表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

59/71

五十八話 知らないうちにチート無双は始まっていた

感想、ブックマーク、ポイント、いいね、本当にありがとうございます!

皆さんの反応のお陰でヤル気もでて執筆も捗っています。

これからもご愛読と応援の程、よろしくお願いします。


因みに本日夕方にももう一話更新する予定です。

 

 ん、今なんか頭に当たったような───


「な、なんだよ、おい!?」

「や、やんのか、こら!?」


 後頭部の感触が何か気になったが、目の前の二人がいきなりファイティングポーズをとったのでそれどころではなくなってしまった。

 見た感じ、俺がいきなり席を立ったのにビックリしたのか、反射的に咄嗟に構えたようだ。


 HAHA~ン!

 このビビりよう...さてはコイツら、見掛け倒しの高校デビュー組だな?

 いきなりマウント取ってこれからの地位を確立しようとでもしてたわけだな?

 そう思ったら何かちょっと親近感が湧いてこないでもないが、初手で明らかにこちらを馬鹿にした態度は流石にウザかった。

 俺は売られた喧嘩は普通に買うし、敬意を払ってこない相手にはこちらも敬意を払わないタイプだ。


「あ?お前らこそなんだよ。つか、誰だよお前ら。

 初対面の人と話したいなら、先ずは自己紹介からだろうが」


 まぁ、名前は知ってるが、それはそれ。

 名乗りもせずに馬鹿にしてくるような奴らは嫌いだ。

 狼狽えてる二人を見下ろしながらイラただし気に素っ気なく言い放つ。


 だが俺はまだ気付いていなかった。

 各種大幅に上がったステータスの隠れた効果、そしてスキル天才☆☆による『あらゆる分野において頂点を極める器』というのがどれ程まで影響を持っているのかということを。


 喧嘩、スポーツ、戦闘、暗殺、犯罪、戦争.....争い、戦い、殺し合ってきた人類の歴史の中で幾千という人が名を残し、語り継がれてきた。

 しかし、誰が一番強い?誰が一番殺した?そんな論争をした所で決着が着くわけは無い。


 だがハルトが選んだ天才☆☆は、ハルトが望み、そして研鑽と経験を積みさえすれば絶対に世界の頂点に届きうる才能なのだ。


 別に今の段階でハルトがそっち方面(戦闘に関する)の努力をしている訳では無い、だがその片鱗は既に持ち合わせている。


 そんな今のハルトが、初めて敵意を含んで相手に相対した。

 覇王の、魔王の、戦神の、鬼神の、世界に名を残した名だたる偉人達を越えうる片鱗が指向性を持って漏れ出たのだ。

 それは一般人である井上と大田でさえ、肌で感じ、本能で理解した。


 あ、こいつは、ガチで、ヤバいやつだ、と。



「あ、あ、いや、えっと、お、おれ──いや、わ、わたくしは、井上(イノウエ) 英助(エイスケ)と、申しましゅ」

「お、おれ、おれおれ、おおおおた、大田でです、び、毘一郎(ビイチロウ)でででっす」


「お、おう。ちゃんと自己紹介してくれるとは思わなかったわ。まぁ、取り敢えず、井上と大田だな、これからよろしく!つか、なんか、大丈夫そう?」


「「は、はひ!」」


 なんか、やけに震えて動揺している二人を訝しげに思いながらも俺はあまり気にしないことにした。

 だって、こいつらのファーストコンタクトは最悪だったし、よろしくとは言ったもののそうそう仲良くしようとは思わないもんな。


「んじゃ、俺は職員室に行ってくる」


 こんな所で時間食っている場合では無い。

 休み時間は十分しかない、それまでに職員室に行って魚住先生と交渉しないといけない訳だ!

 待ってろよ!俺のキャッキャウフフな学校生活!!


 ぶにゅ


 そう意気込んで一歩を踏み出した訳だが、なんか踏んだ。

 え、なに?うんこ?うんこ踏んだ?

 何故、教室に!?とか思いながら下を向けばそこには白目を剥いて倒れている九頭龍の姿が。

 顎のとこが赤く腫れ上がっており、しかも何故か股間の位置を手で抑えている。

 どうやら何者かに襲われて気絶しているようだ。


「く、誰がこんな、酷い事を...!」


 しかもよく見ればコイツの立派なトサカも誰かに踏まれたようにペッタンコになっている。

 く、誰がこんな事を!といいたい所だが、多分これについては犯人は俺だろう。


 すまんとは思うが、正直踏んだのがうんこじゃなくてよかったって気持ちの方が強いし、こんなとこで倒れてるコイツが悪いとも思ってる。


 取り敢えず、先ずは出来る限り証拠隠滅を謀る。

 潰れた九頭龍のトサカ──もといポンパドールを両手でニギニギして、出来るだけ元の状態に近付けるように...出来るだけ...元の状態に───


 あ、あれ、可笑しいな、なんか、やればやる程、何やら卑猥な形に近付いていってるような、あれ、可笑しい、こんな筈じゃ、決してわざとじゃないんだ、そんな、こ、これじゃまるで───


「ち、ちんちん...」


 事の成り行きを見守っていたクラスメイト達の生唾を飲み込む音が聞こえてくる。

 周囲を見渡せば、皆が一様に顔を背けて誰とも目が合わない。

 何でだよ、わざとじゃないんだ、信じてくれ。

 何故誰も顔を合わせてくれないんだ!

 そして段々と面倒──居た堪れなくなった俺は、取り敢えず用事を終わらせるべく、その場を黙って去ることにした。


 俺は、悪くない!!


 因みにワックスで手がベトベトになったので、しっかりと洗い流しました。

 あいつの唾がついた髪の毛も濡らしたハンカチでサラッとね!


 さぁ、もうあまり時間は無い!待っていろ席替え!!


 職員室に向けて競歩で歩き出す、この時既に九頭龍の事は忘れている俺であった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