エルとエレン②
「なっ・・・何のことかなぁ。エルはエルだよ」
少し顔を引きつりながらも、片目をつむりアピールするエル。以前アルに見せた天真爛漫な笑顔や振る舞いはそこにはない。冷や汗をかきばつが悪そうな表情をエレンに向けている。
「はぁ・・・。よくここまで露見しなかったものじゃ。素直に賞賛するのじゃ。」
「うぅ・・・。アルフレッド殿ですら欺けたというのに・・・」
どうやら初見でアルフレッドに露見しなかったことに自信をつけ、エレンも欺くことが出来るだろうと考え、この部屋まで着いてきたようであった。
「はぁ・・・。まぁアルは自分の家と言うこともあり、探知魔法をそこまで強くはしておらんかったのじゃろう。しかしだ。この部屋はワシとアルの2人で築いた強固な魔法が施されて居るからな」
「うぅ・・・」
「まぁ。ワシもこの部屋に招き入れるまでは、見破れなかったのじゃ。それは誇って良いとは思う」
「───!」
エルの沈んだ顔が一転、エレンの言葉によって華やいだ。それこそ、天真爛漫な笑顔に。しかし、エレンの次の一言でまたその表情を曇らせてしまう。
「しかし。何故に記憶を無くしておったのじゃ?」
「そっ・・・それは・・・」
「記憶を保持して居れば、倉庫にいた時点でアルに助力を頼むことも出来たであろうに」
エレンの純粋な疑問からの問いに黙るエル。
「・・・術が・・・」
「ん?斯様に小さな声では聞き取れんのじゃ」
エルの蚊の鳴くような声に、先を促すエレン。ブツブツと言葉を紡ぐエルに対し、若干の苛立ちを感じていた。
「術が強くかかりすぎたんです!」




