プロローグ あなたへ
突然ですが―
僕は人間です。
名前はありません。
理由は定かではありません。
ぶしつけに失礼なのですが―
僕の名前を探してくれますか。
僕と一緒に探してくれますか。
お暇でしたら是非探してください
見苦しいのですが―
僕は僕の名前を探しに行きます。
例えたどり着いた場所に僕の名前も僕自身さえ見つからなかったとしても、
僕はその少しの希望のために、ちょっとした冒険に出ようと思います。
たとえ見返りがなかったとしても、
怒らないでください。
たとえゴールにたどりつく前に君が死んでしまったとしても、
呪わないで下さい。
たとえ僕を見失って、深い森の中で迷子になってしまっても、
僕は君を迎えには行きません。
僕は一切、君の生命の保証はいたしません。
それでもいいというのなら、
僕の良いパートナーとして名前探しをしに冒険に出ましょう
君は僕についてきてくれるだけでいいんだ。
ただ僕はひとりぽっちじゃあ、さみしいだけなんだ
だってひとりぽっちじゃあ、僕の名前を呼んでくれる人なんていないだろう?
だから君と名前を探しに行くんだ。
こんな僕を少しでも愛してくれるというのなら
僕も君を愛しましょう。
君が愛してくれるなら、僕は絞め殺されたってかまわない…
君が愛してくれるなら、僕の最期がどんなに悲しい結末になってもかまわない…
ただ、
君がいつもそばにいて、
そして僕が無様な最期を迎える前に、君の声で名前を呼んでほしいだけなんだ。
さあ、一緒に幻の宝さがしに出かけよう。
僕を盲目的に愛してくれる人―