男から聞いたこと①
スコットの店から転移してきたアルフレッドたち。転移先はいつものように地下室である。
「うゅ・・・もうよる?」
「ん?暗いところに来たし、疲れてるよね。・・・眠くなっちゃったかな?」
「(コク)」
怒濤の一日を過ごしたミュールは、すっかり疲れている様子。彼女はプルーナに懐いたようでずっと右手を握っている。
「仕方ありません。アル様、寝台に寝かせてもよろしいでしょうか」
「うん。良いよ。お願いできるかな」
「では。ミュール、こちらへ」
「(フルフル)」
「ミュールちゃん。アタシが抱っこしてあげるから、一緒に行こう?」
「(コク)」
「・・・嫌われてしまいましたか───」
若干落ち込むカレンであったが、気を取り直してミュールを抱きかかえたプルーナとともに先に上へと登っていった。
「やれやれ。さぁ僕たちも上に行こうか」
「アル。その前に、魔法を解かないと」
「あっ!そうだね。───っとこれで良し」
「・・・うむ。それでは上に行くのじゃ」
アルフレッドとエレンは地下で魔法を解き、上の階へと登っていった。部屋に着くと、ちょうどプルーナがミュールを寝かしつけているところであったので、なるべく音を立てないように室内へと入っていった。
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「おっ!アルくん。やっぱり元の姿の方がいいなぁ」
「ありがとうプルーナさん」
「ワシはどうなのじゃ?」
「うぅん・・・。見た目以外で変化はない・・・。あれ?口調が変わってる?」
「今気づくのか・・・。ハァ・・・」
「まぁまぁ。エレンはエレンらしくだよ」
「あるぅ!!ありがとうなのじゃぁ!」
「しー!そんなに大きな声を出すと、ミュールちゃんが起きちゃうよ」
「すっ・・・すまぬ」
「もぅ」
その時、静かに廊下に面した扉が開き元の姿に戻ったカレンが部屋に入ってきた。
「皆様。アルフレッド様の執務室にお茶のご用意が済んでおりますので」
「ありがとうカレン」
アルフレッドは、カレンに感謝を述べつつ自身の寝台に目を向ける。
「ご安心ください。手の者に話を通しておりますので」
「何から何まで済まないね。それじゃ2人とも部屋を移動しようか」
「はぁい」「うむ」
部屋を移動と言っても、廊下で隔てられているわけではなく、扉一枚隣の部屋だ。ただし、そこは王族専用の部屋。警備機構も充実しているため、その部屋の主のみがその扉を開くことができる。
「おぉ・・・これがアルくんの執務室。カレンちゃんが廊下を通って戻ってきたってことは、この扉はアルくんにしか開けられないんだね」
「御名答!だから、防犯も完璧さ」
アルフレッドの執務室。プルーナの目に飛び込んだのは、暗い茶色の木材で統一された上品な部屋であった。調度品は少なく、代わりに経済学や地理。魔法書などの本が壁一面に整然と並べられていた。足元には。紅色の絨毯が敷かれ、部屋の中心には長机が置いてある。幅は60糎程。片面に3人がそれぞれ掛けられる椅子が。両端には2人がそれぞれかけられる椅子が配置されている。椅子の表装は臙脂色。木枠はやはり暗い茶色である。しかし、室内が暗いという印象はない。それは、壁と天井に設置されている光源と、アルフレッドが普段座っているであろう執務机の背後にある大きな窓のおかげであろう。
「しっかし・・・豪華だね」
「そりゃぁそうじゃろう。この国の第一王子なんじゃから」
「そっか。そうだよね。やることも多いよね」
「まぁ。あまりあの机に座って執務を行う姿は見られませんけどね」
「うっ・・・まっまぁ・・・そんなことより」
「(逃げた)」
アルフレッドは、一呼吸置きスッと目を細めて、口を開いた。
「あの首班の男が言っていたことなんだけれど・・・」
雰囲気を変えたアルフレッドの言葉に飲まれる3人。
「っと。その前に・・・。せっかくカレンがお茶を入れてくれたからさ。座ってみんなで一息つこう」
「うっうん・・・(なんだか拍子抜けしちゃうな)」
「まっそうじゃな。立って聞けるような話ではないからのう」
「そうなのですか?」
「うむ。カレンもプルーナも温室にいたからのぅ。とりあえずアルからの話を聞こうぞ」
お茶で口を湿らせたアルフレッドは、再度口を開き首班の男から聞き出した話を皆に始めた。




