物資の搬出
「───何か大きな声が聞こえたのですが・・・問題でもありましたか」
扉の外からモルトの声が聞こえる。大きな声を出せば確かに隣の倉庫に伝わるだろう。隠しても仕方が無いので、私はカレンに扉を開けるようお願いをした。
「───失礼致します。何か問題・・・エル!こんな所にいたのかッ」
「入ってはいけないとあれだけ言ったじゃない!」
「えへへ」
「───もしかして?」
「はい。こちらは末の妹のエールです。ご迷惑をおかけして申し訳ありません!」
「むぅ!モルトお兄ちゃん!エルはしっかりあいさつしたよ?」
「そう言うことを言っているのではないのッ!この部屋に入ったことがいけないの!」
「えぇー。だってこのおへや、開いてたし。何もなかったんだもん!」
「だからと言って、入ってはいけないんだよ。エル」
「むぅ!」
「んんっ」
「「はっ!申し訳ありません」」
「いやっ。迷い込んだ子どもでなくて良かった。でも、エルさん。お兄さんやお姉さんの言うことをよく聞くんだよ?わかったかな?」
「あい。モルトお兄ちゃん。ピルスお姉ちゃん。ごめんなさい」
「次からは気をつけてな」
「もう。次はないわよ!」
「あい」
「重ね重ね申し訳ありません。殿下」
「なんのなんの」
「陣の方は・・・あっ完成しているのですね」
「うん。これで「ばっと光ってびゅっとできたんだよ!」エルちゃん・・・」
「「ばっと光ってびゅっと出来た?」」
「魔方陣だからね。光ったりするのは当然さ」
「そう言うものなんですね」
「教えていただきありがとうございます」
「エルさん。少しこちらへ」
「なぁに?えっとぉ・・・」
「私はカレンと申します」
「カレンお姉ちゃん!」
「はい。ちょっとこちらに来てお話を聞いていただけますか?」
「あい!」
ふぅ・・・2人が魔方陣のことを知らなくて助かった。それに、カレンがエルさんに話をしてくれるみたいだから、お願いしてしまおう。
「───魔方陣を書き終わったと言うことですので、早速搬入を開始しても?」
「いやっ。まだ、送信先を決めていないから少し待っていて欲しい。エルさんに驚いてしまってその作業ができなかったからね」
「申し訳ありません・・・」
「大丈夫大丈夫!すぐに終わるから」
そう言って、私は床に描かれた魔方陣に手を翳す。淡い緑色の光をほんの一瞬放ち、魔方陣は開通した。向こう側では淡く赤い光を放ったことだろう。
「これで・・・終わり。なのですか?」
「ええ。もう搬入して大丈夫です。差配をお願いしますね」
「畏まりました」
「アルフレッド様。そろそろ・・・」
「うん。向こうで指揮を執らなきゃいけないね。3人とも、また後日」
「「はい!」」「あい!」
3人にしばしの別れを告げ、父上と母上の元に訪れ・・・父上は優雅にお茶を。母上は書類の山と格闘していたが・・・簡単に挨拶をして、ライラック島へと転移した。転移先は魔方陣の近くにとしていたが、そこで待ち構えていたエレンに泣きながら抱きつかれた。曰く「次は一緒に連れて行くのじゃ!」とのこと。置き手紙よりも何よりも、直接声をかけて欲しかったらしい。そこは完全に私の落ち度であったので、確りと謝り、エレンの好きな時に一日中2人で一緒に居る。と言うことを約束した。
「次はこの手で・・・」
カレンが何かを呟いていたみたいだけど、海風によって流されていった。




