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あるエルフの都市作り  作者: 沙河泉
立太子の儀
114/213

王都の市場

投稿時間が不規則で、申し訳ありません・・・。

「なにッ!感付かれただと」

「はい・・・あまり気にしていないとは思っとったんですがね。目端の利くやつか1人居たみたいで」

「処分は」

「・・・宜しいので?」

「構わん。やれ」

「はい」


仄暗い石造りの部屋。2人の男はなにやら後ろめたい話をしていた。





「さぁ!今日は市場の方に行ってみよう!」

「おぉー!って・・・やっぱりその子ども姿。慣れないなぁ」


世界樹の葉上で、プルーナの決意を聞いた翌日。カレンが一足先に王宮に戻っていたのを見て、酷く驚いていた。なぜあの場に居なかったのか。と言うよりかは、自分の決意を聞いて欲しかったようだ。カレンはカレンで、よく聞こえる耳で聞き取っていたようで、今はその時の話をしてプルーナの顔を朱に染めている。


「それで?今日は市場に行くって行ってたけど、どうするの?」

「ああ。プルーナさんにはこの国でどんな物が流通しているか見てもらいたくてね」

「でも・・・当の本人はあんなだよ?」


エレンに促され、後ろを振り返ると耳を赤くして俯いているプルーナと、したり顔のカレンが居た。昨日の決意表明を他者目線から話され、照れに照れたようであった。


「あはは・・・カレン。少しは手加減しないと」

「本当に聞こえてた?と何度も執拗に聞かれましたので。一言一句違わず話しました」


カレンさん・・・悪戯が過ぎますよ。恥ずかしさのあまり、プルーナの目がぐるぐると弧を描いている。


「ああああ。はずがじぃ!」

「でも。良かったと思うよ?わたしはあの話を聞いて」

「うきゃわぁ!もう良い!もう良いのっ!その話は無し!アルくん市場に行くんでしょ?行こうっ!」

「あっ!ちょっとまって!」

「「あっ!」」


混乱の極みに達したプルーナは、アルフレッドの手を掴むと、ずんずんと先に進んでいった。置いてかれそうになった2人も慌てて後をついて行く。


「プルーナさん!待って待って!そっちはこの間の公園の方!」

「───。───!ッはっ!ごめんアルくん。またやっちゃった」

「大丈夫大丈夫!気にしないで」


目的地も知らずに無我夢中で歩いてしまったことを謝罪するプルーナ。この様な事への対処は慣れているアルフレッドは、気にしないよう声をかける。プルーナを落ち着かせている間に、2人もやってきたので、改めて市場へと向かった。


公園を抜けて王宮とは逆方面。北側に進むと、多くの常設店と、入り口の邪魔にならぬようその軒先を借りるように店を広げる露天商。そして、道を埋め尽くさんばかりの買い物客。所々に警邏隊の兵が立っているのは、軽犯罪抑止のためか。


「凄い・・・人の多さもそうだけど、露店と常設店が調和しているのがなんというか・・・あり得ない」

「まぁ他の国には無いかな。常設店は店を出させる代わりに、その店の商品を露天商が客に紹介して客に購入意欲を湧かせ、店に入る前にある札を渡すんだ。」

「札?」

「そう。その札を店内に持った客が買い物をすると、その購入金額の5分程が露天商の物になる」

「えっそれじゃぁ常設店の赤字なんじゃ・・・」

「常設店は何も露天商にただで自身の店の商品を取り扱わせては居ないんだ。紹介させる商品は、露天商に購入させてるのさ」

「それじゃぁ露天商が赤字じゃん」

「そうとも言えるけど違うんだ」

「?」


プルーナは、本当にこの国でのことを学気があるらしく、アルフレッドに逐次質問を投げかける。それに丁寧に答えるアルフレッド。2人のやりとりが長く続きそうなので、カレンとエレンはそれぞれ別の店に顔を出しに行った。


「露天商達は、いち早く借主の店の新作を試したり、味わったりできる。店にしてみれば最初のお客が同業者であるから、下手な物は作れない。露天商は自分で試したからこそわかる部分を詳細に客に伝えられるんだ」

「でも、癒着とか忖度とかは?」

「まぁ少しはあるかもだけれど、警邏隊が巡回して、同じ店に同じ露店が出ていないかを確認しているんだ」

「ほえぇ・・・てっきり犯罪抑止のためだと思ってた」

「まぁそれもあるけどね。話を戻すね。常に新しい物。品質の良い物を作る店と、自分の所の商品を売りながら、貸主の店の商品を売る露店。どちらももうけが出るような仕組み。ただ、話が上手くないと、客が離れてしまう。そうすると、露天商は赤字になる」

「実際に商品は買っている訳だからね」

「そう。だから、露天商も常に勉強が欠かせない。話術というのは、経験と知恵と共感力だからね。どちらもほんとに良い物を売りたいって言う考えで動いているんだ」

「でも・・・」

「もちろん。中には悪いことを考える人たちもいる。欲に目がくらむって言うのはさ、種族関係なくあることだからね」

「そうだね・・・」


市場に溢れる人を避けながら、講義を続けるアルフレッド。プルーナはその後ろを手をつないだ状態でついて行く。普段は赤面するところであるが、今は知識欲が勝っていることと、離れれば大変なことになるという余裕のなさから、意識の外にあるようであった。


「おっ!やっときた!アル。話は終わった?」

「アル様。人が多いので、長話をしながらゆっくり歩くのは・・・」

「ごめんごめん。待たせちゃったね」


二人が待っていたのは、市場の中心部に聳え立つ時計塔であった。どんなに人で混み合ってい居たとしても、此処を集合場所にすることではぐれることは無い。そう言う考えの基、設計されたのがこの時計塔である。ここを起点に6本の道が放射線状に伸びているのである。


「プルーナ。喉が渇いたでしょう。これをどうぞ」

「ありがとう。カレンちゃん」

「・・・あっ!2人とも手をつないでる!ずるいっ!」

「えっあえっ」


エレンの一言で我に返り、あたふたするプルーナ。左手で持っていた飲み物を落としそうになる。


「おっと危ない。そう言えば、逸れないように手をつないだままだった。ごめんね」

「あっ・・・」


謝りながら手を離すアルフレッド。名残惜しそうに小さな声で呟くも、彼の耳には届かず・・・。


「抜け駆けは感心しませんよ」


・・・カレンの耳には届いていたようだ。

エレンのずるいという言葉を軽く躱しながら、今度はどこに行こうかと話すアルフレッド。さながら聞き分けの悪い妹をあやす兄であった。


「次は────!」


行きたい場所をはっきりと口にしたプルーナに笑顔で答える3人。次に目指す場所は、食料品街だ。

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