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あるエルフの都市作り  作者: 沙河泉
王都擾乱
151/213

第八地区

「誰かっ!誰か来て!」


「こっちは応急処置の道具が足りない!」


「治癒魔法師がまた一人倒れたっ!」


「回復薬はまだかっ!」


住宅街の中央広場に設けられた臨時の避難所。そこは戦場と化していた。森人族は、世界樹の根を使い、その恩恵に与る形で集合住宅を築いていた。もちろん木を一切傷つけることのない形で。森人族の為せる技なのであるが、今回に限っては裏目に出てしまった。


今は蒼い炎で不動を保っているが、炎に覆われる前は、人が立ってはいられない程の揺れ方をしたのだ。幸いにも投げ出された者は居なかったが、揺れによって飛来したり落下した家財道具によって傷ついた人々が大勢いたのだ。


「くそっ!あの炎に覆われる前に出た被害が大きすぎる・・・」


「ですが、隊長。あの炎によって多くの命が守られたのも事実です」


「あぁ。んなこたぁわかってるんだ。わかってはいるんだが・・・」


「それよりもまず・・・」


「また治癒魔法師が倒れたぞ!早く魔力回復薬を!」


「だぁぁ・・・!応援は!?まだ来ないのかっ!」


「近隣地区も皆被害にあっています。応援は望めないかと・・・」


「くそっ!大半の魔力回復薬が使い物になってないとは・・・」


「根が暴れたといい、薬の保存魔法が意図的に消されていたといい・・・これは何者かが仕組んだ・・・」


「そんなこたぁお上が考えることだ。怪我人は軽症。普段なら寸刻で終わる対応が、魔力回復薬無しでこの様だ。作れるやつは、回復薬を精製!回復魔法が使えるやつは、救護班の手伝いを!無理なやつは逃げ遅れがいないか確認!第八地区衛士隊動けッ!」


「「「ハッ!」」」


「軽症者しか居ないってのは・・・良いことではあるが・・・」


衛士隊の隊長は、目の前の阿鼻叫喚の世界にため息を付きつつ回復薬の精製を行うのであった。救援が必ず来ると信じて。

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