01-8 アレフ (人間 35歳 冒険者)
そもそも、リオンの背にのぼるアレフについていったら、
「お前はこっちじゃない」
と言われたときから嫌な予感がしていた。
「こっちじゃないって、どっち?」
「リオンの前に立ってろ、運んでやるから」
なによ、人を荷物みたいに。
私はぶつぶつ文句を言いながら、リオンの前に立ったのだ。
その時だ。
ぐゎしっ!
突如として真横から現れた巨大なカギ爪が、私の胴体を掴みあげた。
「きゃあーー!」
私は、情けない悲鳴をあげた。
「だからリオンは仲間を襲わないと言ったじゃないか!」
「んなこと言われたって怖いものは怖かったのよ! 大体あんた絶対リオンに私を脅かせって言ったでしょう!」
「それは濡れ衣だ」
「なにニヤニヤしてんのよ! そんな顔で言われたって、信じられるわけないでしょうが!」
あのあと、リオンは私をしっかり握りしめて空へ飛び立ったのだった。
……食べられるかと思った…
あたしはニヤついた顔のアレフを睨んだ。こいつは離陸直後、完全に硬直している私を見て、ひたすら笑い転げていたっけ……
あとで覚えてろ。
そうこうしているうちに、リオンはかなりの距離を飛び
アレフが地上の一角を指さして叫んだ。
「ほら! あれが俺たちの目的地だ!」
覗き込むと、鬱蒼と茂ったジャングルの中に、円形の小さな村が見えた。
「着陸するぞ!」
アレフの言葉と同時にリオンがぐんと向きを変え、
その拍子に私を落っことした。
「リオォォォォォォォーンッ!!!!」
絶叫した。
私は小石のように落ちていった。青い空と緑のジャングルがぐるぐるぐるぐる回転している。
空
ジャングル
空
ジャングル
ジャングル
高度が下がるに従って、ジャングルの比率が高くなる。
空
ジャングル
ジャングル
ジャングル
空
ジャングル
ジャングル
ジャングル
ジ ャ ン グ ル……!!!
がしっ
あと少し、あとほんの僅かで尖った木の枝に突き刺さるというところで、私の落下は止まった。
あたしは腹に食い込む尖った爪を見て、
「リオンーっ! ありがとおおぉお!」
安心のあまり、危うく泣くところだった。
そして、
ふわり、と
リオンは、地上に降り立った。
「あーーーもう! 怖かったーっ!」
かぎづめの間から抜け出したあと、私は、やわらかな草の上に倒れ込んだ。
「もうやだもうやだもう絶対乗らないからね!」
「それもいいが、リオンに乗らんとこのジャングルから出る道がないぞ?」
アレフはあたしの文句を首をすくめて受け流し、「よいしょ」と荷物を背負いあげた。
「ほら、行くぞ」
「どこによ」
「あそこだ」
アレフが指さす先を見ると、さっき空から見おろした村があった。リオンの姿を見てだろう、門のところに人が集まり始めている。
人だけではなく、もふもふとした大きな犬も何匹かいる。
その中から、ひときわ目立って真っ白な犬がこっちに駆け寄ってきた。




