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ArteMyth ―アルテミス―  作者: 九石 藜
オーグラン編
36/67

32話:三者三様

さてお話に入る前にいろいろ修正した部分があるので言わせてください。まず28話。アップデートの日付が一日遅れ八月二日となりました。それからハバラギ編のヴァロンとの戦いですね。セリフ一部変更しています。こちらは大した変更ではありません。あとは撃技の括弧を統一しました。修正しきれていない部分があればごめんなさい。直します。

相変わらず投稿後の訂正が多いです。ちゃんと見返せって話ですね。頑張ります。

 牙が突き刺さった箇所から血が流れるとともに猛毒が流し込まれる。すると怪我の部分から皮膚が紫と緑の斑点が広がり始めた。



「……あんた……何で……!」

「はぁ……はぁ……。後味悪いのは……私も同じだってーのッ……!」



 ヤナは急いで一番ダメージが通るであろう腹部に連続で斬撃を喰らわせる。ウロが痛みで叫び声をあげたことで顎の力は緩み、同時に尾の拘束も解ける。


 イブキは着地できる力が残っていたが、ミヒロは受け身も取れず地面へ落とされる。イブキはミヒロを抱えて後ろへ退いた。


 ヤナも二人と合流しようとしたが、凄まじいスピードでウロの頭が腹部を捉え、二人の近くの木に激突する。背中を強く打ち吐血するも、何とか立ち上がり二人の元へ合流を果たした。



「……ケホッ……ハァ……」

「大、丈夫……?」

「……ン……。ミヒロ……ハ?」



 ヤナがミヒロの様子を窺う。牙の刺さった部分から広がる毒はかなり速いスピードでミヒロの体を蝕んでおり、変色した皮膚は上腕部分や胸の部分にまで達していた。



「んー……どうだろ……。はぁ……はぁ……。でも、これ効くなぁ……!」

「バカ言ってないで座ってて! あとは私とその子で……!」



 そう言って立ち上がろうとしたイブキの手首をミヒロは掴んだ。驚くイブキを尻目にミヒロはふらっと立ち上がるとウロの方へ歩き出す。



「キシャァアアアアア!!!」



 ウロは弱った獲物を見て目を細め嬉しそうに雄叫びを上げた。自身の勝利を確信しているのだろう。


 その様子を見たミヒロが黙っているわけもなかった。危ない足取りで向かって行こうとするミヒロの腕を今度はイブキが掴む。反対側の手首はヤナが掴んでいた。



「その状態で行く気!?」

「……ミヒロ……モウ……!」

「バカ言ってんのは……そっち……! ヤナも……そんな顔しないの……!」

「はぁ!?」



 二人の手を振り解くと、ミヒロは後ろを振り返る。安心させるために笑顔を作っていたが、それはあまりにも弱々しく、明らかに無理をしていることが簡単に読み取れた。



「……心配なら、いらないよ……! それに、……競争中、でしょ……?」

「そ……そんなこと言ってる場合!?」

「言ってる場合。……こんなんで倒れてちゃ……はぁ……この先、思いやられるもん。倒せないなんて、話になんないよ……! 相手がどんな敵だろうと、乗り越えられなきゃ強くなれないんだ……!!」



 ミヒロは腰に巻いていた上着を投げ捨て大きく一回深呼吸をする。






「何も失わないために……強くなるよ、私は……! 誰よりもッ……!!」






 二人にそう宣言すると瞳はウロの方へ向けられた。二人の前に壁のように立ちはだかるその後ろ姿は、団長を名乗るに相応しいものだった。


 右手を何度か握る。毒によるダメージの他に神経麻痺の効果もあり、手は動くものの肩の感覚は少し失われていた。


 だが、回復する余裕はない。すでにウロはミヒロに狙いを定めていた。



「……呆れた。死んでも知らないわよ?」

「団長としての、意地だよ……! それに、……仲間残して死ぬもんか……!!」



 大きく啖呵を切ってミヒロは突撃する。トゥルゼスでウロの頭突きや尾撃を防御しながら腹部を叩きつけダメージを与えていく。毒の影響で何度か力が入らず、ウロから反撃を受けることもあった。


