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思った以上にネガティヴな意味の単語

前回のエピソードでは、弥富さんが私の部屋にやってきて、1泊しました。

翌日、私は弥富さんと一緒に朝食を済ませた後、あらかじめパソコンから印刷しておいた資料のチェックを始めました。

弥富さんはそれに興味を持ったようで、私のところにやってきて

「先生、その資料は何ですか?」

と聞いてきました。

「これは生徒さん達が使った単語で、私が気になったものを集めたものよ。」

「どのように気になったんですか?」

「例えば、大した意味ではないつもりで使った単語が、実際には日本人が考えている以上にネガティヴな意味だったりとかね。」

「へえ。どんなものがあるか見せてもらってもいいですか?」

「まあ、この資料に書いてあることは教室に掲示するためのもので、レッスンで生徒さんに見せるものではないから、見せてもいいでしょうね。」

その資料のタイトルは「思った以上にネガティヴな意味の単語」で、生徒さんが実際に使った単語について解説したものです。

今回はその資料を弥富さんだけでなく、読者の皆さんにも公表します。



1)cheap

この単語は多くの生徒さん達が「安い」という意味で使っています。

ネイティヴスピーカーもよく使う単語なので、耳にすることも多いです。

とはいえ、この単語には落とし穴があります。

この単語を私の持っている英英辞典で調べると、次のように書いてあります。


low in price, charging low prices, low quality

(価格が低い、低い料金を請求する、品質が低い)


つまり安いことは安いけれど、品質がそれに伴ってないという意味合いも含まれることが多いです。

ですから「安い = cheap」で覚えていては、こちらがいい意味で「安い」と言ったつもりが、相手には「安っぽい」という意味で伝わってしまうことが考えられます。

もし「安っぽい」ではなく、「お買い得な」、「お手ごろな」という意味で安いと言いたいのであれば、inexpensiveまたはreasonableという単語をお勧めします。

reasonableはすでに日本語としても使われている単語なので、特に便利ですよ。

(この2語の意味にあまり大きな違いはありませんが、inexpensiveは品質を伴いながら価格が安い、reasonableは本来の価格に見合ったという意味で使うことが多いようです。)


なお、「安い給料」を英語で言う場合にはlow salaryと言います。

ですから「安い給料」ではなく「低い給料」と覚えておきましょう。

なお、cheapの反対はexpensiveですが、「高い給料」と言う場合はhigh salaryと言います。

cheapとexpensiveは給料について使う単語ではないので、注意してくださいね。


例文

・The cheap PC doesn't work well. I shouldn't have bought it.

(この安いパソコン、どうもうまく動かない。買わなきゃよかったな。)

・This product is inexpensive today.

(この製品、今日はお買い得ですよ。)

・Sarah has a high salary.

(サラの給料は高いです。)



2)stupid

この単語は「どうしようもない程のバカ」というようなニュアンスの単語で、日本人が考えている以上に程度のはなはだしい言葉です。

興奮している人が思わず使ってしまうことはありますが、冷静さを保っている時に人に向けて使うのはやめましょう。

また、自分に向けて“I'm so stupid.”と言った場合は、何だか自暴自棄になって、自分をひたすら責めているような言い方になりますよ。


日本語のバカ、バカらしいという単語はそれぞれfool、foolishがありますが、他にa little slow、a slow learnerという言い方もあります。

どちらも「ちょっと物覚えが悪い」という意味で、バカの意味を遠回しに言うことができます。

人をできるだけ傷つけたくない場合には、このslowを使った言い方にしてみるといいですよ。


例文

・She seems to be a slow learner.

(彼女はちょっと物覚えが悪いようです。)

・You gave us fake reports! How stupid!!

(偽装したレポートを渡すなんて!この大ばか者!!)



3)depression

この単語は人の感情について使うと、長期にわたって不幸で希望の見えない状態が続いていること。

経済について使うと、多くの人達が仕事を失い、非常に悪い経済状態であることという意味になります。

どちらも程度がはなはだしく、深刻な状態である時に使う表現です。

英会話では「不景気」という意味でdepressionを使う人がいるのですが、それだと世界恐慌のように本当に深刻な状況をイメージしてしまう可能性が高いです。

近年、私達が経験してきた日本の不景気の意味としては、ネイティヴスピーカーはrecessionと言っていることが多いので、私はこちらの単語を推奨しています。


例文

・That country is in a recession now.

(その国は今不景気です。)

・That country is in like The Great Depression now.

(その国は今世界恐慌の時のような状況です。)

・She has been depressed since her boyfriend passed away.

(彼女はボーイフレンドが亡くなってから、相当落ち込んでいる。)



4)hopeless

この単語は「希望のない」、「どうしようもない」と訳されています。

確かにそういう意味なんですが、結構きつい意味合いが含まれています。

もしも相手に向かってYou're hopeless.(君はどうしようもない。君に希望はない。)と言おうものなら、相手は相当傷ついてしまうと思いますし、冗談では済まされない場合も多いです。

私は映画の中でWe're hopeless.(一巻の終わりだ。)という意味で、この単語を聞いたことはありますが、自分ではたとえカッとなってもhopelessという単語は極力使わないように心がけています。


例文

・It's hopeless. There's nothing we can do any more.

(もうどうしようもない。私達にできることは何もないわよ。)



「なるほど。これらの単語って、このような意味だったんですね。私もcheapを単に『安い』という意味で使っていましたから、ちょっと意外でした。」

「まあ、この単語はネイティヴスピーカーもその意味で使っているのを聞いたことがあるから、必ずしもネガティヴな意味にはならないと思うけれど、もし相手にネガティヴとして解釈されると損だから、まとめてみたの。弥富さんとしては、この資料を教室の壁に掲示したらどう思う?」

「まあ、皆さんの役に立つのであればいいでしょうけれど、誰が言った表現なのかは書かないんですか?」

「それは伏せているわよ。というのも、もし私に悪気はなかったとしても、書かれた本人は嫌な気分になるでしょうから。」

「なるほど。先生はそういうことにも気を付けているんですね。」

「そう。生徒さんには色々教えながらも、嫌な気分にはさせたくないからね。」


私は弥富さんと色々会話をした後、その資料の他に今日レッスンで使用する資料を持って、部屋を出ました。

そして教室に到着した後、楽しくレッスンをしました。


弥富さんは集中的に3レッスンを受けた後、教室を後にし、次のところへと向かっていきました。

彼女はその日の夜、地元に帰っていったため、私の部屋に泊まったのは1日だけでしたが、私にとってはとてもうれしかったです。


今回発表した単語はこちらが考えている以上にネガティヴな意味になることが多い単語です。

内緒で言ってしまうと1)と2)は久矢君が、3)は坂江さんが実際に使ってきたものです。

(※4)は別の生徒さんが使ったものです。)

皆さんも、これらの単語については気を付けてくださいね。

それでは今回は以上です。読者の皆さん、See you.


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