第62話 スクールライフ(2)
<戦いの技式>
第62話 スクールライフ(2)
“ガタンゴトンッ──ガタンゴトンッ──”
「──はぁぁぁぁぁぁ…」
「…いい加減ため息しまえよ…、福が逃げるぜ?」
程よく人が乗っている電車、その車両の1つで心地よい揺れを受けながら座席に座る縮と篠崎の姿があった。
しかし何故か縮は浮かない表情で深いため息を吐いている。
「だってさぁ…せっかくできた後輩が居なくなっちゃったんだよ…? ため息の100や200は出るでしょ…、──はぁぁぁぁぁぁ…」
「多いなため息の数が…」
そう言いながら縮はまた大きなため息を吐いて下を向いた。そんな縮の隣で、篠崎は呆れた様子で落ち込む様を見つめていた。
「居なくなったっつっても…卒業したら戻って来てくれるんだろ? 別に蒸発したわけじゃねんだし、なにを気にしてんだよ…?」
「そりゃそう言ってたし…、朝凪ちゃんがそんなイジワル言わないって分かってるけどさぁ…。──長いなぁ…って…」
縮はスマホをおもむろに取り出すと、浮かない顔のままカレンダーのアプリを開いて下にスライドさせていく。
そして何かを確認するや否や、篠崎に寄りかかってため息をこぼす…。
「朝凪ちゃんはまだ高2だから…あとまだ1年と4ヶ月もあるんだよぉ…。長いなぁ…、この気持ちは由には分かんないよ…」
「まあ実際お前ほど後輩少なくないからさ…、下手に気持ち分かるとは言わんけども…。そんなんじゃ桃乃ちゃんも浮かないだろ? シャキッとしろよ」
「──桃乃ちゃんもなんだよね…」
「揃って子離れ出来ない親かよ」
2人を乗せた電車は、駅で数人を乗せて再び走り始める。その間も縮の表情が晴れることはなく、篠崎も困り顔を浮かべる。
「後輩ちゃんが戻ってくる前に来年の新入隊員チャンスだってあんだしさ、それまでは希望を持てよ」
それを聞いた縮はより一層深いため息を吐いた。向かいに座っていた男女も大きなため息を聞いて縮の方に目を向ける。
「──もう無理だよそれはぁ…。由も知ってるでしょ…、私が入隊した6年前から何人が入隊してきたのか…!」
キッと睨まれた篠崎は、ばつが悪そうに頭を掻きながら目をそらした。
「いやまあそれも知ってっけど…それでも桃乃ちゃんが──…あーそうか…桃乃ちゃんは違うんだっけか…」
「そう…、桃乃ちゃんも──朝凪ちゃんとは違うものを抱えてウチに来たタイプだから…、正確には違ってるの…。最初から入隊したのは私だけ…」
縮はより寂しそうにうつむいてしまった。見かねた篠崎は肩をポンポンと軽く叩くが、縮の表情は一向に晴れない。
なんとか元気になってもらおうと思考を巡らせていると、不意に電車の窓からとあるものが目に飛び込んできた。
「おっ! 見ろよ縮、懐かしいのが見えるぜ」
「うん…? あれって確か…──御ノ諏タワー…?」
御ノ諏タワー──高さ115mを誇る御ノ諏街のシンボル。かつて川嶺 京介を捕える為に縮・桃乃・朝凪の3人が訪れた場所。
「そういや俺が後輩ちゃんに初めて会ったのは御ノ諏だったけな。なついなー、お前のマジ泣きとマジギレも」
「ちょっ…!? もう忘れてよそれはァ…っ! ──恥ずかしいじゃん…///」
縮は耳まで真っ赤になるほど恥ずかしがり、思わず両手で顔を隠す。御ノ諏タワーも次第にビル群に遮られ、やがてその姿を隠した。
その後も行き先分からぬまま、2人を乗せた電車はビルの間を走り抜けていく。
「ハハハッ、ちょっとは元気出たろ? 後輩ちゃんだってきっと久々の学校生活を謳歌してるだろうぜ、お前がいつまでも落ち込んでんなよな」
「──そうだね…寂しいけど頑張って受け止めるよ…。──あーあ、今頃朝凪ちゃんはクラスメイトに囲まれて楽しくやってるかな──」
「桧凪さ~んっ!! 無事退院したんですわね~! 良かったですわ~!」
「ウオオオこっち来んじゃねえ梅木ィ…! 朝凪から離れろやこの腐れサイコパスがコラァ…!! 殺菌してやろうかァ…!?」
「ナキちゃん語気が強いよ語気が…。もうちょっと抑えよう…? 女子高生の自覚をもっと持とう…?」
-2F廊下- <〔Perspective:朝凪〕>
──学校に復帰してから1週間が経った。次第に私周りの騒ぎも落ち着いていき、元の日常に戻りつつあった。
最初は割れ物注意の陶器みたいに扱われていた私の頭も、簡単には割れないと理解されてからは過保護が減った。
今だに対応が変わらないのはナキちゃんくらいなもので…。
だが1週間が経った今日…、いつかはこうなると覚悟していた出来事が起きてしまった…。いやまあ別に悪いことではないんだけどね…?
