王都観光①
「うわぁぁ!すごい!すごい!建物が高いよっ!」
王宮を出て丘を降りてしばらく。第三城門をくぐり抜けると、一般庶民が暮らす地区となる。眼前に広がるのは、高層建築群であった。
「我々森人族も人口が増えてね。居住空間を上に延ばすしか方法がなくなってしまった。まっ王都自体も拡張工事は続いているから、もう暫くは王都でも住宅供給がされるかなぁ」
「へえぇ・・・」
森人族が木の洞の中や樹上に生活圏をもっていたのは昔の話。現在は、地に足を着け生活を営んでいる。
「そうは言っても、木から離れたりすると落ち着かないからさ。この高層集合住宅群は、特殊な魔法で建てた生きる建物なんだ」
「へあ!?生きてるの!?」
「うん。基礎は固く確り作られているけれど、見えるもの全てが成長し続ける木なんだ」
「ええー!」
そう。この王都に建っている集合住宅は全て生きた木でできている。ただ、折れる限界より少し手前で成長が自動的に止まるようになってる。そうアルフレッドは話す。住居が突然崩壊すると目も当てられない惨事が起こるからだ。
「これもアルくんの魔法?」
「半分はね」
「半分?」
「まっそれは、街を歩いているとわかるかもよ」
「むぅ・・・。ところで・・・声高くない?」
「ん?やっと気づいた?」
「と言うか・・・あれ?アルくん?どこに居るの?」
「へ?隣に居るじゃないか」
「───!」
謎々のような答え方をされて、一瞬冷静になったプルーナ。ふと考えてみると、会話の相手は確かにアルフレッドではあるが、いつもより声音は高く、隣から声は聞こえるのに姿が見えない。
「やぁ。やっと気がついた」
「えっえっ!?アルくん!?」
「そうだよ?」
いつもはプルーナより頭二つ分背が高いアルフレッドが、今は自身の腰の位置に頭がある。そんな状況に再び頭を混乱させてしまったプルーナであったが、それ以上に混乱する事態が待っていた。
「アル様!まったく・・・そのお姿になる際は、必ずお声がけください」
「もぉ!アルは世話が焼けるんだから!」
「ごめんごめん!2人とも」
「へっへっ!?カレンちゃん!?」
「はい。そうですよプルーナ」
「えっ!?だって・・・髪が金色で目が蒼い・・・」
「あぁ。王都では元の姿は目立ちますから。どうです?似合っているでしょう?」
少し浮ついた様子で、その場でくるりと一回転するカレン。口調は普段と変わらないが、身に纏う雰囲気は普段よりも柔らかく感じられた。
「うっうん。とっても綺麗」
「ありがとう」
カレンは褒められたのが満更でもない様子で、プルーナに向けて右目を軽く閉じる仕草をした。
「・・・なんか・・・いつもと全然雰囲気が違う」
「むっ私のことは置いてけぼりか?」
「えっと・・・だれ!?」
「流石に酷いよっ!」
「えっえっ!?」
カレンと共に現れた蒼髪金眼の少女。普段とは全く異なる姿に困惑をするプルーナ。
「へぇ!髪も整えてきたんだ。綺麗だよエレン」
「ふふぅん!わたしだって、身だしなみを整えればこんなもんだよっ!」
「貴女は普段から身だしなみに気をつけなさい」
「うぅうぅ・・・うるさいっ!良いのっ特別なときだけでっ!」
「えっ!?エレンちゃんなのっ!?全然違う!」
ぼさぼさの髪を整え、カレン同様姿を変えたエレン。口調もいつもと異なるために気付けなかったプルーナであった。
「みっ・・・皆変わりすぎ」
「まぁ・・・ねぇ」
「普段の姿で街を歩くと」
「絶対騒ぎになるから」
「こんなに綺麗どころが揃っていれば、すでに騒ぎだよ・・・きゅぅ・・・」
「あっ・・・よっと」
「情報過多になっちゃったみたい」
「直ぐ近くの公園で休ませましょう」
いつもと違う装いが、完全にプルーナの頭の処理能力を超えてしまい、気絶してしまった。倒れかけたプルーナをアルフレッドが支え、カレンが抱きかかえる形で、公園の木陰下の長椅子に彼女を運んでいった。
その様子を見ていた人々は、あまり感心がなさそうな様子であった・・・。




