破落戸制圧①
「中の様子は」
「不気味なぐらい静かです」
「ほう。恐れをなしたか。おいっ!中にいるのは女子供と年老いた店主だけだろう?」
「ああ。確かにそのはずだ」
「ったく。口の利き方が気にくわねぇが、まぁいい。ミュールだけは傷つけるな。その他はどうでもいい」
「「へい!」」
スコットの店の周りには、20人ほどの破落戸が屯していた。彼らの首班は、ミュールがここにいることを掴んだ新入りの情報によりここまで部下を連れてきた。最初は新入りの情報を訝しく感じたが、普段地上げ屋である彼が絶対に見つけることができないこの場所に迷い無く案内されたので、今ではこの新入りのことを信じきっている。まぁ言葉遣いは気に入らない様子だが。
考え込みながら、首班の男は件の子供についても考えを巡らせた。どうやらミュールは余程大きな秘密を持っているらしい。首班は上位の者から「生かして連れてこい」と言われ、前払い金を既に手に入れていた。連れて帰れば成功報酬は勿論、この店のものも好き放題できる。頭の中で思い浮かぶこれからのことに舌なめずりをし、店を襲うべく部下に号令をかけた。
意外に慎重派の首班の男。最初は部下2人を買い物客を装わせ店内に入らせた。
「こんにちはー」
「買い物に来たんですけどー」
破落戸2人が扉を開けると、甲高い音で鈴がキンキンと扉の揺れとともに鳴り響いた。男二人は驚いて顔を見合わせたが、1人の男が扉の鈴に気づき、それに安堵して店内へと入り込んでいった。
部下の2人が店に入ったことを確認し、扉の両脇に二手に分かれて身を潜める。そろそろ先行した2人から合図が送られるだろう。そう心の中で計算をして・・・。




