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戦いの技式  作者: 叢月
修学旅行編
74/76

第72話 修学旅行2日目

         <戦いの技式>


         第72話 修学旅行2日目

「プヒューーー、生き返る~!」


-大浴場- <〔Perspective:(‐朝凪視点‐)朝凪〕>


ご飯で胃を満たした私たちは、次に体の疲労を癒すために温けえお湯に浸かりに来ました。大浴場もホテルの楽しみの1つだよね!


ホテルの外観やロビーのような煌びやかさとは裏腹に、落ち着きのある内装になっている。全体的に灯りが暗めで、自然と心が安らいでいく。


お湯の種類もかなり豊富で、全部を巡る前にのぼせちゃいそうだ。私結構お湯に弱いから…帰るまでに全部回れるかな…?


あとシャンプーとボディソープの匂いがめちゃくちゃ良かった! 持って帰りたいなぁ、袋に詰めようかな…?  ──キモいか…。


「ふい~、いい湯だな。擦りむいた箇所がちょっとヒリヒリすっけど、お湯の効能が傷に効いてんのかな」


「そうだよきっと、私ももう脇腹痛くないもん」


「それは効能関係ねえ…」

「ありゃあ?」


とはいえ今入ってるお湯には、肩凝り・冷え性・五十肩にetc、心なしか肩が軽くなったような──いや最初からそんなに凝ってないか。


──胸が大きくなるお湯ないかな…。せめてBになりてえ…。


「おっここに居たカ、広くて迷ってちまうナ」


「どれも気持ちがいいわ。良いホテルねここ」


別の湯船に入っていた2人が戻ってきて、そっと湯船の縁に腰を掛けた。よく見ると2人にも脚や腕に擦った傷跡が見える。


まだ痛いかなぁ…、効くか分かんないけどお湯かけとこ。指でビャッビャッ!ってやって水滴をかけてみるけど、多分意味ないわこれ。でもやろ、ビャッビャッ!


「そういや明日ってどこに行くんだっけか? 予定じゃ結構色々詰まってなかったっけ? いまいち覚えてねえんだよな…」


「そうね、割と忙しくなるわ。 “ひめゆりの塔”に“沖縄アウトレットモール せいレーン”にetc.」


これは後で知った事なのだが──私が退学になった後に、ひめゆりの塔に寄付する為の千羽鶴を皆で折ってたそうだ。


実はバスの中で私も1羽折るように言われて、下手くそながらもきちんと心を込めて折りました! 永く平和が続きますように──


「自由行動がないのはつまんないケド…まあどうせ朝凪がまた何か起こすシ、それに期待するカ。なッ、ハプニングメーカーさん」


「誰がハプニングメーカーじゃい!」


別に私が騒動を起こしてるわけじゃないからね? なんか私を中心に騒動が起こったり、意図せず騒動に巻き込まれてるだけだからね?


言っちゃえば私が一番の被害者なわけで…ようするに私は──ハプニングメーカーか…。じゃあ合ってるな…。


“ガラガラガラッ”


「あっ桧凪さーん! (わたくし)がその美しい背中を洗って差し上げますわ~!」


「わああっ! 結構…結構です…! もう身体洗ったから…! 離ーれーてー!」


「流石だナ…ハプニングメーカー…」



     ▼   ▽   ▼   ▽   ▼



「ぷへ~…のぼせちゃったよぉ…、ほにゃあ~…」


「今まで以上にしつこかったわね。朝凪が裸だったからかしら?」

「極めて変態じゃねえカ…」


だるさに頭痛…体を起こすと襲ってくる不快な吐き気…。お風呂でのぼせたの久し振りだけど…やっぱキツいねーこれね…。


おわー…視界が揺らぐぅ…、体がぽてぽてするぅ…。普通に死にそう…、のぼせって永気じゃ治んないわけ…?


「この調子じゃトランプ大会は無理そうだな…、明日も早いし…今日は私等も早めに寝っか」


「ふえぇ…、そんなぁ…」


こうして修学旅行初日は終わりを迎えた。色々な事が起こった色濃い初日だったけど、明日も楽しい事がいっぱいならいいなぁ。


そう願いながら、私はゆっくりと目を閉じた──。






‐9:45‐


Q1.貴方の好きな季節はなんですか?


