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注意してほしいぞんざい表現

今日は、久しぶりに再会した弥富さんとレッスンをし、仕事が終わった後にカラオケに行きました。

彼女は以前、日本語の歌禁止でカラオケをしたいと言っていました。

そしてその通り、英語の歌だけを選んで歌っていました。

細かい発音の間違いなどはありましたが、十分に楽しんでいる感じでした。

さらには、途中から歌う合間の会話も英語にしたいと言ってきまして、そこからはカラオケ終了まで日本語禁止という状態になりました。

もちろん会話に詰まったりすることはありましたが、私は彼女の英語の勉強に対する熱心さに心を打たれました。


カラオケが終了し、日本語禁止を解除した後、私と弥富さんはカウンターまでやってきて、約束通り彼女が料金を払いました。

お店を出た後、私は歩きながら彼女との会話で気になったことを話すことにしました。


「弥富さん、私と英語で会話していた時のことなんだけれど、ちょっとアドバイスしてもいいかしら?」

「えっ?あ、はい。何でしょか?」

「ここ最近、弥富さんはwant to をwannaと言うようになったんじゃない?」

「はい。歌などではよくwannaという歌詞を見かけますし、それに会話でもよく聞きますから。」

「確かにそうね。でも私は英会話教室の生徒さんに対しては使わないことにしているの。」

「どうしてですか?このwannaはwant toを短くしただけで、意味は同じなのに?」

「そう考えているのなら、解説をしておいた方がいいわね。実はwannaはwant toと比べてぞんざいで、あまり上品な言い方ではないの。」

「えっ?これってぞんざいな言い方だったんですか?」

「その通り。だから私は親しい関係の人とぞんざい口調でしゃべる時以外は使わないことにしているし、生徒さんの前では親しい関係でも使わないことにしているの。父も生徒さんの前では常に言葉遣いに注意するようにと私に言っているし。」

「それじゃ、be going toを短くした、be gonnaはどうなんですか?」

「それもぞんざい表現だから、wannaと同様に考えているわよ。」

「そうなんですか…。全然気がつきませんでした。先生、すみません。」

「大丈夫。悪いことをしたわけではないんだから、謝る必要はないわよ。とにかく、wannaやbe gonnaを下手にネイティヴスピーカーの前で使ってしまうと、自分から印象を悪くしてしまうことにつながるから、気を付けてね。」

「はい。ところで先生、他に気を付けた方がいい表現って何かありますか?」

「そうねえ。一つずつ順番に説明していこうかしらね。」


というわけで、私は弥富さんを連れて自分の部屋に到着した後、夕食をとり、それに続いて彼女に注意してほしいぞんざい表現について解説をしていくことにしました。

歌や映画、ドラマなどではぞんざいな言い方が多く、状況をわきまえて使わないと自分から大変なことをまねいてしまうことが考えられますよ。



1)命令文

相手にお願いや命令をする場合、最初に動詞の原型を持ってきて、次に目的語を持ってくる表現があります。

この時、Pleaseをつけると丁寧な言い方になると私達は習っています。

これは間違いではないのですが、それでも相手に命令をしていることは同じです。


例文

・Do it.(やれ。)

・Eat this.(食べろ。)


こんなぞんざいな命令では、言われた方はかなりの確率で気分を害することでしょう。

一方、これらの表現にPleaseをつけると、意味としてはそれぞれ「やってください。」、「食べてください。」というような言い方になります。

(※状況によっては「お願いですから」と言う意味が加わります。)

確かに言い方は丁寧になりますが、これでも相手に嫌な思いをさせることがあります。

この場合、丁寧な言い方でお願いするにはどうすればいいのかは人によると思いますが、私なら次のように言ってみようと思います。


・I'd like you to do it.(あなたにやってもらいたいです。)

・I'd appreciate it if you could do it.(やっていただけるとありがたいです。)

・Why don't you try this?(これ、食べてみますか?)

