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あるエルフの都市作り  作者: 沙河泉
立太子の儀
126/213

図書室

話は王宮に戻り・・・。


「おはようございます。アルフレッド様」

「・・・」

「お・は・よ・う・ご・ざ・い・ま・す!」

「わぁぁぁ!耳許でそんなに大きな声を出さないでくれ・・・」

「起きない方が悪いのです」

「いや・・・だって・・・」

「まったく・・・」


アルフレッドは、自身の部屋で寝ることができなかったため、執務室の長椅子で寝ていた。寝付くまで相当時間がかかり、寝たのも2刻前であった。

──身長に対し、椅子の長さが足りない──

身長が高い故につきまとう問題でもある・・・。私室にはミュールとプルーナが寝ていたので仕方ないと言えば仕方ないのだが・・・。


「んんー。身体があちこち痛い・・・。〖治癒〗・・・。うん。これで良し。隣の2人は?」

「既に起きて食堂で朝食を」

「そうか。ミュールは大丈夫そうという事だね」

「はい。アルフレッド様、お召し物に皺が」

「あぁ。ごめん」


カレンが服の皺を指摘し、アルフレッドが指を軽く鳴らすと、皺一つ無い服に早戻り。

──時空魔法の無駄遣いですね──

と言うカレンの心の声はアルフレッドには届かず。当の本人は食堂へと向かった。



「おはよう。2人とも」

「おはよう!アルくん!」

「・・・おはよう」

「アルフレッド様。・・・ただいまお料理を、お持ちいたします」

「頼むね」

「あれ?カレンちゃんは?」

「ん?カレンも王宮の中だと色々と仕事があるからね」

「流石は侍女長。でも、アルくんと一緒に居ることが多いと思うけど・・・」

「普段は、執事長が総てを取り仕切ってるのだけれど、一昨日から別件で仕事をしているみたいでね」

「ふーん」

「逢えたら良いのだけれど・・・あっ。ありがとう。プルーナさんとも気が合うと思うよ。なんせ好々爺を絵に描いたような人物だから」

「・・・絵に描いたような好々爺・・・。聞くだけで優しい人ってわかる」

「うん!事実、一度も怒られたことはないかな。やんわりと窘められる位だね」

「おおー!」

「それにしても・・・ミュールの食欲は凄いね」


2人が話している間、黙々と出された食事を食べ続けていたミュール。その小さな身体のどこに入っているのか分からないほどに、皿が出されては下げられを繰り返していた。出された食事総てに目を輝かせて、美味しそうに食べるその姿は、見ている側としても、提供している側としても微笑ましい姿であることは間違いない。


プルーナとアルフレッドが食事を終え、食休みに紅茶を飲んでいると、食堂の扉が開く音がした。


「ふわぁぁ・・・おはよう。アルにプルーナ。あと・・・あぁ。ミュール」

「「おはよう」」

「・・・おはよう・・・ございます」

「エレン様。こちらに」

「うむ。食事は良い。紅茶を頼む」

「畏まりました」

「ええぇ!朝ご飯食べないと元気でないよ!?」

「あうわぁ・・・朝から大きな声をださんでほしいのじゃ・・・」

「あう・・・ごめん」

「エレンは、朝食を抜いても差し支えない体質だから大丈夫。それより・・・どうしたの?」

「ああ。何時ぞやのエルという娘の体質に関してなにか参考になる資料はないかとおもうてな」

「あの娘か!それで・・・何か分かった?」

「いくつか参考になる文献の目星はついたのじゃが・・・直接本人を解析せねばならぬな」

「そっか。それじゃぁエルたちには声を私からかけておくよ。詰め所でいい?」

「いや。あやつらは搬入口付近に詰めておるのだろう?迎えに行くから待っていてほしいと伝えておいてくれ」

「わかった。それじゃぁプルーナさん失礼するね。ミュールも美味しいからって食べすぎは良くないからね」

「はぁい!」「(コク)」


2人と給仕に声をかけ、食堂から退室していったアルフレッド。その代わりに今度はエレンが口を開く。


「そうじゃプルーナ。以前言ったあそこに今日は行ってみるか?」

「ん?」

「図書室じゃ。少しばかりきな臭いのでな。王立図書館に案内はできんが、そこよりも歴史あふれる王宮内の図書室に案内しようぞ」

「本当!?それは嬉しいな!」

「うむ!ミュールも着いてくるか?」

「うゅ・・・字。少ししか読めないけど・・・」

「案ずるな。絵が多い本もたくさんある」

「ほんと?なら・・・プルーナお姉ちゃんが行くなら、一緒に行く!」

「うんうん!一緒に行こう!」

「よしっ。そうと決まれば出発じゃ!」

「「おぉー!───ごちそうさまでした!」」

「はい。エレン様。昼食は、図書室前の庭にご用意させていただいても?」

「うむ。頼むのじゃ」

「畏まりました。お昼頃にまた伝声をお願い致します」

「わかった。それじゃぁ行こうかのう」

「「はぁい!」」




食堂を出て、庭に降りると目の前には石造りの建物があった。平屋式の建物であり、大凡事前に聞いていたたくさんの本があるとは思えない見た目だった。


「ふむ。最初は誰しもがそういう顔をするのじゃよ」

「えっ!顔に出てた!?」

「うむ」

「お姉ちゃん、えっ?って言うお顔をしていたよ?」

「うそっ!」

「そういうミュールもじゃがな。さっ入ろうぞ」


人2人が並んで通れる両開きの扉を一枚くぐると、中は1米四方の何もない小部屋であった。


「なにも・・・ないよ?」

「まぁそう慌てるな」


ミュールが不安そうにエレンに尋ねるも、当の本人はどこ吹く風。入ってきた扉を閉めた。その時・・・。


「きゃっ!」


大きな音と共に部屋の床が下がっていく。天井は高くなっていく一方だ。不思議な浮遊感がほんの数秒続くと、今度は目の前に扉が現れそれと同時に床も停止した。


「さぁ着いたぞ」


そう言って扉を開けると、先が見えない高さの本棚に、そこかしこを飛び交う本。見たこともない光景に固まるプルーナとミュール。


「誰しもがおいそれとは入れる場所ではない。その事だけは覚えておいてくれると助かるのじゃ」

「「(コクコクコク)」」


エレンの声が響き渡る。外からは想像できない広さに驚きを隠せない2人。その時、奥の方から足音が聞こえてきた。


「おぉ!エレン殿。先程ぶりですな」

「プレーノ司書。この2人が先程話していた」

「プルーナです」「ミュールです」

「おぉ。2人ともおはようございますですじゃ。わしがこの図書室の司書であるプレーノですじゃ」

「プレーノは、司書の傍らで、歴史書の編纂も行っておる。気になることや見たい本に関しては彼に聞くと良い。ミュールも頼めば絵本を出してくれるから、遠慮無く頼むのじゃぞ。それじゃぁワシはまだ調べることが有るのでな。昼頃にまた」

「うん!」「はぁい」


エレンは2人をプレーノ司書に託し、螺旋階段を登って行ってしまった。


「よろしくお願いします!」「ます!」

「ええええ!こちらこそ!ではまず、ミュール様が好まれる本から出していきましょう───」

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