意味を混同しやすい単語(1)
私の両親、アーロンと桜はその後、ハワイに帰って行きました。
彼らが日本にいる間、私は講師としての仕事を中断していましたが、帰国翌日から仕事を再開しました。
今日は再開後、最初の授業です。
ある土砂降りの雨が降っている日、私は久矢君と1対1でレッスンをしていました。
すると、突然雷で窓の外がピカッと光りました。
その時、彼は“Oh, a thunder!”と言い、それに続いて「ゴロゴロ…。」という音が鳴りました。
私はそれを聞いて“What?”と思ったため、後でこのことについて指摘をすることにしました。
レッスン終了時間になると、私はいつも携帯している英英辞典を取り出し、thunderの単語をひきました。
「久矢君、さっき“Oh, a thunder!”と言った時のことなんだけど、この単語は不可算名詞で、“the loud noise that comes after lightning”(稲妻の後に来る大きなノイズ)と書いてあるから、日本語では『雷鳴』、つまり音になるわよ。」
「あれ?日本語の『雷』は英語でthunderというと思っていたんだけれど、違うの?」
「久矢君は雷の光に驚いたわけだから、この場合はlightningよ。ちなみにこれも不可算名詞だから、さっき驚いた場合は“Oh, lightning!”と言うべきたったわね。」
「うわあ、全然気付かなかった。日本語では音と光を区別せずにいつも『雷』と言っているし、混同しちゃったよ。」
というわけで、英語で雷と言う場合、音ならthunder、光ならlightningとなり、単語を使い分ける必要がありますので、注意してください。
その後、私はこれまでの経験を思い出しながらあらかじめまとめておいた作品を印刷して、空き時間に彼に見せることにしました。
今回はその原稿をここに掲載します。
1)chooseとselect
これらは、日本語ではどちらも「選ぶ」という意味になります。
英語でも意味がかぶることが多いです。
実際、TOFICのCDを聞いた時、You should choose….と言っている場合もあれば、You should select….と言っている場合もありました。
でも使い分けなければならない場合もありますので、これから説明していきます。
・choose
まず選択肢が2つでそのうちの1つを選ぶ場合は、このchooseを使います。
選択肢が3つ以上の場合で、あまり考えずに選んだり、勘で選ぶ場合はこちらの単語を使います。
さらには自分の好みで選ぶ場合にこの単語を使うことが多いようです。
・select
上記にもありますが、この単語は選択肢が3つ以上の場合に使います。
さらには実績やバックグラウンドなどを考慮し、じっくりと考えた上で選ぶという意味合いがあります。
ですからオーディションで誰かを選ぶ場合や、本を出す場合にどの出版社にするかを選ぶといった場合が当てはまります。
とはいえ、テストで3択以上の問題を解く時、それなりに考えた上で正解を選ぶ場合には、どちらの単語でもOKということになります。
例文
・You can choose whatever you want to eat.
(食べたいものを何でも選んでいいですよ。)
(※好みで選べるため、ここではchooseがおすすめです。)
・I'm going to select this company if I publish my books.
(私は本を出版するなら、この会社を選ぶつもりです。)
(※3つ以上の会社から、いろいろ考えた上で選ぶということになります。)
2)memoとnote
日本語では「メモを取る」と言うと「メモ用紙に何かを書きとめておく」という意味になり、「ノートを取る」と言うと「ノートに何かを書きとめておく」という意味になるのではないかと思います。
どちらの表現でも、紙に必要事項などを書くという点では共通しています。
一方、英語のmemoとnoteは、紙に書く点では共通していますが、この後どうするかという点が異なっています。
それぞれの意味を英英辞典で調べた場合、次のように書かれています。
・memo … a note sent from one person or office to another within an organization
(組織の中で別の人または別のオフィスに送られるノート)
・note … some words that you write down quickly to help you remember something
(何かを忘れないようにするために素早く書きとめておく言葉)
つまり、英語のmemoは書いた後に他人に連絡するもの、noteは自分が忘れないようにするものという意味になります。
この違いは英和辞典に書いてないことが多いので、なかなか分かりにくいです。
ちなみにこれらの2語はどちらも可算名詞ですので、使う時には単数と複数を区別しながら使うことになります。
つまり、相手に渡すメモが1つの場合はa memo、2つ以上ある場合はmemosとなります。
というのも、memoはmemorandumを短くした形なので、複数形になるとmemoes ではなく、memosとなります。
また、「私はよくノート(note)を取ります。」という場合は、複数の記録が残ることになるので、I often write down notes.と複数形になります。
ちょっとややこしいですが、これらの点を忘れないようにしてくださいね。
例文
・This is a memo for you.
(あなたへの伝達メモです。)
・Excuse me. Could you show me your notes?
(すみません。あなたのノート(どちらかと言えば、メモと訳した方が良さそうですが…)を見せていただけますか?)
(※このnotesは文房具のノートではありません(その場合はnotebooksです)。また、数にこだわっていないため、notesと複数形になっています。)
「ふうん、一見同じように見える単語にも、こんな違いがあったんだな。全然知らなかった。」
「まあ、これらは学校では教えられないこともあるし、テストの問題にしにくいこともあるから、知らない人も多いでしょうね。でも区別できるようになれば、講師の私としては『この人、できるわね。』と思えてくるから、久矢君にはぜひそうなってほしいわね。」
「おいおい。あまり期待するなよ。こっちだってマイペースで勉強しているんだから。」
「あら、そう。」
この時、私としては謙遜ではなく「よおし、絶対にサキの期待に応えてやるぞ。」みたいな、積極的な返事を期待していたので、ちょっと残念でした。
でも彼のことなので、きっとマスターして使いこなせるようになると思っています。
現に、私は後日、ちょっとテストをしてみましたが、大体正確に説明できましたので、私としてはうれしかったです。
さらには、彼が「もっと他にこういった単語や表現ないの?」と言ってきたため、私は同じテーマで作った作品の残りを見せることにしました。
それについては、また後ほどここに掲載していきたいと思います。
それでは今回は以上です。読者の皆さん、See you.