朝「夏っ!」

巴「冬」

ナ「春」


「夏を選んだ貴方は“20代後半で結婚します”──だってサ」


「──それほんとに正確? それだけで分かるものなの?」



Q2.動物に生まれ変わるなら何になりますか?


朝「う~ん…犬かなぁ…?」

巴「イルカかしら」

ナ「私はキツネだな」


「哺乳類を選んだ貴方は“甘えん坊タイプ”──だってサ」


「全員じゃない…。朝凪はともかく、私とナキは違うんじゃないかしら…」



Q3.人を殺めるならどんな手段で行いますか?


朝「むぅ…、斬るかなぁ…」

巴「絞めるわ」

ナ「刺す」


「 “刺す”を選んだ貴方は“エスパータイプ”──だってサ」


「情報ゼロだな…。お前もう二度とやんなよそのクソ診断テスト」


ホテルで朝食を食べ終えた私たちは、バスに乗って最初の目的地に向かっています。今はそのバスの中で萌夏ちゃんの診断テストを受けてました。


面白そうだなって思ってたけど、ハッキリ言って信憑性ゼロだった…。なんなんだエスパータイプって…。


「ンだよー、暇つぶしに何かないかって言ったのそっちダロー。せっかくない頭絞って診断テストしてやったのニ」


「大人しく着くの待つしかないね。──指スマ王決定戦でもする?」

「大人しくしてろよ」


むぅ…、私はただ何もせずにジッとしてられない質だから、せめて何か会話だけでもしてないとストレスが溜まってしまう…。


何か会話のテーマはないものか…──


「──そういえば昨日はちゃんと眠れた? 枕変わって寝付けなかった人居ない?」


「私は朝までぐっすりだったぞ?」

「私も起こされるまで熟睡したゾ」


意外と皆寝付けるタイプなのか…、なんだあ…つまんないのー。このままじゃこれ以上話広がんないじゃん。


「巴はどうだった? ちゃんと寝れたか?」


「私もよく眠れたわ。朝凪はどうなの? ()()()だった?」


大丈夫だった…? えっ何その不穏なワード…、ただの睡眠で“大丈夫?”だなんて聞く機会初めてだけど…?


──あれでも待てよ…? なーにか忘れているような気がする…、絶対に人に知られたくない記憶を…。


「私等が寝てる間になんかあったのカ?」


「目覚めて布団捲ったら、何故か中で朝凪が寝てて──」

「わーー?! わーーわーーー?! 巴ちゃんダメダメダメダメー! それ言っちゃ絶対ダメー!!!」


朝は寝ぼけてて忘れてたけど、今ので一気に戻ってきた。そして一気に青ざめた…、なんであの時口止めしなかったんだろう私…。


──あー…めっちゃ見られてる…、えっ…お前その歳で…?っみたいな目で見てくる…。なんかデジャヴだこの感じ…。


「違うの2人共…! ただちょっと嫌な夢見ちゃって…、それでついつい巴ちゃんの布団の中に潜り込んじゃっただけだもん…!」


「何も違ってネーじゃねえカ」


普段家でこんなことが起きても、ぬいぐるみ抱きしめれば大体眠りにつける。でも今回は同じ部屋で人が寝てる──っとなればまあ…そりゃ失礼するよね…?


「別になんでもいいけどよ…、なんでわざわざ巴のベットに行ったんだ? 間に私と萌夏寝てただろ?」


「理由? 巴ちゃんが一番安定感あるからだけど…」


「うおぅ…何も言えねえナ…」


私が布団に潜り込んでも多分3人共怒らないだろうけど、ナキちゃんはビビりだし萌夏ちゃんは寝相が悪い…。


となればもう消去法で巴ちゃんしかないよね、私たちの中で一番大人だし、包容力もあるし。布団に潜り込むならこれ以上ない人選だ。


──って私は何を考えてんだ…?! どうでもいいわこんな事…!!


