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戦いの技式  作者: 叢月
修学旅行編
65/76

第63話 逆上する因縁

         <戦いの技式>


         第63話 逆上する因縁

<〔Perspective:(‐朝凪視点‐)朝凪〕>


“──ギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギ


「なんでここにお前が居るんだァ…? 空見先生が言った通り全然話聞けない奴だったのかお前はァ…? そこんとこどうなんだよ桧凪ィ…?」


リギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリ


「いやあのですね…、わ…私なりに色々考えて行動した所存でございまして…──とりあえずつねるの止めてくれませんかぁ…? イタイイタイイタイ…」


ギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギ


「いーやダメだね、お前にはガチでちょっと反省してもらわないと生徒を導く者としての矜持が許さん…! 心の奥底から反省しやがれ…!」


「ごめんなさいごめんなさいィ…! 私もまさかこんな事になるなんて思ってもいなくてェ…! うえーーん…!」


リギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリ…──”


「オイ貴様等ァ! 俺を無視して2人で何をやっているんだっ! というかオイ教師らしき奴っ! 生徒を泣かすな、問題になるぞっ!?」


「──オメーに言われたかねえな…」


なんとかつねりから解放された私は、ヒリヒリする首を押さえながらもう一度先生方に目を向けてみた。


先生の右手にはやっぱり永刃が握られていて、さっき見たのがただの見間違いではないことを決定づけている。


「先生…っ! なんで永刃持ってるんですか…っ!? 先生は知らないかもしれないですけど…それって一般人は持ってるだけで異能犯扱いになっちゃうやつで──」


あれ…? ──ってことは先生も異能犯ってことォ…!? やだよ私ィ…また顔見知りの人と対立するのォ…!


「ぴーぴーぴーぴーうるせえなぁ…んな事知ってるっての…!──お前よりもずっと昔っからな…」


「昔から…? 昔って…──先生おいくつなんでs──痛った…っ!!?」


強烈なげんこつをもらってちょっと涙目…。頭の中がパニック過ぎて自分が何言ってるのかもよく分からなくなっている…。


どういう事なの…? 異能犯じゃないの…? だとしたらなんで永刃持ってるの…? なんかもう疑問が湧水の様に溢れてくる…。


「別に何も変じゃねえだろ…、簡単な話──私もお前と同じってこった」


私と…同じ…──それって…っ!?


「私も特別処置待遇を受けたんだよ──ずっと前にな…。学生兼隊員のお前と同じで、私も教師兼隊員なんだよ。だから異能犯にはならない、お前とも戦わない」


「そ─それは良かったですけど…、先生は大丈夫なんですか…? 学校で永刃持って…異能犯と戦って…」


「私は問題ない、教育委員会を通して正式に認められているからな。だから認められてないお前が出てくるとヤバいって話だったんだがな…!」


キッと睨まれた私は堪らず目を逸らした…。いやぁ…──知ってたら余裕で皆と一緒に避難してたぁ…! だって先生負けなそうだもん…!


クソぉ…なんだよぉ…はめられたよぉ…。


「──あれ…? じゃあなんで先生から永気を感じれないんですか…? あそこの異能犯(鉄仮面)からはビンビン感じるのに…」


「お前が何もしなくても永気を感じ取れるって聞いてたからな、学校に居る間は遮蔽式使いっ放しにしてんだよ。おかげで肩が凝るぜまったく…」


うわぁ…なんかもう本当色々申し訳ないです先生…。すみませんね…私ってばこんなトラブルメーカーで…、頭が上がんないっすー…。


「オオイ貴様等っ!! いつまで俺を放置すれば気が済むんだコラァ!! 異能犯の中では待ったもんだぞこれっ!!」


そういえば居たわ鉄仮面の異能犯…、なんかそれ以上の衝撃のせいで頭の片隅に寄せてしまった。


「そういやお前居たな。オイッ! そこの謎センス鉄仮面男っ! なんで朝凪を狙う…!? 目的はなんだ…!?」


私を狙うってことは…やっぱり過去に戦った異能犯絡みなのだろうか…? でも私が戦った異能犯って皆まだ牢屋の中だろうし…仮釈放もない筈…。


それになによりこんな怪しい人は見たことない…! 声もまったく聞き覚えないし、もしかして人違いパターンなのでは…!?