私の退院が鈴ちゃんにバレてしまったのだ…。逆によくバレずに1週間過ごせたなとも思うけれど…これは面倒なことなってしまった…。
「失礼ねっ! 誰が腐れサイコパスよっ! 貴方こそ邪魔しないでくださるかしらっ! 私は貴方ではなく桧凪さんに用があるのだからっ!」
「なーにが「用がある」だっ! どうせまた懲りずに告白にでも来たんだろォ!? 何度も何度も…朝凪を困らせるんじゃねえよっ!」
向かい合っていがみ合うナキちゃんと鈴ちゃん…。2年生の間では有名な犬猿の仲の2人のケンカに…教室から顔を出して観戦する人も出てきた…。
「普段はそうですが今日は違いますわ。今日は純粋に桧凪さんの退院と学校復帰をお祝いしようと思っただけですっ!」
そう言う鈴ちゃんの手には、大き過ぎないサイズの花束が抱えられていた。白くて可愛らしいきれいなお花。
確かに普段の鈴ちゃんなら…花束の代わりにラブレターを5通ほど持って現れるから…、本当にただお祝いに来てくれたみたい。
「ナァ巴、あの花ハ?」
「ハナミズキね。花言葉は“私の思いを受け取って”だったかしら」
「やっぱそのつもりじゃねえかっ!!」
「──チッ…勘付かれましたわ…っ!」
なんだこのやり取りは…。鈴ちゃんもいい加減に諦めてくれないかなぁ…、気持ちは嬉しいけど執着され過ぎるのはちょっと怖い…。
「なーんて今のは冗談ですわ。本当の花束はこっちに…──」
「アネモネに千日紅、それに胡蝶蘭ね。〝君を愛する〟〝変わらぬ愛〟〝あなたを愛しています〟だったかしら」
「ここまでクルと恐怖を飛び越エテもはや尊敬の域ダナ…」
2回目も速攻で下心がバレた鈴ちゃんは…強引に私に花束を差し出そうとしてきたが、ナキちゃんと巴ちゃんが止めてくれた。
花は綺麗なんだけどね? ここで優しさを出して受け取ると後で面倒になりそうだからね、しょうがないね。
「──仕方ありません、この場は甘んじて撤退しますわ。それじゃあね桧凪さん、本当に退院おめでとうーっ! またねーっ!」
思ったように事が進まないと分かった鈴ちゃんは、大きく手を振りながらどこかへ走って行ってしまった。
私たちは互いに顔を合わせ、もう一度鈴ちゃんが走り去っていった方を見つめた。──何だったんだろう今のは…本当に…。
‐そして時間が過ぎ、放課後‐
「オイオイ…お前等何やってんだ…?」
「見れば分かるじゃない、勉強を教えてるのよ」
今日の授業が全て終わり、生徒のほとんどは家に帰ったり部活に行ったりしていて、今教室に居るのは私を含めて4人だけ。
何故巴ちゃんに勉強を教えて貰っているのかと言うと、正直今の私が全然授業について行けてないからです…。
なんか知らない公式だの文法だのが平然と授業で飛び交っているせいで、まともにそれらを理解している暇もないのだ…。
それでこのままではテストで壊滅的な赤点地獄に墜ちてしまうと察した私が、巴ちゃんにお願いして色々教えて貰うことになったのだ。
「せっかくの放課後なのにわざわざ勉強トカ…、というか教室に残っててイイのか…?穂岬先生が嫌がるダロ…?」
穂岬先生は放課後になると大体パパッと教室を閉めてしまうので有名。萌夏ちゃんが心配する気持ちも分かる。
「問題ないわ、許可は貰っているから」
「渋々だったけどね…、17時までは居残っていいって言ってくれたっ!」
すっごい嫌そうな顔してたけど、私の成績ダウンをぶら下げたら腕組んで悩んだ挙句に許可してくれた。
