表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/10

第5話

* 5


「は、はわわわ......っ!!」

見てしまいました.....!えっと...横田さんが撃たれちゃって...それで色んな人たちに連れていかれて....はうぅ...。

「...佳代姉ちゃん?」

妹がこちらに顔を向け、眉をハの字にさせながら聞く。

「あっ!さっちゃん!だだだ大丈夫だよっ!お姉ちゃんがいるからね!」

「いや....私は別に大丈夫だけど...水鳥姉ちゃんの方がよっぽど心配。」

「えぇ!?私、妹に心配されてるの!?...お姉ちゃんなのに...。」

私は妹にも心配されているらしい...。これは姉としての威厳が問われるな...。

「あと...気になってたんだけど...。」

妹の灰崎(はいざき)さつきは呆れ顔で目線を私の顔から下に下ろす。

「はわわわわっ!?」

彼女の視線を追うと私の胸元には灰崎水鳥(はいざきみどり)と書かれたネームプレートが首から下がっていた。仕事着のまま買い物に来ていたから、ネームプレートさえも忘れていたのかもしれない。教師としてどうなんだろうか...。

「と、とにかくっ!横田さんを助けなきゃ!」

二つのこぶしにぐっと力を込め、今やるべき事を思い出す。そうだ、たった今謎の集団に拉致された我が校の生徒を救出しなければ。

「...どうやって?」

「え...えっと...それは...。」

どうやってと言われても...。私にはわからない...とは言えないし。あああ!?さっちゃんの顔から私への信頼の光が失われていく!もうケータイいじり始めてるよ!こんな状況下でよくいじれるね!肝が座りすぎだよ!しかも担任の水戸先生にメールしてるよ!どんな関係!?

やるべき事を頭から捨てて、今見ているものへの疑問を考えてしまうのも私の悪いくせだ。

...とにかく今は横田さんをなんとかしなきゃ!

「なるようになれぇーー!!」

「って...はぁぁぁ!?」

私は隠れていた建物の陰からまるでトカゲが尻尾を置いて逃げる時ぐらいの俊敏さで飛び出した。...今は「逃げる」の正反対のコマンドを選択しているけど。「立ちむかう」コマンドだけど。

だって!他に行動が思いつかないから!善は急げだよ!

横田さんは未だ連れ込まれた黒いトラックの中...のはず。距離は目測で30m。

ーーーいける。

私はこれから3日分くらいを生きるための気力を全て使って(もちろん比喩で実際に死にはしない...と思う)地面を蹴った。



ーー目が痛い。砂ぼこりでも入ったのだろうか。違う、粗末な布で縛られているからか。

背中に大きな圧を感じる。故意的な圧を。

ーーそうか。今私を取り押さえてるのはさっきの全身武装ども。きっと私は地面と頬を擦り合わせているんだろうな。

ーーよお地面。元気にしてるか?冷てぇなぁお前。

「うっ...」

先程水戸メガネの野郎にやられた傷が痛む。傷が止血用に押さえられてはいるが、消毒液ではなく別のものをかけられている。これは何だ...。

太い声が上で飛び交っているのに気づいた。男が3人か。会話は下衆な言葉で人を罵倒するような嫌な感じ。聞いてて吐き気がする。さらに聞こえるキュポンと酒瓶の開く音、それを飲む喉の音。

「ぐぁっ!!」

傷に何かが触れた。液体であるが、消毒液ではない。ーー酒か。こいつら傷に酒を...。いてぇことしてくれるぜ。あとで目が覚めたら脳味噌ばらばらにしてやる。

ところで何故私はこんな外で待たされているのだろうか。さっさと誘拐してくれりゃあ外の寒さに震えることもないのによ。

「誰だ!」

男の中のひとりが叫ぶ。他のヤツらもそれに反応したのかガチャガチャと音をたてている。

背中の圧が無くなったから逃げ出せるとか思ったが生憎そう簡単にいかないようだ。

手首も縛られてんのかよ...ってまぁ当たり前か。

ーーもしかしたら私を誰かが助けに来てくれたのか。いらねぇ親切だぜ。

息を大きく吸ってから大声で、

「おい!そこのお前!誰だか知らねぇが私なんか助けようとしなくていい!大人しく帰れ!」

素直になれずに被害者を減らそうとした。いいことしたぜ。

「お前は黙れ!!」

「ぐぁっ!!」

首元をやられた。また気絶かよ...勘弁してくれよ。

遠のく意識の中で聞こえたものといえば「嫌だ」という叫びと崩壊を連想させる轟音だけだった。




無敵のインドア派の私は根拠の無い自信の下で全速力でトラックに体当たりをかます。無言で。...こういう時って大体声を張り上げるのがデフォルトだけど私には無理だったらしい。

無論びくともせずに私の右肩が終焉を告げようとしていた。

「いったぁぁぁ!!」

「バカじゃないの!?」

急いでかけよるさっちゃん。あぁ、不甲斐ない私でごめーーー


「誰だ!」


大きな銃を持った、全身に甲冑みたいな格好(アーミーって言うんだっけ)をした人が私たちをみて言う。

「...女か。若い女を殺す趣味はないが、目撃者は消せとの上からの命令だ。悪く思うなよ。」

男が(顔は見えないが、低い声から男だろう)両手で抱えるように持っていた銃を私たちに向け構える。

ーーー私、ここで死ぬの?