「ともかく…! このことは誰にも言わないでね…?! 約束だよ約束…?! 破ったらバックドロップするからね…!」


「あのプロレス技の…!?」

「むしろ見せてくれヨ」


とりあえず口封じ…じゃねえや、口止めはしておいたから大丈夫な筈。こんな恥ずかしいことは永遠に記憶の片隅に封じ込めておこう。


そう私は心の中で呟き、大人しく待つことにした──。






‐13:20‐


あれから色々あって、現在私たちは“沖縄アウトレットモール せいレーン”に来ています。中を動き回る前に、ここまであったことを簡単に説明するよ。



まず最初に私たちが向かったところは“ひめゆりの塔”。沖縄戦で亡くなってしまった方々の鎮魂を願う場所──。


生徒全員が慰霊碑の前に整列した後、代表者が花束と千羽鶴を寄付し、手を合わせて1分間の黙とうを捧げた。


教科書やメディアだけでは伝わらない──人として学ぶべき大切な歴史に触れることができた。 ──どうか永久不変に安らかなれ──。



その次に向かった場所は“平和祈念公園”。ひめゆりの塔と似たような場所で、原爆死没者たちの慰霊と、未来永劫の平和を祈念する場所です。


ここでも花束を献花し、亡くなった人たちの魂の安寧を切に願った。沖縄で起きた悲劇について、私は何も知らなかったんだなって思い知った。



──それらを経て、現在アウトレットモールに来ています。ちなみにお昼ご飯は別の場所で食べました。ソーキそばとアンダンスー──美味しかった♪


“沖縄アウトレットモール せいレーン”──ご当地品やブランド物などが売っており、その他にも様々な施設が入っている大型アウトレットモール。


ここに滞在できる時間は2時間あるのだが、かなり広い為ゆっくりと全体を見て回っていては時間が足りない。


マップを見て興味のある所に行き、欲しい物を買ってバスまで戻らないとならない。そう──これはとても難しいミッションなのだ!


「さあ皆っ! ここを誰よりも楽しみに行こうっ!」


「うっぷ…──すまん…ちょっと休憩させてくれ…」

「昨日といい…何故あんなにも飯の量が多いんダ…」

「きついわ…」


バッと振り返ると、3人はベンチにすわって苦しそうにしていた。まあ確かに結構量あったもんね、残す人もまあまあいたしね。


こうなっては仕方ないと、渋々私もベンチに座って皆の回復を待った──。



     ▼   ▽   ▼   ▽   ▼



「食らエ…! 指スマ──1っ!!」


「ギャアアアアアア…ッ!!!」


「オイ…全員回復したからそろそろ動くぞ…」

「熱中し過ぎよ貴方たち…」


早い段階で回復した萌夏ちゃんと指スマで競っていると、2人はいつの間にかベンチから腰を上げて私たちを待っていた。


いかんいかん…危うく楽しむ方向を見誤るところだった…。もし2人が止めてくれなかったら…ずっと指スマで遊んでたやもしれぬゥ…。


リュックを背負って立ち上がり、一呼吸置いてようやくアウトレットモール内へと足を踏み入れた。


事前に調べた情報によれば、ここはもともと別の名前のアウトレットモールがあったのだそう。そこを増築すると同時に名前も変わったんだって。


増築したのも割と最近なだけあって、平日にも拘わらず多くの人が行き交っている。これは素晴らしいお土産との出会いが期待できる…!


っという訳で、私たちは少し早足になりながら色々なお店を巡り歩いた。可愛い服を見つけたり、独特な置物に首を傾げたり。


“恋占い”なる不思議なおみくじを皆で引いたりもした。結果は凶…、 “背中合わせの相手と恋に落ちる”…らしい…。意味は全く分からない…。


ちなみに一番ひどい結果を引いたのはナキちゃんで…、 “恋…? 愛…? はァ?”って書いてあった…。あんまりすぎるね…。


そして道中私は念願の海ぶどうを発見し、家と支部で2つ買った。何故か気になった“ち〇こすこう”なる物も買ってしまった…。 ※本当に売ってる


その後も私たちは様々なお店でショッピングを楽しみ、気付けば集合15分前になっていた。本当に楽しい時間はあっという間に過ぎてしまう。


「ぼちぼち戻るか、結構買い物したしな。買い忘れとかないか?」


「私は大丈夫だよ、満足した!」巴ちゃんは何かをみつけて


「大丈夫、戻りましょう。──あら…?」


ショッピングを終えて後は帰るだけのその時に、何かを見つけた様子の巴ちゃんは1人違う方向を見つめている。


私たちも巴ちゃんが見ている先に視線を移してみるが、人が多くてどこ見てるのか分かんない…。


こう気になっては確認せずに帰るのもなんか嫌なので、巴ちゃんの後ろについて行って案内してもらった。


「んー…確かこの辺に──あっ、()()()


