尖塔の上で
アルフレッドがエルリエッタに向けて解除の呪文を放つ。すると、今まで幼かった彼女の容姿がみるみる大人の姿へと変貌を遂げる。身長は、アルフレッドより頭一つ分低いものの、女性としては高く、細く切れ長の目は、一見神経質に見えるが藍色の瞳の奥に宿る暖かな眼差しが宿っているため、優しげな印象を相手に与える。髪は、腰のあたりまで伸ばしている。瞳と同じ藍色である艷やかなものだ。
「やっと・・・元の姿に戻れました。ありがとうございます。アルト様」
「なんか久々だな。その名で呼ばれるのも」
「ふふ。このような騒ぎでなければ「んん」んもぅ・・・少しぐらい良いではありませんか!」
「良いも悪いも、時と場を読むのじゃ!して、アルよ。改めて話を聞いても良いかの?」
「うん。エルにも聞いてほしいからね」
「はい」「うむ」
「この事態を招いたのは――――――――」
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「なんと!そのようなことが・・・。―――――あい分かった」
「話が早くて助かるよ」
どんなに高いところ。人の手が及ばぬところでも声を拾われてしまうかもしれない。高度な結界を張っていたとしても、ふとした油断が命取りになる。また、エルリエッタが味方であるとも限らないため、口と念話の両方で二人はやり取りをしていた。
当のエルリエッタは慣れてきたのか、尖塔からの景色を見て、時折感嘆の声を出すのみで、二人の会話に入ることはなかった。アルフレッドは、そんな様子の彼女を視界に収めつつエレンと情報共有を行った。
「・・・っとまぁこんなところかな。ところで、エル!」
「―――ッ!はっ・・・はい!」
「・・・高いところからの景色は珍しいかい?」
「すっ・・・すみません。アルベロ王国王都をこの高さから見たのは、久々でしたから・・・」
「そっか。前回はたしか・・・」
「二百年程前だったかと」
「それから比べると、だいぶ発展しているかな」
「ええ。それはもう。また、こちらに来ていただいて、御指南いただきたいくらいです」
「この騒動が解決したら、考えておくよ。さてと。エルをここに連れてきてもらった訳を話さないとね」
「はい。と言いましても、大体の察しは付きました。
「ほう。それはなぜじゃ?」
察しがついた。その一言に、鋭い目線と言葉をかけるエレン。
「アルフレッド様に姿を戻していただけたことが要因です」
「して、何がわかったのかの?」
「それは――――」
思いを述べ始めようとするエルリエッタ。彼女の口から伝えられたのは――――――。




