して集め始めた―――――。
○
世界樹の内部を調べることに決めたカメリアは、手を当て、道管に違和感を見つけた。
「これは…どう考えてもおかしい量の毒素が流れている…。でもなぜ?一部だけが送り込んでいるのかしら…」
カメリアもどうやら違和感を見つけた。その違和感は、やはり虚の下に伸びている根だけが吸い上げている毒素だ。他の部分に伸びる根からは毒素の吸い上げがなされていない。そんな違和感にたどり着いた。
「だから殿下は、蒼炎で…」
見上げると、蒼い火が燃えている。熱を感じない不思議な炎。何かを燃すためだけに機能しているのは明白。
「これは、スコットに知らせなければ…」
カメリアは地面にいるスコットに知らせるべく、樹の中腹から降りていった。