「目的…? 言っただろう…俺は復讐者だ…! そこの桧凪朝凪とやらに復讐にし来た…っ! ぶち殺しに来たァ…!」


突然異能犯の永気が大きく増幅し、怒気の混ざった永気がピリピリと肌を刺激してくる。ふざけた格好してるけど…この異能犯強いぞ…。


ここまで真っ直ぐな害意を放つ異能犯と戦うのは初めてかもしれない…。私ほんとこの人に何しちゃったんだろ…?


「俺は“川嶺(かわみね) (たかし)” ──2ヶ月前…御ノ諏街でお前と戦い捕まった“川嶺(かわみね) 京介(きょうすけ)”の実の父親だ…!!」


ああー…そういえばそんな奴居たわぁ…。そうだそうだ思い出したわ…切り裂き魔って呼ばれてた無差別殺人犯…。


確か御ノ諏タワー周辺で女の子を助けて戦闘になって…それから…──


「──いや冷静に振り返ると別にそいつ捕まえたの私じゃないわっ! 捕まえたの私の先輩っ! ブチ切れた私の先輩っ! むしろ私も被害者側だしっ!」


なんか色々頑張ってみたけど結局実力不足でぼろぼろにされた記憶がある…。その後由さんに助けてもらって、ブチ切れ縮さんが止め刺してた記憶がある…。


「いーやっ! 直に京介から聞いたから分かるっ! あの時お前が京介の前に現れたのが全ての元凶だとなっ! だから俺はお前を殺すっ!」


「逆恨みにも程があるだろっ!」

「おぉ…朝凪正論…」


とは言っても素直に聞き入れて止まってはくれないだろうし…、やっぱり戦闘は避けられないだろう…。──しょうがなし…やらなきゃ…!


私は永刃を抜いて大きく息を吐き、永気を増幅させて気を研ぎ澄まs──


「──痛ったい…!!? 何するんですか先生…!?」


「何するんですかじゃねえよ…。お前こそ何戦おうとしてんだ…、お前はさっさと逃げんだよさっさと。ここには幸い私とお前しか居ない、まだ取り消せるんだからさっさと永刃しまって他の生徒と合流して──」


「──あっ居たぞっ! オオーイッ!! 朝凪何してんだ早く逃げっぞォ!!」


突然横から聞こえてきたのはこれまたよく聞き慣れた声。恐る恐る声の方に顔を向けると…そこにはナキちゃんを含めたいつもの3人が立っていた。


直後血の気がサーッと引いていき…開いた口が塞がらなくなった…。不安になって先生の方を向くと…私の2倍くらい青ざめた表情をしていた…。


咥えてたタバコが地面に落ちても無反応で青ざめてる…、青ざめてるって言うよりもう真っ青…ブルーハワイ…。


「──なんなんだ…次から次へと…! 鬱陶しい羽虫共め…! 京介の…俺の復讐の──邪魔をするなァァ!!」


ハッとなって川嶺の方へ目を向けると、いつの間にか永刃を振り上げていて、しかもそのナキちゃんたちの方に体が向いていた。──ヤバい…!!


そう思った矢先、川嶺は思いっ切り永刃を振り下ろした。直後さっきの赤黒い巨大な斬撃が真っ直ぐナキちゃんたちへ向っていった。


「な…っ!? あの野郎…っ!?」


「私が止めます…っ! “幡 強化式(はん きょうかしき) 【脚】(きゃく)” …!」


ナキちゃんたちは急に仕掛けられた攻撃を前に動けないでいる…、私が間に合わなきゃ皆殺されちゃう…!


どんどんその時が迫ってくる中…私は大股で跳ぶように駆けて3人へと距離を詰める。間に合え…間に合え…──間に合った…!


