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病気の鍵

久しぶりの投稿です。

「お、お邪魔しまぁす……」

「どーぞー」


彼の家の内装は思った以上に普通だった。森の魔道士なのだから動物の骨が吊るされていたり大釜なんかが置いてあるのかと思っていたが、温かみのある木の床や壁は、階段や家具に囲まれ、怪しそうなものは何一つない。

誘導された椅子に座り、キョロキョロと辺りを見渡していると、カロルが二つマグカップを持って帰ってきた。


「口に合うか分からないけど」

「え、あ、ありがとう」


カップの中には茶色い少しドロっとした液体が入っていた。初めて見るものだが甘く落ち着く香りがする。一口飲むと体がホッコリと温まった。


「どこか懐かしい味がします。美味しいですね」

「それはよかった」


カロルは無表情だが、ちょっと嬉しそうに見えた。彼はこちらをじっと見つけながら同じ茶色い液体をすすっている。


「これは?」

「えっと、確か『ココア』って言ったかな?チョコを水で溶かしたものだよ」

「へぇ…」


もう一口飲んでみる。…これ、意外と好きかもしれない。


和やかなこの空間に自然と顔が緩み、何もかもを忘れてしまいたくなる。………が、そろそろ本題に入らなければ。


「カロル様。自分は貴方に会いにここへ来ました。お願いがあるのです」

「お願い?えっと、…君が?」

「はい。ラフィリエーネ・ディア・グラノアスと申します。グラノアス王国の第四王女です」


ペコリとお辞儀をするとカロルは小声で、王女様だったのかと独り言を呟いていた。そんなに王女らしくないのだろうか。まあいいけど。


「続けて」

「あ、はい。実はそのグラノアス王国で流行り病が流行してしまいまして、……確か400年前にも同じものが流行ったと聞いて貴方にその病の治し方を教えて欲しいのです」

「なんの病気かっていうのは分かる?」

「『ハッセン』です」


「ハッセン…」と呟くと、椅子から立ち上がり、腰についていた鍵の束から一番シンプルなデザインの鍵を一本抜いた。それを玄関のドアの鍵穴に差し込み、右に回す。


カチャリ


鍵の開く音がしてドアを開けると、向こう側から眩しい光が零れてきた。

さっきまでいた外もこんなに明るくは無かったはず。ということは……、


「魔法?」


気になって中を除くと、さっきまでの森ではなく、広々とした空間と、壁にびっしりと設置された本棚にこれまたびっしりと並んだ本。まるで図書館のようだ。


「来る?」


気付ばカロルはすでにドアの向こう側へ入っていた。手を差し出して来たのには戸惑ったが、少しの好奇心が自身をくすぐり彼の手をとった。


「ようこそ。僕の400年の記憶へ」

観覧ありがとうございました!

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