「居タ? 人以外に何が居るって──おォ…居るナ…」


「あれ? キミたちもしかして──」


そこに居たのは予想していなかった見覚えのある生き物だった。隅の方に佇んでいたのは3匹の猫──しかも黒猫。


しかもしかも、例によって例に漏れず…微かに永気を漂わせている…。うーん…これは気のせいじゃなさそうだ…。


私はそっと近付いて、猫ちゃんの前に屈んで話しかけた。


「──キミたち…もしかしなくてもシンの猫ちゃんたちだよね…? なんでこんなとこに来てるの…? シンは一緒に居ないの…?」


無意識に話しかけてみたものの…当然答える筈もなく、ただ私の目を見つめてくるだけ。キラキラおめめ可愛いね。


「なんだ? 知ってる猫なのか? ってかシンって誰だよ?」


うぐ…っ?! しまった…ついうっかり口が滑ってしまった…。なんとなくシンのことは隠しておこうとしてたのに…、なんとか誤魔化さないと…!


「もしかしてコイツ等が首里城で見た猫カ? 確かに黒いケド…やっぱ普通の黒猫と変わりな──」


「やあっ朝凪とその友達たち、ちゃんと聞こえてるかな?」


「「「ヒャアアアアアッ!!?」」」


萌夏ちゃんが撫でようと手を伸ばしたその時、猫の1匹が小さく口を開けたかと思うと、突然ガッツリ聞き馴染みのある日本語が聞こえてきた。


あまりにもびっくりして、私とナキちゃんと萌夏ちゃんは抱き合って悲鳴を上げてしまった…。巴ちゃんも声は出さなかったが驚きの表情を浮かべていた…。


「あれれ…ごめんね、まさかそこまで驚くとは…」


「そ…その声は…──シン…!?」


「え…っ!? コイツがシン…!? お前顔広過ぎだろ…っ!」


ヤバい変な疑惑まで生まれてしまってる…、私が人外ともコミュニケーションとれるヤバい人だと思われてる…。


けど一旦説明は省いて、今目の前で起きてる非常に奇妙な出来事を解決しないとならない…。じゃないと寝れない…!


「シンなんだよね…? なんで猫ちゃんから声が聞こえるの…? スピーカー搭載…? それとも猫になっちゃったとか…!?」


「うーん…詳しく説明したいんだけど、ちょっと今は時間がないんだ…! 簡潔に言うからしっかり聞いて…!」


シンの真剣な物言いにただ事ではないと感じた私たちは、猫の傍に集まって静かにシンの声に耳を傾けた。


「朝凪、昨日僕等を追いかけてた男たち憶えてる…? アイツ等が今君たちの居るアウトレットモール内に来ているんだ…!」


「え…っ!? あのよく分からない強面たちが…!?」


「実は僕もついさっきまでまた追いかけられてて、ちょうどそのアウトレットモール内に逃げ込んでたんだ…」


これまた最悪のタイミングで…、なんて噛み合いの悪いこった…。


「僕はなんとか逃げ切れたけど…その時ちょうど君と同じ制服の学生を見かけてね、嫌な予感がして“猫”を遣わしたんだ」


そういえばあの時も黒猫を操ってたもんね。能力【猫】なのかな? 何が出来るのか未知数で凄く興味が湧く。


「だから奴等が何か仕掛けてくる前に早く逃げるんだ…! 僕を見失った奴等は何を仕掛けてくるか──」


[ “ピーッ! ピーッ!” モール内のお客様にお伝えします! ただいまモール内でトラブルが発生致しました! お客様は慌てず速やかに外へ避難してください!]


シンの言葉を遮って、けたたましいサイレンと緊急アナウンスが響き渡った。一瞬でモール内がパニック状態に陥り、周囲の人たちは我先にと逃げ始めた。


見なくとも分かる──どうやら最悪の事態に陥ってしまったらしい…。




【第72話 修学旅行2日目 完】

危機再び… 次回に続く!

[宜しければ、感想やブックマーク等をよろしくお願い致します!]

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