「 “〝気鋭士魂(きえいしこん)雲雀斬(ひばりぎ)り”…っ!」


ギリギリなんとか間に入れた私は、必死に刃を食い止める。脚の力でなんとか踏ん張れてはいるものの…これもいつまでもつか分からない…。


適応(能力)を使えば簡単に切れるけど…その後直ぐに刃が消えるか分からない以上堪えるしか方法がない…。


もし斬撃が消えなかったらナキちゃんたちに当たるかもしれないし…、後ろの住宅街に飛んでいっちゃうかもしれない…。


せめて皆がここから離れてくれれば…──


「あ─朝凪…? お前なんで…」


「んなこと言ってる場合カ! 朝凪が止めてクレてる間に逃げるゾ!」


「状況が飲み込めないけど、ここは逃げるわよナキ…! ──あとでね朝凪…」


何も言わなくても状況を受け入れてくれた3人はダッシュでこの場を離れてくれた…。これならイケる…!


「 “広域適応(プロパージ・マッチ)” …! 〝強化重ね〟── “煌列強化(こうれつきょうか)” …!」


脚を発動したまま流も発動させた私は、さっきと同様に粉々に粉砕した。追撃の気配がないことを確認して、私はすぐに広域適応(プロパージ・マッチ)を解除した。


さっきよりも勢い良く力任せに砕いたせいか、散った斬撃の破片が軽く腕や脚を傷付けた。やっぱり先に皆を避難させて正解だった…。


にしても…僅か数秒でもゴリッゴリに永気食われる…。満タンの状態ならまだ全然問題はないけど…常に永気量に意識しないとだなぁ…。


「朝凪、大丈夫か…? 悪い…一瞬対応が遅れちまった…。色々言いたいことはあるが…とりあえずよくアイツ等を守ってくれた…、ありがとな…」


私は駆け寄ってきた先生に礼を言われて、頭をワシワシと撫でられた。なんだろう…なんかふわふわする…、ダメになりそう…。


「──クソがァ! 一度ならず二度までも俺の攻撃を防ぎやがってェ!! もう許さん…もう許さんぞ桧凪朝凪ァァァ!!」


少し気を緩めていると、心境が真反対な川嶺は腕を大きく広げて怒号を上げた。もう手が付けられない程怒りに飲まれている様子だ…。


とは言え…煌列強化(こうれつきょうか)を使えばある程度の攻撃なら難なく対処できるだろうし、これで冷静を欠いてくれればむしろ倒しやす──


“ガキーーーンッ!!”


突然私は先生に思いっ切り引かれ、間に入った先生が何もない宙に向かって永刃を振ると、鈍い金属音と小さな衝撃が全身を叩いた。


何が起きたのかが全然分からなかった…。突然空中が爆ぜた様な感覚…、何も見えなかったし何も感じなかった…。


「──ったく…、頭悪そうに見えて意外と小賢しい奴だな…。朝凪が斬撃の対処してる間に遮蔽式で永気を隠したか…」


先生の言う通り…さっきは感じてた川嶺の永気が今はまったく感じられない…。全然気付かなかった…危なかった…。


「貴様…何故気が付いた…っ!? 俺は貴様が依然遮蔽式を使っているのを確認した上でこの攻撃を実行したんだぞ…っ! 気付ける筈がない…!」


「ああ、別に気付いてたわけじゃねえよ。ただテメェの動きと透明な攻撃を結び付けて考えた結果、もしかしたらって思っただけだ。言わば勘だな勘」


さっきの腕を大きく広げる仕草…あれが攻撃を意図しての動きだったのか…。私も頭の中ではちゃんと透明な攻撃を警戒してたのに…、流石先生…。


今のが直撃してたら…致命傷にはならないにしてもダメージは大きかったかもしれない…。意識すべきは永気量だけじゃないってことか…。


「そんじゃボチボチ私等も反撃といくか。──朝凪、お前普段どんな風に戦ってんだ? 簡単でいいから教えろ」


「うぇ…!? えーっとぉ…──直球…?」


「あーうん…まあ分かったわ…。オッケー…じゃあお前やりたいようにやっていいぞ…、私が上手くサポートしてやっから…」


そう言うと徐々に先生から永気を感じるようになってきた。遮蔽式を解いたのか、みるみる増幅していくのが肌で感じられる。


それも私よりもずっと力強い…、きっと総量も私とは比べ物にならなそうだ…。同じ人間でこの差は何なのぉ…?


