史と伝記
プルーナにプルーノ・・・名前がややこしくてすみません・・・。
プルーノ司書が呼び出した本は、ある普人族の昔話であった。文字の多いものではなく、絵で動きや場面転換が図られている本だ。
「この本は最近書き直されたもので、絵が少しだけ動くのですじゃ」
そう言われて手渡された本を開いたミュール。中を見た途端に目を輝かせ、プルーノ司書を上目遣いで見つめる。
「・・・すごい!」
「ほっほ!この種の本は沢山有りますのじゃ。たって読むのは辛いですし床は冷たすぎるので、椅子を用意しますですじゃ」
手を2回ポンポンと叩くと、ミュールの背丈に合った椅子と机がやってきた。いそいそと椅子に座り、本を机に置いて読み始めるミュール。室内は本に直接日光が当たらないように工夫されながらも、自然光を取り入れている造りだ。当然建築には彼が関わっているのだが・・・。
「さて。プルーナ様のお探しの本はどのような物になりますかな?」
「えっと・・・」
気になることは沢山有る。それでもやはり自分で調べなければ、自分が識らなければと思うこと。本人に知られたとえ拒絶されたとしても・・・。
「アタシは・・・。あるく・・・アルフレッド殿下の軌跡を書かれた歴史書を・・・」
「ほぉ───」
プルーナの口から出た言葉を聞いて目を見開くプルーノ。
「畏まりましたですじゃ。しばらくお待ちくだされ」
と言うとプルーノ司書は、手を指揮者のように一振り。すると本自体の幅が図鑑以上に広く、1000頁は有るであろう本が2冊。それとは異なり、小説程度の大きさの500頁ほどの本が1冊その場に飛んできてふわりと、一緒にやってきた机の上に着地した。
「分厚い物がこの国の成り立ちから現在に至るまでの詳細を記した歴史書となりますのじゃ。対して半分程度の厚さのこちらは殿下の活躍のみを記した物。所謂伝記になりますのじゃ」
「じゃぁ・・・」
プルーナは少しの間逡巡していたが、やはりアルフレッドの事が気になるのか、伝記を選び読書を始めた。
「ほっほ。2人とも静かに読まれる」
静かに頁をめくる音が響き始めた。その時、上階の方から叫び声と共に、ドンと鈍い音が響いた。幸い2人は読書に集中しており、気にもとめない様子ではあったが、プルーノはやれやれと頭を振って、音の発生源で有るエレンの居る場へと、飛んで向かって行った。
アルフレッドの伝記は、とある人物が趣味で書き残した物。趣味といえども、その内容は詳細に書かれている。一体誰が書いたのか・・・。兎にも角にもアルフレッドの軌跡を纏めた書というものは、世界広しと言えどもこの図書室に1冊しかない。普段は誰の目にも触れない場に置いてあるモノではあるのだが、どうやらプルーナはこの本に出会うことが叶った。人との繋がり。縁というものは、幾重にも重なり時には解け。また新たな縁を紡いでいく。
森人族の多くが知らない、アル王子の昔話。彼は自分語りを好まない。第三者目線で書かれてはいるものの、事実と異なることはない。そう本人が太鼓判を押すその伝記。
果たしてプルーナにどのような影響を齎すのであろうか────。
次回から少しの間。過去の物語になります。やっと・・・二次創作にした意味が出てくる・・・。