 だがミヒロは、一歩も引かなかった。たとえ損傷率が加算され続けていても、他の二人へヘイトが向かないよう必死に攻撃をし続けていた。



「……ったく……一番重傷のくせに……」

「……行ク? ……休ム?」

「喧嘩売ってんの? ……行くわよ。あんたもでしょ?」

「……ウン」

「……あんなの見た後で、じっとしてられるわけないじゃない……!」



 一方はミヒロの援護のため、もう一方はミヒロより先に倒すため。どんな理由であれ無茶し続けるミヒロ一人だけに戦わせるわけにはいかなかった。


 ヤナは一直線に駆け抜け、ミヒロに迫る尾の薙ぎ払いを受け止めた。だがウロは尾を引っ込めず巻きつかせてヤナを拘束したまま振り回され、木々はぶつけられた衝撃で薙ぎ倒されていく。


 ひとしきり木を薙ぎ倒し終わるとイブキに向かって投げ飛ばした。



「ヤナッ!!」

「……ケホッ、ゲホッ……!」



 イブキはかろうじてヤナをキャッチするも頭部からの出血がひどく意識も朦朧としていた。刀も途中で握る力を失ったせいか近くに落ちていた。



「ッ!! こっち向けェ!!」



 ミヒロはヤナへの追撃が行かないよう腹部や顎を攻撃に狙いを向かせる。ウロは対象を再びミヒロへと切り替えた。


 イブキはヤナを抱えたまま攻撃の届かない位置まで後退する。



「……どうする?」

「……行ク……!!」



 抱えられたイブキの手を離れ、おぼつかない足取りで刀を取りに行く。



「どうするって聞いておいてあれだけど……あんたは休んでなさい。……あとは何とかするわ」

「……ヤ、ダ……!」



 歩みを止めようと手首を掴んだイブキの手を払う。ヤナの目は死んでいなかった。視界が霞んでいようと敵に向かう執念にイブキは一瞬怯む。



「そこまでして動かれても、死んだらあいつが悲しむだけよ……!」



 イブキは親切心で休むことを薦めるもヤナの決意は変わらない。刀を握る拳に力が入る。






「……ミヒロ、ガ……死ンダラ……私ガ悲シイ、カラッ……!!」






 二本目の刀を取り終えるとウロの方を向く。出血は未だ止まらず鎖骨の部分まで広がっていた。


 ミヒロを死なせない。仲間として助けるために。


 ただ、その一心で立ち上がり、立ち向かう。


 自分の命を捨てて敵に挑む二人を見て、イブキは諦めたように溜め息をつき、二度も振り払われた手をじっと見つめる。



「二人ともどうかしてるわ……。……嫌いじゃないけど」



 立ち向かってくるヤナを視界に捉えたウロが尾をヤナ目掛けて突き出す。



「ヤナッ! 避けてッ!!」



 ミヒロの叫びも、ヤナには届かない。朦朧とした意識では、視力も聴力もあまり機能しない。


 そして尾の先があと一メートルまで迫った時、上から振り下ろされた何かによって地面に叩きつけられる。



「バカね。……ぼーっとしてんじゃないわよ」



 その何かは、イブキの両手斧だった。悪態を一つつくとイブキは地面にめり込んだ尾に向かってもう一度斧を振り下ろした。



「ギシャァアア!!??」



 土煙が高く舞い上がり、地面は縦に亀裂が入る。同時に尾は切断され鮮血を撒き散らす。ウロは叫び声をあげ暴れ回る。



「ほんっと……かったいわこいつ」

「よしッ! 大人しく……しなよッ!!」



 ミヒロはトゥルゼスでウロの顎を叩いて揺らした後、横っ面に向かって剣を振り抜き、ウロは吹き飛ばされ木々を倒していく。


 その衝撃音を聞いて、ヤナの意識が徐々に鮮明になっていった。だがまだ視点が定まらないとわかると、片方の刀の柄で自分の頬を殴る。そして何回か頭を振ると意識は完全に覚醒した。