「──どうした? 急に怖くなったか?」


「な…っ!? そんなわけないじゃないですか…っ!! よーし、それなら私の強さをバッチリ見せてやりますよ…っ!」


先生の言葉に奮起して私も永気を増幅させた。だが…ああは言ったけど…、決して油断ならない相手だ…。


先生が助けてくれるって考えは消した方がいいかもしれない…。正確な川嶺の能力は分からないけど…一瞬の気の緩みで腕一本持ってかれちゃうかもしれない…。


煌列強化(こうれつきょうか)での短期決戦も視野に入れつつ…、相手の弱点を探りながら戦う…!


「──それじゃあ先生…、行ってきます…! “幡 強化式(はん きょうかしき) 【脚】(きゃく)” …!」


まずは接近して──川嶺の飛び道具を削ぐ…! リスクはあるけど…学校や住宅街への被害を出すわけにはいかない…!


もし仮に川嶺が強引に斬撃を飛ばしてくるようなら…その時は先生に託すしかない…。本当にお願いしますね…穂岬先生…!


「 “〝気鋭士魂(きえいしこん)疾風(はやて)” …!!」


哀薔薇の集との戦いでより一層レベルアップした強化式、脚での加速も申し分なし…! 可能ならこの攻撃で大ダメージを与えたい…!


「うお…早っ!? ──フンッ!!」


「うわわわ…っ!?」


自分でも上手く制御出来ない速度の攻撃だったのに想像以上に軽く弾かれてしまった…。伊敷さんみたい…。


正確に上斜め後ろへ衝撃を弾かれてしまった私の体は後傾姿勢になってしまい…ボディがら空きの状態になってしまった…。


川嶺が反撃の構えを取っているが…、姿勢的に回避は難しいし…永刃での防御が間に合うかギリギリのライン…。


振り上げられた川嶺の永刃が赤黒い閃光を放ち始め、物凄い永気が永刃へと集まっていく。これは防御が間に合ってもヤバいかも…!?


「死ねェ桧凪朝凪…! 京介の恨みィィ…!!」


「──ったく…」


今にも永刃を振り下ろされてしまいそうな私の視界に、突然半透明な永気が飛び込んできた。──っというより私の体全身が包まれたようだ…。


全身に弱い圧力が掛かる中で、何が起きたのか理解出来ない私の体は完全に硬直してしまった。これじゃあ防御が間に合わ──


「──ぐえェェ…!!?」


「んぬゥ…!? なんだァ…!?」


突然私の制服がグイッと強く後ろに引っ張られ、川嶺の攻撃が直撃することはなかった。川嶺も何が起きたのか理解出来ていない様子だ…。


後ろに引かれて思いっ切り首が締まってしまった私の体は地面に勢い良く倒れた。咳き込みながら後ろの方に顔を上げると、先生が左手に永気を纏わせていた。


「──速攻でピンチに陥ってんじゃねえよ…。わざわざ学校にまで攻めてくる程だ、それだけ腕に自信がある証拠だろ? 安易な攻めはやめろ朝凪…」


「ゴホッゴホッ…、助かりました…ありがとうございます…」


先生が何をしたのかを考えてる暇はなく…、私は喉をさすりながらすぐに立ち上がった。先生の言う通り…さっきのはちょっと安易な攻撃だった…。


今の一連の流れで分かった…、確かに川嶺(アイツ)はかなり強い…。最善を考えての戦闘は止めよう…。


「チィ…ッ! あとちょっとで殺せたのに…邪魔をするな女ァ…!!」


「バカかするわ、私はお前の味方じゃねえんだよ。残念だが…朝凪を殺すのは私を殺した後じゃなきゃ叶わねえぞ鉄仮面」


私の前と後ろで、互いに永気をみなぎらせる強者2人。少し弱気になってしまいそうな心に鞭を打って、私も永刃を構える。


川嶺の力強い永気とそこに入り混じる怒気が、途轍もない威圧感となって空間を満たしている。──正直…ちょっと怖い…。


でもやらなきゃならない…! 私が原因で起こった事件…先生も生徒も巻き込んおいて…逃げるわけにはいかない…!