ついでに今後も同じ様に教室で勉強できる許可も得た。──ただもしこれで成績ダウンしたら土に埋めるぞって言われた…。
「勉強なんていいから遊び行こうぜー…。どうせ大人になってからは結局使わねえってのに…そんなもん勉強するのに何の意味があんだよ…」
「大人になってからじゃなくて、立派な大人になる為に必要だからやってるのよ」
「めっっっっちゃ正論で草ダ」
ナキちゃんと萌夏ちゃんの勉強苦手組からは、さっさと帰ろうオーラ全開なのが見ただけで読み取れる。
特に勉強嫌いなナキちゃんはずっと「早く帰ろうぜー…」っと言いながら私や巴ちゃんにちょっかいを出している…。
「うーん…ごめんねナキちゃん…、でももうちょっとだけ勉強させてほしいなぁ…。もうちょっとだけ我慢してて…! お願い…!」
「──だーっもうしょうがねえなァ…っ! 終わったらなんか奢れよ…っ!」
手を合わせてナキちゃんに頼み込むと、ナキちゃんは頭をわしわしと掻いた後でヤケクソ気味に受け入れてくれた。
でもだからと言って一緒に勉強をしようとはせず、近くから勉強している私をただ見つめるだけ。萌夏ちゃんもスマホをいじって暇を潰している。
「──ったくよぉ…何が悲しくて放課後に教室で勉強なんてしてんだよ…。グラウンドじゃあ今日も狂ったように部活動に勤しんでる奴等が居るってのn──」
その時私はナキちゃんの言葉が不自然に遮られたことに妙な違和感を感じた。ナキちゃんはグラウンドの方を向いたまま固まっている。
──っと言うより…何か1つのものを見つめている様な…──
「ン? どうしたナキ、何か見えるノカ? どれどれ…──んん…? コリャどうなってんダァ…?」
ナキちゃんの様子の変化に気付いた萌夏ちゃんも同じ様にグラウンドの方へ目をやるが、やはり反応がどこか普通じゃない。
気になった私と巴ちゃんも席を立って2人と同じ様に外を確認した。
そこに広がっていたのは特に何もおかしくないグラウンド。だが明らかな異常がグラウンドに起こっているのも見て取れた。
いつもなら陸上部やラグビー部が走り込みや体力作りに勤しみ、雨の日以外は常に活気溢れる場なのだが…。
それとは真反対な異様な静けさが広がっていた。生徒は誰もいないのにも関わらず、水筒やラグビーボールだけが雑に放置されているだけになっている。
「──なぁ…この中にアレが誰だか分かる奴居るか…?」
ナキちゃんがずっと見つめる先には裏門の様なものがあり、そこには見覚えの無い謎の人物が立っていた。
全身に黒い衣装を纏い、明らかに悪目立ちするであろう仮面の様な物を被っている。──あれそれって確か…──
私が気付くと同時にその人物は背に手をまわして、何か細長い物を振り上げた。そして何もない宙に勢い良く振り下ろした。
遠くてハッキリとは分からなかったが…何か凄くヤバい気がする…っ! 物凄く嫌な予感がする…っ!
「皆離れてっ!! 伏せてェ!!」
私が皆に呼び掛けると同時に突然学校が大きく揺れ、教室のガラスが勢い良く割れて辺りに飛び散った。
衝撃で皆床に倒れ込んでしまい、私はガラスで腕を切ってしまった…。しかも巴ちゃんも左腕から出血している…。
「──すぅぅ…、俺の声が聞こえるかァァァァ!!!」
突然響く大きな怒号…、それはあの不審者──いや…あの異能犯の声だった。一体なにが目的なんだ…っ!? なんで学校を…!?