・Help yourself.(どうぞ、召し上がってください。)

(※Help yourself.は相手に「召し上がってください。」と言う時の決まり文句です。)


これらの他に、DoやWouldを使った疑問文を使ってお願いすれば、相手にNoと言える余地を与えた上でお願いすることができますので、丁寧な言い方になります。



2)can'tを使った断り方

これは久矢君が私の母が作った料理を食べようとしたら、嫌いな食べ物があって、それを母に伝えたいという状況を想定してみました。

この時、弥富さんなら何て言いますかと質問したところ、彼女はI can't eat this.と答えました。

親しい人に言うのであればそれでもいいでしょうけれど、これだと「こんなの食べられない。」(久矢君口調なら「こんなの食えるか。」)と言っているような感じになってしまいます。

これを丁寧に言いたい場合、私としてはThat's not for me.(これは私には合わない。)をお勧めしようと思っています。

もし物事であればこの言い方の他にThat's not my thing.(私の得意なことではない。)という表現もあります。

この時、冒頭にSorryをつけると、さらに相手に配慮をすることができます。



3)クビ、解雇

日本だけに限ったことではありませんが、近年は定年まで同じ会社で働き続ける人が減少し、仕事を変えながら働く人が増えてきています。

その話題になった時「会社をやめる」、「クビになる」と言ったような表現を使うことになると思います。

「会社を辞める」を英語で言う場合は、leave officeが良く使われます。

この場合、officeの前にtheはつかず、無冠詞になります。

(He left office today.と言うと「彼は今日会社を辞めました。」という意味になり、He left the office today.と言うと「彼は今日は外出しました(大抵の場合は帰宅しました)。」という意味になります。)

一方、「クビになる」という表現には注意が必要です。

弥富さんはこれに該当する表現として動詞のfireを挙げましたが、この単語は英英辞典では

“to say that somebody can no longer work for you”

(これ以上働くことができないことを通達すること)

と書いてあり、さらには追記のような形で

“because of bad work, bad behavior, etc.”

(仕事ぶりが悪い、行いが悪いなどの理由による)

と書いてあります。

つまり、She has been fired.と言った場合、雇う側の言い分としては「彼女の仕事の態度などに問題があるからクビにした。」と言っているようなニュアンスになります。

会社を辞めさせる理由として確かにfireに該当する場合もありますが、会社側のやむを得ない理由による場合もありますので、いつもこの単語ばかりを使うわけにはいきません。

また、仮に労働者に責任がある場合であっても、会社側としては相手に配慮は必要だと私は思っています。

「クビにする」の婉曲的な表現としては、lay off、let go、show the doorなどがあります。

最初に挙げたlay offは大抵の場合「会社側にその人を雇うだけの余裕がない」という意味での解雇になりますので、fireより柔らかいニュアンスになります。

次に挙げたlet goはlet + 人 + goの形で「手を離す」という意味になる他、lay offと同じような理由で解雇するという意味にもなります。

最後のshow the doorは直訳すると「ドアを見せる」になります。

これではよく分らないかもしれませんが、要するに「ほら、あそこにドアがあるでしょう。」→「出ていきなさい。」と言っていることになります。


例文

・The company laid off 30 workers.

(その会社は30人を解雇した。)(←私としては「解雇する」よりは「自由契約にする」と訳したいところです。)

・Did Sam get laid off? What's going on?

(サムが解雇された?一体何があったの?)

・We're really sorry to say that but we had to let you go.

(本当に申し訳ないですが、君を手放すしかありませんでした。)

・They're going to show Ms. Lee the door.

・Ms. Lee is going to get shown the door.

(リーさんは会社を去ることになります。)



上記のことを説明したところでお風呂に入って寝る時間が近づいてきたため、解説は以上にしました。


「先生、色々と解説をしてくれて、ありがとうございました。それに今日は部屋まで提供していただき、本当にありがとうございます。」

「どういたしまして。私としては弥富さんとゆっくり話をする機会ができて、とてもうれしいわよ。これからも色々なことを教えていきたいと思うから、よろしくね。」

「はい。こちらこそまだまだ知りたいことがたくさんありますので、先生、よろしくお願いします。」


というわけで、今日は注意してほしいぞんざい表現と、その対策について解説をしました。

言葉遣いは相手に与える印象を大きく左右しますので、皆さんもぜひ身に付けてほしいです。

それでは今日は以上です。読者の皆さん、Good night.…じゃなくて、See you.

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