「 “幡 強化式(はん きょうかしき)──うわぁ…!?」


印を結んで攻め込む準備を整えようとしていた時、突然何かが後ろから物凄いスピードで私の横を通り過ぎた。


勢いで強い風が吹き、髪は揺れて土も軽く舞い上がる程の速さで…。軌道が下に沈むことなく飛んでいったそれは、真っ直ぐ川嶺へと向かっていく。


「ぐお…っ!? なんだ…っ!?」


見事川嶺の右腕に直撃したのは…なんと鞘…。恐らく──いや絶対に先生がぶん投げたやつだ、すごいことするなぁ…。


だが今ので川嶺に隙が生じた…! 予期せぬ右腕へのダメージで、構えが著しく崩れている…! 攻め入るなら今がチャンス…!


「 “〝強化重ね〟── “煌列強化(こうれつきょうか)” …!」


素早く広域適応(プロパージ・マッチ)を展開し、煌列強化(〈脚+流〉)を発動させて一気に間合いを詰めた。


さっき以上の速度で近付いてきた私に驚いたのか、川嶺の重心が後ろへ流れていくのを見て取れた。


明らかに先生の攻撃が効いている。防御は難しいと判断しての退きの動き…、それも反射的にでた意図してない行動(もの)…! いける…!!


「 “〝気鋭士魂(きえいしこん)無閃新斬(むせんしんざん)” …っ!」


「グオアアアア…ッ!!?」


確かな手応えと苦しむ川嶺の声、大ダメージが入ったのは火を見るよりも明らかだった。これで倒れてくれ…!


そう願う私の思いをかき消すように川嶺の永刃が再び赤黒く光り始めた。鉄仮面の奥から見えた川嶺の眼には一切闘志が失われていない…。


一度退こうか迷った私だが…すぐに止め、代わりに脚を解いて集を発動させた。どうせ退いても斬撃は飛んでくる…、ならゼロ距離で受け止めてやる…!


「オラアアアアア…ッ!!!」


「うおおおおおお…っ!!!」


自分を鼓舞するように声を荒らげ、限界まで体中に力を巡らせる。川嶺の赤黒い永気も爆発寸前の様に大きく膨れ上がっていた。


あと数秒もせずに力と力が衝突するというそんな状況──そこへ当たり前のように飛び込んできたのは先生の半透明な永気。


さっきとは違い、今度は私ではなく川嶺の全身を包み込んだ。それに川嶺が反応するより速く、突然川嶺の顔が勢い良く横に揺れた。


まるで全力でぶん殴られたように頭が揺れた川嶺の永気は、風にさらされたロウソクの火のように大きくぶれていた。


私は完璧なタイミングで邪魔を入れられた川嶺の腹部に思いっ切り左拳を突き付け、容赦せずにぶっ飛ばした。


鉄仮面の隙間から出た血が宙に舞い、川嶺の体はグラウンドの端にある倉庫へと勢い良く叩きつけられた。


硬い倉庫の壁に衝突した川嶺は、壁に跡を残して静かにうつ伏せで倒れた。動かなくなったのを確認した私は大きく息を吐く…。


煌列強化と広域適応を解くと、どっと疲労感が襲ってきた…。永刃を鞘にしまい込み、私は地面の上に腰を下ろした。


「──やったな朝凪。まあちょっとやり過ぎた感は否めないところだが…、奴の自業自得としてそこは目を瞑るか…」


「あはは…ありがとうございます…」


駆け寄ってきた先生に頭をポンポンと軽く叩かれ、学校での戦いが終わった。無傷で突破できたのは完全に先生のおかげだ。


実力不足を反省していると、先生も同じ様に私の横にあぐらで座った。先生は(うつむ)いていて、表情もどこか暗い。


私にはその理由が分かっていた…。だから私も先生と同じ様に下を向いた…。


「──満足できたか…朝凪…」


「──はい…先生のおかげで…──ありがとうございました…」




【第63話 逆上する因縁 完】

特別処置待遇2人、戦闘開始! 次回に続く!

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