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あるエルフの都市作り  作者: 沙河泉
立太子の儀
120/213

破落戸制圧②

「・・・扉が開いたのに鈴の音が。聞こえない?」

「うん。そういう魔道具だからね」


アルフレッドたちは、息を潜めて店の裏手にある薬草園に身を隠していた。


「鈴の音が鳴らない。それは悪意や害意を持った者が入ってきた証拠さ」

「でもさ・・・それだけじゃ対応できないんじゃ・・・」

「まぁそもそもこの店に来るのにも一苦労だから」

「へ?」

「プルーナさんとミュールは、僕たちが居たからここまで来ることができた。《惑わしの道》のを通ってるから。それでも、ものすごく短縮する形で通ってきたんだけどね」

「そうなの!?それだったら防犯対策いらないんじゃ・・・」

「それでもさ、店に悪意を持ってるか見た方がいいじゃない?まさかいきなり扉越しに攻撃してくるような盗人なんて居ないだろうしね」

「まぁ・・・確かに。盗む予定の物が台無しになるようなことはしないよね」

「そうそう!まっ。夜に侵入するとものすごく大きな音が鳴り響くようになっているけどね。それは今まで───」

「一回も使われてはおらんな」

「───だそうだよ」

「ほえぇ・・・」


店内に賊が入ったというのに、鈴の防犯機能の素晴らしさを語ったアルフレッド。店内は平気なのか心配になったプルーナが目を向けると・・・


「えっえっ!?中に入ってた二人は!?」

「ん?あぁ。意外と早かったね」

「だなぁ。もう少しやれると思ったんだが」

「えっ!?えっ!?」

「少しは緊張感をもたせてほしかったですね」

「やっぱりすごいなぁ。アルの魔道具とスコットの植物は」

「はっはっは!だろう!?俺のかわいい子どもたちは」

「「???」」

「うん!あそこまで躾けるのには苦労したでしょう?」

「まっそれなりにはな!」


アルフレッドとスコットが、温室の方へと向かい始めると、裏口の脇を固めていたカレンとエレンが警戒を解き、各々が体をほぐしたりして2人の後を追った。敵がこちらにやっては来ないのか不安になったプルーナとミュールは、恐る恐る扉の小窓から中をのぞき込んだ。


そこで2人が目にしたものは、破落戸たちが笑い転げていたり泣いていたり。はたまた大きな鼾をかいて寝ていたりと様々であった。なぜこんなことが起きているのか・・・ミュールはその様子を唖然として見つめていたが、中の破落戸たちが気づくといけないと感じたのか、早々に首を引っ込めてアルフレッドの元へと戻った。


プルーナは好奇心を抑えることごできず、店内を注意深く見回すと赤や紫。青や黒などの色をした小さな花々からそれぞれの花に対応する霞が出ていた。


「えっ!?何あれっ───ッ!」

「しっ。さすがに大きな声を出すと気づかれるから。みんなのところに戻るよ」


大きな声が出そうな瞬間に、後ろから口を塞がれた。一瞬、敵かと思ったが、聞いたことがあるアルフレッドの声だったので安堵し、言葉に従って皆が居る場所へと戻った。


「スコットさん。どうします?」

「そろそろ頃合いじゃねぇか?」

「それじゃぁ・・・〖風膜〗・・・これで中に入っても大丈夫。カレンとプルーナさんはここでミュールと一緒に居てあげて」

「畏まりました」「うん」

「ミュールもじっとしているんだよ?」

「(コクッ)」

「よしっ!それじゃぁスコットさんとエレンと僕で、さっさと奴らを捕まえちゃいますか」

「「おおー!」」


店内に広がる霞を吸うと、流石のアルフレッドでも身体の自由が利かなくなる。植物に敵味方を区別することは難しい。育ての親であるスコットの区別はつくだろうが、花たちは役に立てると感じているのか張り切っているので、何が起こるのか未知数だ。そこで、全員の身体に風で出来た一種の結界。〖風膜〗を張り、不測の事態に備えつつ、3人は店内へと入っていった。

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