五話 まじで?
ブックマークありがとうございます!
こうやって小さいながらも反応があると嬉しいです。
筆者のやる気のためにも応援よろしくお願いいたします!
ま じ で?
突如眼前に現れたステータスウインドウ。
そこに表示されている文章に驚きを隠せない。
Quest発生!?
報酬が経験値!?
経験値と言えばレベルアップに必要なあれの事ですよね!?という事はこのお使いをこなせばもしかしなくてもレベルアップしちゃうんですか!?え、いいんですか!?いいんです!!
一人で百面相している俺に、目の前にいる母親桜子は訝しげな視線を送ってくる。
いや、別におつかい行けって事に対してこんなリアクションしてる訳じゃないからね?頭がおかしくなった訳でもないからね?おい、そんな頭叩いても治らんからな!?
「行く!行きます!」
「や、ヤケに食い気味ね…。そんなやる気出したってお小遣いなんてあげないからね…?」
「行く事に意味があるんです!!」
「ふぇ」
食い気味な俺に引き気味な桜子、しかし変な流れになってやっぱお手伝いなしでQuestもなし!なんてなったら後悔で夜しか眠れなくなる。
ここは勢いに乗ってQuest、もといおつかいに行くしかない。
「ハリー!ハリー!ハリー!」
華麗なステップで桜子の周りを回り、圧をかけて迅速な行動を促す。足元をチョロチョロ動き回るハナをしっかり避ける事も忘れない。
はよはよ!Questが消えちゃう前に受諾させろよはよ!
「ちょ、ちょっと待ちなさい。今メモとお金用意してくるから。ってか、先にちゃんとご飯食べちゃいなさい」
確かに。ご飯の途中なのを忘れていた。
いくら焦っていたとはいえ、こんなに美味しいご飯を疎かにするなんてあってはならない事だ。
俺は逸る気持ちを抑えて席に座りなおし、残りをしっかり美味しく頂いた。
ご馳走様でした。感謝の気持ちも忘れない、これ大事。
そうこうしている間に桜子の方も準備が整ったようだ。
可愛らしい色合いのメモ用紙とカエルの顔したガマ口財布を渡される。
「ちゃんとメモしてあるやつを買ってくるのよ?余分にお金は入れてあるけど変なのは買わないように。わかった?」
「おう、まかせろり」
「ほんと、大丈夫かしら……」
何故だ、俺の信頼度が低過ぎる。
まぁいい、ここでしっかりおつかい出来ることを見せ付けて、汚名挽回の名誉返上だぜ。
俺はメモとガマ口を受け取ると意気揚々と部屋を飛び出して、玄関へと向かった。
「ひろと!!?お願いだから服ぐらい着ていきなさい!!!!」
後方から聞こえる桜子の追いかけて来る足音と切実な叫び。
そこで俺もふと自分の装いを見直した。
「おっと、俺としたことが。紳士にあるまじき服装だったぜ」
白いTシャツに青のトランクス。
流石に出掛けるにはこれじゃナンセンスだぜ。
「ネクタイネクタイっと……」
紳士ならネクタイだよな常識。
「ズ!ボ!ン!!」
親父のネクタイをどこからとも無く取り出し首に巻こうとしていたら、バシーン!と背中に衝撃。何事!?
「いてぇぇえ!?痛いよママン!?ほんの冗談じゃん!?」
本気で痛い、Tシャツ一枚の防御力の上から鞭を打たれたかのよう。鞭打たれた事ないけれども。
振り返ると足元には俺のGパン、先程の衝撃の正体はこれだ。
そして廊下の奥には振り被った体勢の桜子が居た、犯人はあいつだ。
しかしこの短時間で俺の行動を読み、ズボンを用意して投げつけてくるとか、出来るな桜子。
「あんたなら本当にその姿で出て行きそうだから、我が家の世間体の為ならこっちはいつだって本気よ」
俺の事をよくわかってらっしゃるようで。
ある意味信頼されている。