「俺は復讐者だっ!! 俺から大切なものを奪った奴を殺しに来たァ!! 大人しく出てこいっ!! 桧凪朝凪ァァァ!!!」
「はっ!? なんであの野郎朝凪を狙ってんだっ!?」
私もナキちゃんと同じ様に理解が追い付いていなかった。顔は見えないけど…声にはまったく聞き覚えがなかった。
私が前に捕らえた異能犯の可能性もあるけど…それにしては復讐に来るのが早すぎる…。仮出所だってないだろうし…。
異能犯の正体がまったく浮かばない…、犯行動機も何もかも…。
「──お前等っ! 全員無事かっ!?」
戸を開けて穂岬先生が勢い良く入ってきた。先生の表情からもこれがただ事ではないことが伺える…。
「岬先…っ! 巴が…それに朝凪も腕を…」
「私は大丈夫です…っ! それより巴ちゃんの方を…っ!」
先生は巴ちゃんの下に駆け寄り、ハンカチで傷口を抑えている。見た感じ傷はそこまで深くはないだろうけど…血が結構出ている…。
その間特に異能犯に動きはなし…、私が出て来るのを黙って待っているのかな…? でも今は好都合…今のうちに皆を避難させなきゃ…!
「ありがとうございます…先生…。もう大丈夫です…。」
「そうか分かった…、ハンカチはやるからずっと傷を押さえておいて…避難場所に居る空見先生に手当をしてもらえ、いいな…?」
巴ちゃんは萌夏ちゃんに支えられながらゆっくり立ち上がった。先生の指示で生徒は校門から避難することになったそう。
私たちは焦らず落ち着いて校門を目指して廊下を進むが、気持ちの悪い不安ともやもやが胸を支配していた…。
隊員として過ごしてきたから分かる…、この学校周辺には支部がなく…一番近い第三支部でも到着には少し時間がかかる…。
到着まであの異能犯が大人しくしているとは考えられない…。きっとまた何か悪いアクションを起こすに決まってる…。
──他の生徒と先生が危ない…っ!
「──ちょっオイ!? どこ行く朝凪っ!?」
「ごめん先に行っててっ! 直ぐに追いつくからっ!」
私はそう言って教室の方へ走って戻った。階段を上がって教室へと向かうと、別の教室に他の生徒が居ないかを確認している先生が居た。
目が合うと先生は驚いた表情を浮かべて声を荒げた。
「朝凪っ! お前なんで戻ってきたっ!? アイツ等と一緒に校門から避難しろって言っただろうが!」
「先生…っ! 永刃を私にください…! 私があの異能犯と戦って時間を稼ぎます…! そのうちに他の生徒の避難を…!」
たとえ勝てなくとも増援が来るまで死ななければこっちの勝ちだ。私の能力は受け性能も高いし、耐えるだけならそこまで苦戦しないだろう…。
「──ダメだ…っ! お前も不藤たちと一緒に避難するんだ…っ!」
「え…っ!? だって先生…っ! それが一番の選択で──」
「ダメだと言ってるんだ…っ!!」
穂岬先生は大きな声で私の訴えをかき消し、そして近付いてきた先生は力強く私の両肩を掴んだ。
「──前に言っただろ…、ここでお前が戦えば…確実に退学になるって…。お前は修学旅行の為に今まで頑張ってきたんだろ…? こんなとこで今までの努力を無駄にするな…朝凪…」
──先生の言葉がズシンッと響いた。先生の言う通り…私がここまでやってこれたのは修学旅行に行きたいが為と言っても間違いない…。
だからこそ…心が揺らいでいる…。ネジの緩んだ天秤の様にグラグラと感情が激しく揺れ動いている…。
「──とにかくお前は逃げろ…っ! 異能犯の目的であるお前は特にだ…っ! あの異能犯は──私がなんとかする…」
「なんとかって…そんなの無茶です…っ! それなら先生も一緒に逃げましょうよ…っ! 命がいくつあっても足りません…っ!」
「私は教師だぞ…? 生徒より先に避難するわけにはいかねえ…、それに心配すんな…死ぬつもりはねえからな…。とにかくさっさと逃げろよ…っ!!」
