プロローグ
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日差しがうまく行き届かないほどの奧深くの森に、1人の美しい王女が立っていた。
王女の腕の中には、産まれたばかりの小さな赤子がすやすやと眠っていたが、彼女は悪い笑みを向けると言い放ったのだ。
「醜い赤子よ。そなたに永遠の呪いをかけよう。」
辺りは突然、柔らかな光に包まれ赤子の鎖骨辺りも同時に光だす。
痛むのか赤子はぐずり始めたが、王女は宥めることはせず、嬉しそうに微笑みながらただ見つめたのだ。
しかし、くつくつと声を漏らすと、耐えきれず狂ったように声をあけて笑い出した。
「恨むならそなたの両親を恨むのだな!嗚呼、哀れよ!そなたなど永遠に苦しめばいい!」
一瞬、鋭く強い光に包まれたが、すぐに何も無かったかのようにいつもの簿暗さに戻った。ふと、赤子に目をやると、いつの間にか泣き止んでおり、また、すやすやと寝っている。先程光っていた鎖骨辺りには蛇のような形の標章がくっきりとついていた。
王女は赤子を木の根本に寝かせると、弧を描いたままの口を手で隠しながら、何処へ姿を消した。
置き去りにされた赤子は、やはり静かに寝息をたてながら眠っている。
*****
18年後、赤子の国は他国との戦が頻繁に起こるようになった。赤子は少年に成長し、一国の英雄となり、そして大罪人となる。
『貴方は醜くなんかないですよ』
そう言ってくれた彼女に出会ったのもその時期だった。
また会いたい。
そう願う少年の終わらない話。