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魔道士の青年

やっと二人が出会いました!

不定期ですみません……。

アルビノだった私は、光が苦手だった。


国王も王妃もアルビノでは無かったので、幼かった頃は本当に二人の子なのかと疑われる程だった。

ラフィリエーネは、魔力持ちでありながらとても珍しい赤目と白髪から、いつしか『魔女』と呼ばれていた。

しかし、そんな彼女を両親は愛情を持って接してくれた。姉兄の中で一番愛されたのもラフィリエーネだったのかもしれない。

王妃である母は、生まれつき体が弱い人だったのでラフィリエーネが幼い頃に他界したが、最後の最後までラフィリエーネや家族を想っていたと聞いた。

誰にも優しく、美しかった王妃の死は民衆たちをも涙させ、皆がとても悲しんだ。


そして王妃は、最後に一つ願いを残していった。愛するラフィリエーネへ。


「あのね、ラフィ。私はこの国が大好きなの。だから、この国をよろしくね…………、」


*****


「…………」


『最果ての森』に入ってまだ数時間も経過していない。それなのに、目の前には丸太が規則正しく組まれた家がぽつんと佇んでいる。その家は、ラフィリエーネが探そうとしていた場所だ。もう見つけてしまったが。


おかしい。

ほとんど、自分は真っ直ぐ進んできただけだ。なのに、森に入った者は誰一人として帰ってきていない。こんな森なら誰でも普通に帰ってこれるはずだ。

最初はそれほど迷う森なのか、険しく危険な森なのだろうと考えていた。しかし、現実は木や草花が伸び伸びと自由に美しく育ち、葉の間から漏れる光はラフィリエーネを苦しめる光ではなかった。さすが、妖精の住む森と言うべきだろうか。気付けば深く考え込んでいた。


「……………ぇ、ねぇ、おーい」

「…………ん、!?」


突然声のした方に視線をやると、黒いフード付きのマントを深くかぶった青年が自分と並んで座っていた。


「さっきからずっと家の前に居たから話しかけてたんだけど、なかなか気付いてくれなくって」

「あ、それはごめんなさ……」

「でも、僕もやっと幽霊になれたのか〜って、ちょっと嬉しかったよ」


なんだこいつ。


初対面の人に言うのはなんとなく気が引けたので、どうにか言葉を飲み込んだ。


「まあ、お客さんが来てくれるのは久しぶりだからさ。ゆっくりしていってよ」


そう言って青年は腕を引っ張る。

青年は先程から感情がない棒読みに近い話し方をしていたが、その言葉だけは、何処か嬉しそうに聞こえた。

ふと、彼のフードが自分を引っ張った反動でとれ、さっきまでほとんど見えなかった素顔が露わになる。


あれ、この人って…………、


「僕は、カロル。よろしくね」


無意識にとくんと鼓動が鳴る。

空色の髪と瞳。整った顔立ち。夢で見る少年とは違い、骨ばった体つきで表情一つも変えないが、間違いない。


カロル。『不老不死』の呪いで戦いが激しかった400年前から行き続いけている魔道士の名前。現在では、そんな呪いを掛けられる者はおらず、彼の存在は幻だろうと言われていた。


そんな彼がまさか、夢の少年だったなんて誰が想像つくだろうか。


*****


「お疲れ様です、聖女様」

「はぁ、はぁ、……あ、使用人様」


ラフィリエーネを転送して後、ジュリアは立っているのも限界でその場に座り込んでいた。息は荒くなり、額から汗が流れてくる。使用人はジュリアにタオルを差し出し、口を開いた。


「これで、一安心ですね」


その表情は先程の無機質な表情とは違い、とても安堵していた。人の良さそうなおじいさんに見える。

ジュリアも使用人と同じく、苦しいはずなのに安堵の笑みが零れていた。


「はい、カロルの元が一番安全ですもの」


ラフィリエーネ様は命に変えても、私が……………。


昔とは真逆のように彼女は、人から避けられてしまっている。しかし、その人たちが皆、ラフィリエーネ様を嫌いな訳では無い。


彼女を守るために避ける。


もう、あんな辛いことを、二度と繰り返さないように。

観覧ありがとうございました!

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