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四話 おつかい

 


「いただきまっす」



 手を合わせていただきます、そしてバターロールを手に取ろうした瞬間何やら脚にモフっとした衝撃。



「なにやつ!?」



 衝撃の元、左下方にいるであろう存在に顔を向ける。


 そこにはハニーブロンドの癖っ毛に愛らしい顔立ち、真ん丸のつぶらな瞳にあどけない表情を浮かべる今年三歳になる幼女──



「さくらこ~♡『バシィッ!』

「誰がトイプードルやねん!」



 と、ボケるもすかさず右肩に衝撃&ツッコミ。

 俺はトイプードルである愛犬ハナに向けていた視線を一度外し、右側にいるであろうツッコミの主に視線を向ける。


 そこにはすこし明るい茶髪を太めの三つ編みにして肩口から流した可愛らしい顔立ちの幼女──母である桜子が、ケチャップと牛乳が入ったコップを両手に物凄い顔で俺にガンくれていた。

 因みにツッコミはケチャップの容器で叩いたみたいだ。



「お、おう、可愛い顔が台無しだぞ桜子」



 俺の発言にもう一度ケチャップツッコミを繰り出した桜子は盛大な溜め息を吐きながらテーブルの上にコップとケチャップを置くと、腰に両手を当てて頬を膨らませて小言を口にし出す。



「うちの息子様はいいご身分だこと。中学を卒業して少しは大人になるかと思いきや、昼過ぎまで惰眠を貪り、やっと起きてきたと思ったらママに対してこの態度。本当にどこで教育を間違ったのかしら……昔は何にでも素直で可愛らしくて、ママの事───」



 と、長くなりそうなのでそのまま放置して食事をする事にした。

 バターロールに手で切込みを入れ、レタス、ウインナー、オムレツを少し挟み、ケチャップを掛ける。

 即席ホットドッグの完成である、簡単なのに美味い、正に最強の存在である。いただきまっす。


 モグモグモグモグ。右からの小言を華麗にスルーしながら食事をしていると、また左下方からモフっと衝撃。

 おっと忘れていた。

 そこには可愛らしく首を掲げて、二本足で立って俺の足に手をついて存在をアピールしている愛犬の姿が。

 んんんんがわ゛い゛い゛ぃぃい゛ぃ



「ごめんよ、ハナちゅわん~。どうちたの~?お腹空いたの~?そかそか~、お腹すいたんでちゅか~、これでも食べる?とめいと~」

『バシィッ!』


 と今度は頭に衝撃、言わずもがな犯人は母親桜子である。



「そんなんやるな!ったく、本当にこのバカ息子は……あ、そうそう、それ食べたらおつかい行ってきて?ママ、今日はバイトないけどちょっとこれから寄り合いがあって手が離せないのよ。どうせ暇なんでしょ?」



 母親という存在はいつも一言二言余計である。

 俺だってやる事いっぱいあるわ。

 アニメ見たり漫画読んだりゲームしたりネット見たりアニメ見たり漫画読んだりゲームしたり──ヴンッ


 だが俺の心の中での小さな反論も、突如目の前に現れた半透明の板によって中断させられる。



 そしてそこには──



【Quest】桜子からのおつかいを完遂せよ。


 内容:玉子と牛乳を買ってくる


 報酬:経験値





 ──ま じ で?



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