途端に視界が真っ白になり、妹の顔がふと思い浮かんだ。

...さっちゃん。まだ高校にも入っていないのに。...お姉ちゃんがいなくなっても受験勉強頑張って欲しいなぁ。受験かぁ...公立中学に入ったさっちゃんはまだ経験してないから、相当なストレスが溜まってたりするんだろうなぁ...。

何故かわからないが周囲の瓦礫が輪唱するように音を立てているが、知ったことではない。

合格した時には沢山祝ってあげなきゃ...って私もうここで死ぬのに...。馬鹿だなぁ、私。

あぁ、誰かが私に向けて逃げろって。無理だよそんなの...すぐ撃たれておしまいだよぉ...。

親孝行もそんなにしてないし...まだ死にたくなかったなぁ...。

...死にたくなかった...死にたくない...死ぬなんて...。


「嫌...いやっ......イヤだぁぁぁ!!!!」


瞬間。私を中心に大きな地割れがおき、さっきまで音を立てていた瓦礫が八方に飛散した。割れた地面は盛り上がり、周囲の状況をあえて言葉にしてみれば

「崩壊。」

口に出しながら感じた。

体の奥底から疲労を超越した何かが私を蝕み。意識が無くなった。

地面に向かっている途中、瓦礫に襲われたアーミー集団の影から見慣れた人影が現れたが誰かまでは確認することが出来なかった。





「んーーっ。んーーーっ!」

猿ぐつわをされているのか声が出ない。視界も真っ暗だ。当然手足も自由が利かない。麻縄の様な感触があるのがわかった。いてぇ...。

「****************」

えーーー今誰か喋ってた?

「た**て************」

た...て?

くそっ耳までやられてるのか。これからどうしろってんだよ全く。

自分の耳がオシャカになったと思い、ショックを受けているとまともに声を聴けるようになった。

「助けてやるから全てを教えろ!」

はぁ!?なんなんだよ!さっきっからいきなり全てを教えろとか何言ってんの!?そもそもお前誰だよ!

んーんー唸っていると誰だか知らない誰かさんは私の猿ぐつわを取り外してくれたようだ。まともに口を開閉できるようになった。

「お前は誰だ!?目隠しも取れよ!あと縄!手首の縄解けよ!怪しすぎんだよ!」

「ーーえぇ?私そういう荒々しい口調嫌いなんだよねぇ。ーーもっと声を震わせて私に服従しているかの様な口でほら。ーーもっと縛って下さいとか言ってくれないのぉ?あはははは。」

「あぁ!?ふざけんな!さっさと取れよ!その声から女だな!?ひょろい身体で私を服従させようなんて考えてんじゃねぇぞ!」

私が怒鳴っているのに女は私の拘束具を取る気配さえ見せない。なんなんだ!ーーーまさかあの水戸メガネの野郎か?いや、それにしたら声が若すぎる。

「おい...お前水戸綾って知ってるか?」

知っていても絶対に口を割らないと分かっているが、一応聞いておこう。狼狽(うろた)える素振りを見せるかもしれないしな。目は見えないが息遣いが聞こえるから。

しかし返事は予想と全く異なる内容だった。

「水戸先生?知ってるも何も私のクラス担任だけど。」

...は?ということはこいつ沙芭(さば)高の生徒かよ...。

「聞いてどうするの?そんなこと。ーーこれは私が好きでやってること。水戸先生は関係ないよぉ?ざーんねん。」

好きで...やってること?まて、何かおかしい。そもそもここはどこだ?気を失う前は瓦礫だらけの街中。しかしここは砂ぼこりのある雰囲気ではない。

「おい、お前。ここがどこだか5文字以内で答えろ。」


「ーーー私んち。」



投稿遅れてほんっっっとうにすいません!!

受験終わってからも言葉に詰まったり、次が浮かばなかったり、打ち明けで忙しかったりで( 笑 )

ただ、これから1ヵ月で1話ずつまた投稿していきます。

内容は少ないですが、頑張って書いてるんで優しい目で見てくれたら幸いです(*º∀º*)

あと3、4話で完結予定なので気長に待っててください!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