そういって先生は走って行ってしまった…。少しその場で立ち尽くして…そしてまた背を向けてもと来た廊下を辿った。
でも途中で足が止まってしまった…。頭の中で飛び交う葛藤が…一歩進もうとする足にストッパーをかける…。
──ここで私が戦えば…退学になって念願だった修学旅行は水の泡…。先生の言う通り…ここまでの努力が全て意味を無くす…。
──ここで皆と一緒に避難すれば…確実に修学旅行には行ける…。でもきっと先生は…──異能犯に殺される…。
今まで戦ってきた異能犯のほとんどが…何かしらの目的をもってはいても…それとは関係ない命を平気で奪うような奴ばかりだった…。
あの異能犯だって例外じゃない…。私に復讐する為だけに学校全体に攻撃を仕掛けるような奴だ…、邪魔する奴は間違いなく殺すだろう…。
戦って修学旅行を捨てるか…、先生を見殺しにして修学旅行に行くかの2択…。どっちを選んでもきっと──
私はまた少しの間立ち尽くし、そして大きく息を吐いて覚悟を決めた。階段を駆け下りて向かった先は玄関のすぐ近くにある部屋──教師専用のロッカー室だ。
──どっちを選んでも後悔するなら…、私は1人でも多く救いたい…っ! 後で泣くのは…私だけでいい…っ!
私はドアを開けて穂岬先生のロッカーに手を掛けた。最悪壊さないとって考えていたが、幸運にもロッカーの鍵は開いていた。先生不用心…。
開けると思った通り奥の方に私の永刃が立てかけてあった。永刃を手に取ってロッカー室を後にした私は、また教室棟へと戻った。
玄関からグラウンドに出ようとすると遠回りになってしまうからだ…。その間に異能犯がなにをしでかしてもおかしくない…。
1年生の教室に到着するや否や、予想していた通りに異能犯に再び怪しい動きがあった。永刃を振り上げて、また攻撃をしようとしている。
「俺を待たせるとはいい度胸だな桧凪朝凪ァァ!! 出てこないのなら…この学校ごと潰れて消えろォォォ!!!」
異能犯が永刃を振り下ろすと、さっきとはまるで違う攻撃が目に飛び込んできた。3階建ての学校と同じ高さの赤黒い斬撃の様なものが向かってきた。
さっきの攻撃は…視覚代償が一切ない状態での言わば手加減…。それでも学校が揺れるだけの威力…、これが学校に当たれば本当に潰れてしまう…!
「 “幡 強化式 【流】” …!」
窓から外に出た私は向かってくる巨大な斬撃に永刃をぶつけた。見た目通りの重い攻撃…流を使ってもキツい程だ…。
「──うおおおおおっ!! 壊れろォォォォ!!!」
力強く前に前に押すと、次第に巨大な斬撃にひびが入っていき、粉々に砕け散った衝撃で土煙が高く立ち上がる。
危なかった…ギリギリなんとかなったけど…、あんなの連発されたらたまったもんじゃない…。なんとか接近戦に持ち込まなきゃ…。
「──なんだ貴様等はァ! 俺の邪魔をしやがってェ!! それとも貴様等のどっちかが桧凪朝凪かァ!? どっちがだァ!!?」
──うん…? 等? どっちが? えっ…他に誰が──
「ああっ? どっちがだと? オイオイ、そのダセェ鉄仮面のせいで前見えてねえんじゃねえかァ? 他に誰が居るってんだよ?」
上の方から地面に降りてきた様な音と共に、その声は私のかなり近くから聞こえてきた…。それも良く聞き慣れた声が…。
やがて土煙は薄っすらと消えていき、次第にその姿が鮮明に見えてきた。ちょっとボサついた髪に火の付いていないタバコ、そして右手に握られている永刃。
私はその人物と目が合った──
「──は…っ? 朝凪…お前なんで…──」
「せ──先生…っ!?」
【第62話 スクールライフ(2) 完】
思わぬ助っ人!? 次回に続く!
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