二話 不貞寝
再三にわたる確認によって、状況は理解出来た。
まぁ見えてしまってるものは、しゃーなし。
受け入れていこうと思う。
自室のベッドの上で仰向けになったまま、俺は眼前50cm程に浮いているステータスウインドウを眺める。
薄い青色の半透明の板には、シンプルで見易いフォントで
こう書かれている。
・Name:青乃春斗
・Age:15
・Height:170cm
・Weight:60kg
・Condition:興奮
・Level:0
ふむ。
Condition──状態ってのが興奮になってる事、後はLevelが0って事以外は別段可笑しい所は無い。
まぁ確かに少なからずこういう状況に興奮している自分がいるのは否めない。客観的に明言されてるのは何とも言えない恥ずかしさはあるがそこはいいだろう。
だが、Levelが0ってなんやねん。
そこは普通、1じゃないん?まだスタートラインにも立ってないって事か?
なんやねんこれ。とかエセ関西弁を呟きながら右手を動かし、ステータスウインドウに何か反応がないか探っていく。
眼前に浮かぶ半透明の板は触ろうとしてもすり抜ける。
書かれている項目をタッチ出来る訳でもなく、何か新しい項目が出る訳でもなかった。
違う角度から見ようとしても、顔の動きに合わせてステータスウインドウは眼前に動いてくる。
常に目の前にあるとなると、ちょっとウザい。
流石にこのままでは日常生活に支障をきたすのでどうにかしたいと思い、次に声に反応するか試してみる事にした。
先ずは在り来りな所から。
「ステータス」
これでは消えないか、次。
「ステータスクローズ」
発した瞬間に眼前から消えるステータスウインドウ。
良かった、消えた。
ホッと一安心。
これで一つの懸念材料はなくなった。
今度は出し方。
「ステータス」
出ない。
「ステータスオープン」
ヴンッ と表れるステータスウインドウ。
どうやら、オープンクローズという単語が必要なようだ。
少々面倒だが誤爆防止と考えれば妥当な所だろう。
次に心の中でも唱えてみる。
(ステータスクローズ)
(ステータスオープン)
結果から言えば、可能だった。
これで独り言を呟く変な人認定される可能性は減った。
中々良心的な仕様である。
後は他に反応する単語があるか色々調べてみる事にした。
(スキル、スキル一覧、スキルウインドウ、スキルオープン──)
(クエスト、クエスト一覧、クエストウインドウ、クエストオープン──)
結果から言えば、何も出なかった。
出ないんかーい、まじかよ。
これは誠に遺憾である。
何の為のステータスウインドウなんだこれ。
こんなしょうもない表示だけ出たって何の役にも立たないじゃないか。
駄々をこねるように両手でステータスウインドウを弄くり回すも反応はなし。
チート無双をこっそり期待していた俺、ガッカリしたので不貞寝する。(四度寝)