十話 盛熱夏海
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お陰様で執筆も少々捗ってますので、暫くは「ほぼ毎日投稿」をやっていこうかと思います。
間に合えば夕方六時に投稿します。
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「で、どうしてあんな所であんな事やってたの?」
現在俺はスーパーモリアツの事務所で、そこの娘、盛熱夏海に事情聴取を受けている。
あんな所とはスーパー内のコーナーの一角で、あんな事とは米袋担いで小躍りしてた事だろう。たぶんおばちゃん達に密告されたに違いない。
しかし、どう説明したものか。
ここで本当の事を言ったところで、どうせ信じて貰えず頭がおかしい認定されてかぁちゃん(桜子)にチクられるのがオチだろう。
地元民であるうちの家族も昔からこの店にはお世話になっている。
この女、盛熱夏海も小さい頃から実家であるこの店のお手伝いをしている為、買い物の度に顔を合わせて母子共々馴染みである訳なのだ。
だからこそこいつの性格は少なからず知っている。
こいつは、絶対にチクる。
嬉々として家のかぁちゃんに報告するだろう。
何故ならこいつは、家のかぁちゃん(桜子)が大好きだからだ。
昔から可愛いだの尊いだのお持ち帰りしたいだのうちに欲しいだのと呟いており、何かしらの接点を持とうとアグレッシブに接触の機会を作ろうとしてくるのだ。
まぁかぁちゃんが可愛いのは否めないが、機会作りの為に俺を度々利用するのは辞めてもらいたいものだ。
さて、この場を上手く切り抜ける言い訳──閃け俺の思考!穏便に、何事も無く乗り切る言い訳を!
───・・・
「て、テンション上がっちゃって、だな…」
「はぁ?」
…やっちまった、何も浮かばなかった。
俺のIntが足りないばかりにこんなしょうもない言い訳しか…
次はIntにも振ろうと決心する俺であったまる。
「ったく、で、テンションが上がってたとして、なんであんな所で?何があったの?」
ほんと、何があったか言えたらどんなに楽か…。くそ、ここはもう恥を忍んで乗り切るしかない。
「こ、今晩、カレーみたいで…。米もいいの買っちゃったから、つい…」
こんな阿呆な言い訳しか思い浮かばない!
恥ずい、この歳でカレーだからって外で小躍りするやつおるぅ?
もう恥ずかし過ぎて顔から火が出そうだわ。
あぁ、そんな目で俺を見ないで、新たな扉が開いちゃうぅ。びくんびくん。
とまぁ、俺の赤裸々な言い訳が功を奏したのかしてないのか、夏海は顔を片手で覆いつつ盛大な溜息を一つ。暫く沈黙があって手を下ろしたかと思うと、呆れたかのような顔でくすりと笑った。
「ふふ、全く、ほんといつまで経ってもお子ちゃまなんだから。もうこんな事したらダメだからね?変な人がいるって噂が立って客足が減ったら責任取って貰うんだからね」
お、おぉ?許して貰えた?この言いぶりだとチクられる事も多分なさそうだ。
乗り切ったぞ!
もう人目のある所でステータスボードを弄り回すのはやめとこう、まじで。
「ま、おばちゃん達の報告もあって、一応怪しい人を連行してますよーってていを見せる必要があっただけなんだけどね。ヒロトが変なのはいつもの事だしぃ?」
「ば、バカなぁ!?」
お、俺が変だと…!?───あ、否めない。確かに常人ではないのは確かだわ。
今日一日思い返しただけでも、大分おかしいのは自分でも分かる。
「まぁ。否めなかった」
「そこは否定しときなさいよ!馬鹿なの?!」
「へへへ」
「罵倒されて照れんな!ったく、あんたの相手してると疲れるわ。ほら帰った帰った、あたしも仕事中で暇じゃないのよ」
心底疲れたような表情の夏海は頭を抑えながら、もう片方の手でシッシッと俺を事務所から追い立てる。
なんてぞんざいな扱い!ぞくぞくしますわ!
おっと、言っておくが俺はMでも変態でもない、紳士だ。そこだけは忘れないように。
事情聴取から漸く解放され、追い出されるように事務所からでる。
あそこは少し埃っぽくて居心地が悪い。
綺麗に掃除しろよな、夏海。
ま、あいつ家事できないから仕方ないっか!
一応追記しておくが、店内フロアの方はパートのおばちゃん達がちゃんと綺麗にしてるから問題なし!空調もしっかりしとる!
「シャバの空気、美味いわー!」
「そんなとこで変な事叫ぶな!はよ帰れ!」
おっと、後ろに居たようだ。
お尻を蹴られてしまったよ。
なぜこの女はこうも俺に容赦ないんだ?
もう少し優しくされる為にはChaにでも振って魅力をあげる必要があるのだろうか?
次はChaにも振ろうと決心する俺であったまる。
何はともあれ、色々あったがなんとかクエスト達成!
これで後は支払い済ませて帰るだけだぜ!
待ってろよステータスボード!すぐに行く!
「お会計、一万と二百三十円になりますぅ」
「おっふ」