英語以外の言語に由来するカタカナ語(2)
今回は前回に引き続いて、英語以外の言語に由来するカタカナ語を挙げていきます。
ここでは主に医療や理科に関する単語を挙げていくことにします。
これらの単語はドイツなど、英語が公用語でない国からやってきたものが多いので、たいていの場合、英語では通じません。
ですから、ここで正しい英単語を身につけていただければと思います。
・ノイローゼ
語源はドイツ語の“neurose”です。
英語では“nervous breakdown”と言います。
これには病名としての神経衰弱という意味もあります。
「ノイローゼである」はto have a nervous breakdown、「ノイローゼに苦しむ」はto suffer from a nervous breakdownと言います。
・ギプス
語源はドイツ語の“gips”です。
よく「ギブス」と言われますが、つづりを見ればそれは誤りなのが分かると思います。
英語では“plaster cast”と言います。ちなみにこれは可算名詞です。
plasterは「石こう」という意味です。最近では石こうに代わる素材が主流になっているけれど、名前はそのままになっています。
なお、plasterを省略して、castだけの場合も多いです。
「ギプスをする」はto put on a plaster castです。ちょうど衣服を着るのと同じ動詞を使います。
「ギプスをしている」はto wear a plaster cast、「ギプスを外す」はto take off a plaster castですので、これも衣服と同じ動詞になります。
また、ギプスは自分で取り外すのではなく、お医者さんに取り外してもらうものなので、to get a plaster cast removedと言うこともできます。
・ウィルス
語源はラテン語の“virus”(発音はウィールス)で、ドイツ語の“virus”(発音はヴィールス)として日本に入ってきました。
英語ではつづりこそvirusで同じですが、発音は「ヴァイラス」となっています。
「コンピューターウィルス」は英語でもそのままcomputer virusと言います。
ですから、発音さえ間違えなければそのまま通じますよ。
・ワクチン
語源はドイツ語の“vakzin”です。
英語では“vaccine”で、発音は「ヴァクシン」となります。
「インフルエンザワクチン」はa flu vaccine、またはa vaccine against the fluと言います。
なお、fluはinfluenzaを短くした言い方です。
短くせずにフルネームで言ってもいいですが、口語では短くすることが多いです。
「ワクチン注射をする」はvaccinateと言います。
なお、注射をしてもらう場合は受動態で使うことになります。
また「予防接種」はvaccinationと言います。
何らかの病気に関する話題になった時、virusとvaccineという単語はよく出てきますので、ぜひ覚えておきましょう。
・ボンベ
語源はドイツ語のbombeです。
英語ではgas cylinderと言います。
cylinderは「円柱」という意味だけれど、文脈によってはこの一語だけでもボンベという意味になります。
酸素ボンベを英語で言うと「an oxygen (gas) cylinder」になります。
日本語でもボンベという単語はよく使うと思いますが、その分、英会話でbombeと言い間違えてしまうこともあると思いますので、私としてはぜひ覚えておいてほしいですね。
理科や医療に関するカタカナ語は他にも色々あります。
しかし、その分野に精通した人でなければ使う機会が少ないと思うので、ここからは名前と英語名を簡単に説明しておきます。
・ピンセット
語源はオランダ語の“pincet”です。
英語では“tweezers”または“forceps”と言います。
この単語は常に複数形で使うので、数える時にはa pair of tweezersという言い方をしますし、主語もitやthisではなく、theyになります。
・フラスコ
語源はポルトガル語の“frasco”です。
英語では“flask”と言います。
・(手術などで使う)メス
語源はオランダ語の“mes”です。
英語では“scalpel”と言います。
・シャーレ
語源はドイツ語の“schale”です。
英語では“petri dish”または“culture plate”と言います。
日本語では「ペトリ皿」という言い方もあるので、それを訳せば英語でも使えますね。
・カルテ
語源はドイツ語の“karte”です。
この単語は英語の“card”にあたります。
このcardとドイツ語のkarteは同じ意味です。
私は以上のようにまとめて、弥富さんにメールを送りました。
その後、彼女からは次のような返事が届きました。
咲先生、こんにちは。弥富伊予子です。
この度は、私に色々な単語を教えていただきまして、誠にありがとうございます。
私はこれまで英語で通じない単語を何でも和製英語だと思っていたので、今回のメールの内容を読んで驚きました。
そして私自身、他の人がボンベやギプスと言った時に
「それは和製英語ですよ。」
と忠告したことがあったので、これを読んでちょっと恥ずかしくなりました。
でも先生のおかげで外来語は英語だけではないということを知ることができました。
これからはその点を気を付けていこうと思います。
ここ最近、先生の所に行くことができずにいるため、レッスンを受けられなくてすみません。
でも英語の勉強は自主的に続けているので、今度会ってレッスンを受ける時には、以前よりも上達した姿を見せたいと思います。
これからもよろしくお願いします。
それでは先生、See you.
私達がカタカナ語として使っている単語には、英語としてそのまま通じるものもあれば、日本で生まれた和製英語、さらには他の言語に由来するものなど、本当に色々です。
それらを覚えるのはなかなか大変ですが、それらを調べてみると、その度に新たな発見があるので、私はそれが楽しみとなっています。
このことはテストの点数には直接結び付かないでしょうけれど、受験やテストから解き放たれているのであれば、こういうことにも興味を持ってくれると私はうれしいです。
それでは今日は以上です。読者のみなさん、See you.