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序章


キーンコーンカーンコーン

 今頃私のクラスでホームルームが始まったであろう今。私は屋上に張られたフェンスの外にいます。

 吹き荒れる突風の中、この沙芭(さば)高校の制服で端っこに体育座りしてます…。寒い。

 「ホームルーム始まっちゃったよ?帰らないと…。」

 「あ?うっせぇな。それよりも今はこの状態からどうするか考えたらどう?」

 折角人が穏便に事を終わらせようとしているのにひどいなあ…。

 私に冷たい視線を送っているこの人の名前は知らない。なぜこんな目にあわされているのかもわからない。というかこんな冬場に防寒具無しで屋上はきついよ!なんであなただけマフラーつけてんの!?

 「とりあえず...あなたがそこをどいてくれれば私はフェンスの中に戻れるんだけど...どいてくれないの?」

 フェンスの上には有刺鉄線がびっしり。とても越えられそうにもない、となればこの女の子が座って塞いでいるこの扉らしきものを使うしかないだろう。というか屋上のフェンスに扉なんていらないだろ。

 「無理。見てわからない?ウチ今メイク直してんの。後でカレシに会うからかわいくしなきゃっ!♡」

 そう言って自慢するように、一組のカップルの映ったプリクラを見せてきた。男のほうにはK.Sとあり、女のほうにはR.Sとあった。

 というか化粧がマフラーにつきそ…まぁ言わないでもいいか。

 はぁ、どうしよ。ホームルームもう始まっちゃってるし、この子が諦めるまで待つのも退屈だなぁ。

 そもそも私、どうやってここまで運ばれてきたの?…不思議。

 まぁ、いつまでもこうしてられないよね。…よし。 

「ねぇねぇ。あなたの彼氏さんってさ、c組の墨田すみだ恭平(きょうへい)くんでしょ?」

「エ!?なんで知ってるの!?」

それはこの前あなたのことについて相談をうけたっていう記憶があるのでね。

とにかく食いついた。これはチャンス。

 「恭平くんと私、中学同じでさ。」

 私の記憶によれば、彼女と恭平くんは高校で知り合ったらしい…ということは中学の頃の恭平くんをこの子は知らないはず。それなら。

 「中学の頃の恭平くんと私。付き合ってたんだ___」

 「マジで!!?」

 私が言い終わる前にその話が本当か否かを聞いてくる。

 「本当。今よりずっと優しくて、可愛げがあったなぁ。」

 「クッソ!中学の頃の恭平…。ウチの知らない恭平をお前が知っているなんてッ!!」

 かかってるかかってる。

 ちなみに、私は恭平くんとは付き合ってない。仲がいい友達だとは思うけど恋愛としての目では見ていない。…という感じがした。

 恭平くんとやらは私の秘密を知らないだろう。けど、この子は多分…。

 ひとまず、フェンスの内側に入ろう。

「すごいんだよ?夜の恭平くん。いつもは可愛げがあったんだけど夜になると積極的になってきて…」

 自慢げに話している時、フェンスごしに怒りのオーラがこっちに向いているのがわかった。

 きた。やっと中に入れる

「テメェ!さっきから黙って聞いてれば!テメェ恭平とどういう関係だ!話せ!」

扉を開けて私の制服のリボン(胸ぐらといった方がいいのかな)を掴み屋上の床に叩きつけられた。痛い。気づけばもうここはフェンスの中。とにかく出れた。ここからが本番だ。

「だから、私は恭平くんと付き合ってたんだってー。」

「テンメェ……。恭平と付き合ってただけじゃなくそんなことまで…っ!!!」

付き合ってたらそれくらいするでしょ。最近の子はそんなに意気地無しなのか。

とにかく。私はこの子に聞かなきゃいけない。

「少し聞きたいんだけど…どうしてあなたは私にこんなことするの?」

「そんなの……。」

この答えが、キモイからとか、ウザイからとか、いじめられる理由にしっかりとなってればそれでいい。だけどここでこの子が私の秘密を答えたら…。

「…お前が年をサバ読みして学校きてるからだよ!」


 あーあ。やっぱりだめか。



キーンコーンカーンコーン

 「一時限目数学かよ〜。サボろーぜ!」

 「そうだな、屋上にでも行くか。」

 「賛成!」


ーーーー12月14日、2人の男子生徒が屋上で1人の女子生徒が倒れているのを発見。病院での検査の結果、女子生徒は記憶がないとの情報でーーーー


 

 私の頭の中にまた一人、ヒトが誕生した。

 このヒトの名前は鞘島さやじまりお。彼女はおそらく私に影響を与えるだろう。

 …口調とかな。








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