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あるエルフの都市作り  作者: 沙河泉
立太子の儀
121/213

破落戸制圧③

「かしらぁ!はいってみてくだせぇ」


少し酔いに似た声音で中から呼ばれた首班の男。

その様子を訝しげ思いながら、注意深く中を覗いた。


「おっ?おお?おいっここは植物を扱ってる店じゃなかったのか!?一体どういうことだ・・・」


男の目の前に見えているのは、大凡植物点で扱っている物ではない。貴金属店。それも貴族外で取り扱われているような宝石類が見られた。


「こりやぁ・・・あのガキよりも・・・いやいやっ!命あっての物種だ。・・・ただ、惜しいな。おい!おめぇら!中に入って物を運び出すんだ!」

「「「へいっ!」」」


男は、外に待機させていた部下たちを店の中に入れ、目の前にある宝石類を運び出そうと準備を始めた。といっても、子ども1人を運ぶために用意した袋1つ。入る量は限られている。だが、店の者は逃げているのか見当たらない。


見張りを立ててもう一度準備を整えてこの店に来よう。そう考えを巡らせ、店内の宝石類を物色し始めた。


それが幻影とは気づかずに─────。




「っとまぁ大体こんなところかな」


目の前で幸せそうに顔を緩めながら寝転がる首班の男を指さしながら話すアルフレッド。


「縛ってしまってよろしいですか」

「うん。お願い」

「畏ま「ちょぉっとまった!」し・・・?」

「どうしたの?スコットさん」


「ここは植物店だ」


そうスコットが言い指を鳴らすと、鉢植えから蔓が伸びてきて、あっという間に男たちを縛り上げた。


「おぉ!さすがスコットさん」

「いやぁ・・・照れるぜ。それよりもよ・・・」

「うん。アタシも気になってるんだけど・・・」


スコットとプルーナの目線の先には、店の外に佇む1任の男性。どうやら獣人らしく、特徴的な耳が見てとれた。その男性は、2人の目線に気が付くと目礼をしてその場を静かに去って行った。


「・・・あのひとだ」

「ん?どうしたのミュールちゃん」

「あのひと!ミュールが結ばれていた紐を切ってくれたひと!」

「うえ?そうなの!?だったら・・・」


「大丈夫ですよ」


プルーナが件の男性を追いかけようとした時、カレンから待ったがかかった。


「・・・なんで?どうして?」

「彼は、私の知り合いでしたので。折檻ついでにお礼も言っておきますよ」

「そぉなんだ」

「カレンお姉ちゃん。ありがと」

「いえいえ」


少し和やかな雰囲気になったところで、首班の男が目を覚ました。アルフレッドが自ら調合した気付け薬嗅がせたようだ。そのほかの男たちは、まだ幸せな夢の中である。


「ん・・・ふわあぁぁ・・・。ッ!うっ腕が動かねぇ!おいっ!いってぇどういう・・・ッデッ」

「ちょぉっと静かにしてもらえるかなぁ。あっカレン。みんなを連れて奥に」

「畏まりました」


これから行うことを幼いミュールには見せられない。そう判断したアルフレッドは、カレンに皆を連れて外に出るよう伝える。スコットとエレンはその場に残り、後の2人はカレンと共に温室へと移動した。


「さてと・・・。貴男のお名前は?」

「ハン!ガキになんと言われようと答える義理はねぇよ」

「そうですか・・・。では、話を変えましょう。どうしてこの店に?」

「・・・ただの買い物だよ」

「そうですか────」


取り付く島もない。そんな様子の男とアルフレッドの会話。エレンとスコットはそんな2人の様子を横目に見ながら、破落戸たちをひとまとめにし始めた。



スコットは店の植物たちを使って、男たちをエレンがまとめ始めているところに乱雑に積み重ねていった。本人は、お茶を飲みながらアルフレッドの創薬技術の高さに舌を巻き、店内を見渡して彼に渡す植物に目星をつけはじめた。


一方、男たちをどんなに乱暴に扱っても少しも目覚める気配がない。それだけ強力な催眠作用を打ち消すほどの薬をその場で調合したアルフレッド。その事に驚きつつも、後で詳しく話を聞こう。そう思うエレンであった。



「いい加減、話してはくれませんか?」

「ハン!寝言は寝てから言ったらどうだ?坊主。それとも、ママにでも訴えるか?怖いおじちゃんが言うことを聞かないってな!ハハハハハ!」

「腕を縛られているに、随分と余裕ですね」

「そりゃぁな!」


男は店に入る前、新入りの男を1人外に残してきた。万が一のことを考えて。その事を思い出したため、余裕の表情を浮かべていた。外の男性がその場から既に去っていることを知らずに。


「なにを勘違いされているのかは知りませんが、外に居たお仲間は、さっさと居なくなりましたよ」

「なにっ!?そっそんなはずはねぇ!」

「・・・やっと隙間が・・・」

「なにを言って!────」

「貴男の知っていることを、私に全て話していただけますね?」

「・・・はい。貴方様の仰る通りに────」


一部始終を見ていたエレン。アルフレッドの催眠はやはりえげつないと感じた。それだけアルフレッドは怒っていたのだろう・・・。


厳密に言えば、彼ほどの術者であれば、無理矢理かけることもできるがそれをしなかった。何故なら相手は犯罪者。それもお気に入りの場所を滅茶苦茶にしようとした。なので、一切の手加減をせず、少し心を揺らがせた状態で催眠をかけ廃人にさせる方法で術を行使した。


首班の男から語られたのは─────。

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