表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あるエルフの都市作り  作者: 沙河泉
王都擾乱
149/213

エルとエレン③

「はへ」


エルの話を聞き、なんとも素っ頓狂な表情をしたのはエレンだった。対するエルは、顔を茹で蛸のように真っ赤にして、俯いている始末。沈黙がエレンの執務室を覆う・・・。先に口を開いたのは、この部屋の主であった。


「じゅ・・・術が強くかかりすぎた・・・。自己暗示の魔法であろう?記憶まで蓋をするような事態にはならんと思うのじゃが・・・」


エレンの言うことはもっともだ。通常、自分に魔法をかけるときには、無意識に制限をかける。治癒魔法が第三者にかかりやすく、自己にはかかりにくいと言ったように。自分の魔力に抵抗があると言った方が良いかもしれない。一度外に出た魔力を自己に取り込もうとすると、過剰な負荷が身体に掛かる。そのための自己防衛機能だ。


「・・・お恥ずかしい話・・・。私・・・偶々。本当に偶然に・・・龍脈の上で自己暗示魔法をかけてしまったのです・・・」


「なんとまぁ・・・」


「歩きながら・・・それこそ、鼻歌を歌いながら魔法をかけたのです・・・。今考えれば、自惚れていたのでしょう。魔法の扱いに長けている一族だからと」


「その自負が、エル自身に返ってきた・・・と」


「・・・その通りです」


「たはぁ・・・それでは誰にも見抜けんわ!それで?記憶を無くした後、件の商人に拾われて、今にいたる・・・と」


「はい・・・。自己暗示をかける前に、身体変化をしていたので・・・服を着替えていたのはいいのですが・・・ワンワン泣きながら森から出てきて驚いた。と言われました」


「・・・森を彷徨っていたから服が破れ、戦争孤児と見られた」


「その通りのようです」


「記憶が発露したのは?」


「この部屋に入る少し前からですが、意識が戻ってきたのは、エレン様招いてくださった、この部屋のお陰となります」


「ふむ・・・不幸中の幸いと言ったところかの」


「この度は、ありがとうございます」


「なんの!楽しい話も聞かせてもらったからの!それでお相子じゃ!」


そうにやにやと笑みを浮かべながらエレンが答えると、エルはまた顔を真っ赤にして俯いた。少し打ち解けられたか。そう考え、エレンはエルをこの部屋に招いた本当の理由を話し始めた。


「エルよ。一つ聞きたいのじゃが」


「・・・はい」


「ミュール。と言う名を聞いたことはないかの?」


「ミュール・・・ミュール・・・」


エレンの口から出た名前をぶつぶつと呟くエル。少し、時間がかかるか。そう考え、エレンは冷めてしまったお茶を変えようと動く。


「あぁ!」


「うおぁ!あっつぅ・・・」


「すっすみません・・・」


「いやっ良い・・・氷魔法・・・ふう。それで?」


エルは心当たりがあったようで、大声を上げた。調度、エレンがお茶を器に注いでいるときであり、声に驚いたエレンが注ぎ口を動かし、自身の手にかけてしまった・・・。すかさず氷魔法で冷やしてはいるが。


「ミュールは、本当の名前ではありません」


「ほぅ」


「私の記憶が正しければ・・・」


その時、エレンの執務室の扉が強く叩かれた─────。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