青き炎
「殿下!御前に失礼いたします」
青い炎を上げている世界樹の前に佇むアルフレッドに1人の近衛兵が報告にきた。
「・・・報告を」
彼は正面を見据えながらも確りとした声で報告に来た兵に声をかけた。
「ハッ!国王陛下を含めまして、会場に居りました全ての方の避難が完了いたしました。また・・・」
「・・・続けてくれ」
「ハッ。集合住宅の住民の避難も殿下のお力で、死傷者なく完了いたしております」
「そう・・・か」
なおも青く燃え盛る樹から目を離さずに応答をするアルフレッド。近衛兵は、目線がないにも関わらず頭を下げたまま報告を続けた。
「ただ・・・」
「ん?」
一瞬報告が言い淀んだ。それに訝しんだアルフレッドは兵に向き直り、膝を折り目線を合わせた。
「・・・無理をさせたようだね。治癒を今かけたから立ち上がって、報告をしてくれるかい」
「あっ・・・ありがとうございます。光栄の至り・・・」
「この非常事態に無理をさせたのはこちらだ。畏まらなくて言いよ」
アルフレッドが向き直ったそこには、鎧を脱ぎ避難誘導をしていたのであろう。服の所々が黒く焦げ、そこから覗き見える火傷や、腕や足、顔から出血をしたまだ若い男性の兵であった。
彼の怪我にも気付くことが出来なかった。と反省しながら、彼に治癒魔法をかけ立ち上がらせた。流石に失った血液は戻せない。立ち上がる際に転んではと肩を貸し立ち上がらせた。彼は小さな声で、おぉぉ。と言っていたが、そこは聞こえないふりをして、報告の続きを促した。
「恐れ入ります。報告の続きですが、殿下と一緒にいらしていたプルーナ様とご一緒にいらっしゃった少女が見当たらないのです」
「えっ!ミュールが?」
「・・・申し訳ありません。名前までは存じ上げず。プルーナ様も探されて居りましたが。避難を優先するために、特徴を伺い会場避難誘導担当の部隊に伝えて・・・」
「・・・わかった。後は引き継ぐから・・・っと君は・・・ミニオだったか」
「ハッ!近衛師団二番隊什長のミニオであります!名前を覚えていただき光栄であります」
「うん。今は緊急事態だからね」
「申し訳ありません」
「では、ミニオ。什長章を」
「ハッ!」
そう言って、アルフレッドはミニオから階級章を預かり、魔力を付与した。これで彼は、他の兵から何か訪ねられた際、階級章を見せることにより王太子の命により動いていることが解るようになった。将官から一兵卒にいたるまで支給されている階級章。偽造できないよう本人の魔力と所属部隊を記録する。それの情報を書き換えられるのは、軍務省にある機器と王族のみ。これにより、ミニオは特務兵となり、王太子若しくは国王からの命令のみを遂行する存在となった。
「君はこれから、王太子直下の特務兵としてエレンを探しこう告げて欲しい。『エルを探せ』と」
「ハッ!伝令しかと承りました」
「頼んだ」
話している間にミニオは体力を回復させていたため、直ぐに走り目的の人物まで駆けていった。流石は近衛兵と言ったところか。そう思いながらアルフレッドは、スコットとカメリアに要件を伝えて、転移した。恭しく礼をした2人の先に見える青い炎を見据えながら────。