「……やるわよ」

「……ウン……!」



 二人は同時に地を蹴って駆け出し、起き上がってきたウロの頭の位置まで飛び上がり、それぞれの武器を叩きつけ奥へ押し飛ばした。


 二人は着地するとミヒロの隣に立つ。



 ミヒロは浸食する毒によって右手が動かせなくなったのか、力が抜けだらんと下がっている。毒は肘の部分まで広がっていた。



「よく生きてたわね」

「死ぬもんかって言っといて死んでたらかっこ悪いでしょ! あともう一押しだとは思うんだけどねぇ……」

「……止メル」



 ミヒロが止めの方法を考えようとすると、ヤナはそう一言放ってウロの前へ出た。鬱陶しそうに頭部から流れる血をマフラーで乱暴に拭った。


 三人の損傷率は全員80%を超えていた。これ以上の長期戦は体力も持たない。そう思ったヤナはここで決着をつけようと考えた。



「ん、おっけー」



 ヤナの言葉の意図を汲むとミヒロは一歩下がって攻撃の準備に入る。それを見たイブキも作戦を察したのかミヒロと同じ位置まで下がる。



「私にも伝わってるけどいいの?」

「いいよ。……私が先に、止め差すから」



 浮かべるは勝利の笑み。イブキも面白そうに口角を上げた。



「ふふ。上等よ。足滑らせても文句言わないでよ?」

「うん!」



 作戦は三人の頭の中で共有された。あとは実行して成功させるのみだ。


 もちろん不安要素は山ほどある。だがそれを恐れていては見えた勝利は消えてしまう。


 それをわかっているからこそ、三人は決意を固めて逃げなかった。



「お願いッ!」

「……ウン!」



 ヤナは姿勢を低くすると地を蹴って走り出し、同時にこの戦いも終幕へ向かう。二人は静かにヤナを見守っていた。


 迫りくる先のない尾を二刀で力任せに軌道を逸らすと、腹めがけ片方の刀を突き刺す。



「シャァアア!」



 暴れるウロをものともせず、ヤナは突き刺したままの刀の柄を足場に跳躍しウロの頭部へ来ると、残った一刀を持つ腕を引き、高さと角度を調整すると横から力いっぱい両目に向かって突き抜いた。


 その刀は見事にウロの両目を貫くことに成功し勢いよく血液が噴出する。視界を奪うもヤナの仕事はまだ終わらない。


 タイミングを見計らい二人は止めの姿勢に入る。




「《撃技》ッ!!」

「《撃技》!」




 ミヒロの武器は青、イブキの武器は赤の光に包まれ、力を溜め始める。それを確認したヤナは着地した後、腹部に刺さっていた刀を引き抜くと大きく横に振りかぶりウロの腹を切り裂いた。



「ギ、シャァアアア……!!」



 腹部と口から血が漏れ出し、ダメージの高さから力が失われ頭部の位置が低くなる。それを見てミヒロは地を這うように駆け出し、イブキは逆に周りの木々と同じ高さまで跳躍する。






「〝無月差シ〟!!!」

「〝破天一斬はてんいちざん〟!!!」






 地からは剣が突き上げられ、天からは斧が振り下ろされた。


 上下から凄まじい攻撃が繰り出され、ウロは逃げることができずに空き缶のように押しつぶされた。その衝撃は森全域に伝わりそうなほど大きなものだった。


 攻撃を受けたウロは限界を迎えたらしく、力なく倒れ込むと光となって空へ吸い込まれていった。


 三人の目の前にはボス攻略の経験値及びレベルアップを示すステータス画面が現れ、それを見た三人は勝利を収めたのだと理解した。


ヘビさん強かったですね。強さを誤ると何話かけて倒すんだって言われそうなんですよね……。そのバランスが難しいです。

文章力は相変わらず。もう少し勉強します。

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