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あるエルフの都市作り  作者: 沙河泉
立太子の儀
118/213

スコットの店で

「着いた。ここが、島で育てている植物の種や苗を買ったお店だよ」


一行は、騒動から離れるため市場から抜け出してきた。ただ単純に歩いてくるとまたいつミュールが狙われるかわからない。そのため、アルフレッドは目くらましの魔法と縮地の技術を使って最短距離でこの店に到着した。プルーナとミュールは、何処をどのように通ってきたのか皆目見当がつかない。ただ、3人に着いてきた。と言うような様子である。


「スコットさぁん!」


アルフレッドが店の扉を開けると、来店を知らせる鈴が揺れた。しかし、音が聞こえない。プルーナとミュールは不思議そうな顔で、前をゆくアルフレッドのことを見やったが、彼は特段驚くことも無く。店にはいないのか。と呟いた。


「ねぇねぇアルくん。なんでわかるの?目的の人・・・スコットさんが居ないって」

「ん?ああ!あの鈴なんだけどね」


アルフレッドが指し示したのは、先程鳴らなかった鈴だ。


「あの鈴が?」

「あれは僕が創った魔道具。中に人。つまり店主が居ない時で、客が来たとき。即ちこの店に危害を加えようとはしない人が入るときは鳴らない。中に店主が居るときは、チリンと扉を開けた時になる。ただし・・・」

「ただし?」

「中に誰も居ない状態で、悪意を抱く者。盗みとかをしようとした人物が入ってきた場合は、けたたましい音が鳴るんだ」

「ふぅん・・・。だから中に居ないって解ったんだ」

「うん!あっミュール!それは駄目っ」


ミュールが手を伸ばした先にあったのは、赤く可愛らしい小粒の実であった。彼女はその果実が発する甘い匂いが気になり手を伸ばしていたが、アルフレッドの声で驚き伸ばした手を引っ込めた。


「ミュール!大丈夫?怪我はしてない?」

「うん。だいじょうぶ」

「良かったぁ」

「ん・・・?おぉ!へぇ!こんなものまで手に入れたんだ」


エレンは件の果実が気になり、アルフレッドとミュール越しに赤い実を見て、感嘆の声をあげた。


「これは相当手に入れるのに苦労したでしょう?ねぇスコット」

「っかぁ!気づかれたか。エレンには叶わねぇな」

「まだまだ!甘い甘すぎるよ」


アルフレッドがミュールに警告の声をかけた時、一瞬皆の注意がミュールに注がれた。その瞬間に店内に戻ってきたスコットは後ろから静かに勘定台に戻り、あたかも元から居た雰囲気を演出しようとしていたらしいが、その企みもエレンによって防がれてしまい、なんとも言えない表情で、皆の元に歩いてきた。


「お久しぶり!スコットさん」

「おう!アル久しぶり。どうだこれは」

「うん!凄いね」

「だっろぉ!手に入れるのに苦労したんだぜ」

「あのぉ・・・」

「おう!ごめんな。っとまずは自己紹介だ。この店。スコットの植物園店主のスコットだ。よろしくな!えっと・・・」

「プルーナです」

「・・・ミュール・・・です」

「おう!よろしく、2人とも。それで?一体全体どういう風の吹きまわしなんだ?」

「それは────」


アルフレッドは、昼間に起きたことを事細かにスコットに説明をする。途中、「少し待ってろ」と言うスコットの言葉で中断。扉に閉店の文字を掲げ、暖かく香り豊かな薬草茶を出してくれた。皆で一息つきながら話を続けていった。


「───っと言うことは、ミュールが何かを知っていて狙われてると」

「うん」

「そんでもって、安全な場所と言うことで此処を選んだと」

「それもそうなんだ。ごめんなさい。迷惑をかけて」

「ううぅん・・・まっなんとかなるだろう!」

「本当!」


「っただよ・・・」

「うん・・・その前に」

「外の掃除を」

「しなければなりませんね」


話の途中から、扉の外に人の気配を感じていた。周りの空気が変わりつつあったために、ミュールも表情を険しくしていく。スコット、エレンは中衛。アルフレッドとカレンは前衛。そしてプルーナはミュールの前に立ち、扉の外の気配を探るために静かに息を潜める。カレンは、自身の聴力を最大限に活用するべく集中して外の情報収集を始めた。

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