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あるエルフの都市作り  作者: 沙河泉
立太子の儀
110/213

王都観光①

「うわぁぁ!すごい!すごい!建物が高いよっ!」


王宮を出て丘を降りてしばらく。第三城門をくぐり抜けると、一般庶民が暮らす地区となる。眼前に広がるのは、高層建築群であった。


「我々森人族も人口が増えてね。居住空間を上に延ばすしか方法がなくなってしまった。まっ王都自体も拡張工事は続いているから、もう暫くは王都でも住宅供給がされるかなぁ」

「へえぇ・・・」


森人族が木の洞の中や樹上に生活圏をもっていたのは昔の話。現在は、地に足を着け生活を営んでいる。


「そうは言っても、木から離れたりすると落ち着かないからさ。この高層集合住宅群は、特殊な魔法で建てた生きる建物なんだ」

「へあ!?生きてるの!?」

「うん。基礎は固く確り作られているけれど、見えるもの全てが成長し続ける木なんだ」

「ええー!」


そう。この王都に建っている集合住宅は全て生きた木でできている。ただ、折れる限界より少し手前で成長が自動的に止まるようになってる。そうアルフレッドは話す。住居が突然崩壊すると目も当てられない惨事が起こるからだ。


「これもアルくんの魔法?」

「半分はね」

「半分?」

「まっそれは、街を歩いているとわかるかもよ」

「むぅ・・・。ところで・・・声高くない?」

「ん?やっと気づいた?」

「と言うか・・・あれ?アルくん?どこに居るの?」

「へ?隣に居るじゃないか」

「───!」


謎々のような答え方をされて、一瞬冷静になったプルーナ。ふと考えてみると、会話の相手は確かにアルフレッドではあるが、いつもより声音は高く、隣から声は聞こえるのに姿が見えない。


「やぁ。やっと気がついた」

「えっえっ!?アルくん!?」

「そうだよ?」


いつもはプルーナより頭二つ分背が高いアルフレッドが、今は自身の腰の位置に頭がある。そんな状況に再び頭を混乱させてしまったプルーナであったが、それ以上に混乱する事態が待っていた。


「アル様!まったく・・・そのお姿になる際は、必ずお声がけください」

「もぉ!アルは世話が焼けるんだから!」

「ごめんごめん!2人とも」

「へっへっ!?カレンちゃん!?」

「はい。そうですよプルーナ」

「えっ!?だって・・・髪が金色で目が蒼い・・・」

「あぁ。王都では元の姿は目立ちますから。どうです?似合っているでしょう?」


少し浮ついた様子で、その場でくるりと一回転するカレン。口調は普段と変わらないが、身に纏う雰囲気は普段よりも柔らかく感じられた。


「うっうん。とっても綺麗」

「ありがとう」


カレンは褒められたのが満更でもない様子で、プルーナに向けて右目を軽く閉じる仕草をした。


「・・・なんか・・・いつもと全然雰囲気が違う」

「むっ私のことは置いてけぼりか?」

「えっと・・・だれ!?」

「流石に酷いよっ!」

「えっえっ!?」


カレンと共に現れた蒼髪金眼の少女。普段とは全く異なる姿に困惑をするプルーナ。


「へぇ!髪も整えてきたんだ。綺麗だよエレン」

「ふふぅん!わたしだって、身だしなみを整えればこんなもんだよっ!」

「貴女は普段から身だしなみに気をつけなさい」

「うぅうぅ・・・うるさいっ!良いのっ特別なときだけでっ!」

「えっ!?エレンちゃんなのっ!?全然違う!」


ぼさぼさの髪を整え、カレン同様姿を変えたエレン。口調もいつもと異なるために気付けなかったプルーナであった。


「みっ・・・皆変わりすぎ」

「まぁ・・・ねぇ」

「普段の姿で街を歩くと」

「絶対騒ぎになるから」

「こんなに綺麗どころが揃っていれば、すでに騒ぎだよ・・・きゅぅ・・・」

「あっ・・・よっと」

「情報過多になっちゃったみたい」

「直ぐ近くの公園で休ませましょう」


いつもと違う装いが、完全にプルーナの頭の処理能力を超えてしまい、気絶してしまった。倒れかけたプルーナをアルフレッドが支え、カレンが抱きかかえる形で、公園の木陰下の長椅子に彼女を運んでいった。

その様子を見ていた人々は、あまり感心がなさそうな様子であった・・・。

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