英語以外の言語に由来するカタカナ語(1)
弥富さんは私とレッスンをした時に和製英語について学んで以来、色々な単語を調べては作品にしたり、メールで質問をするようになりました。
弥富さんと直接会う機会が少ない私にとってはメールでのやり取りはとても楽しいです。
ただ、彼女はネイティヴスピーカーには通じない英単語や表現を何でも和製英語と解釈してしまうような気がしました。
和製英語の定義は人によって違いこそありますが、私は日本で作られた英語風のカタカナ語と解釈していますので、英語以外の言語に由来するカタカナ語の場合は当てはまりません。
というわけで、私はそのような単語を集めて、弥富さんに送ることにしました。
今回はその時のメール内容をここに掲載します。
・ピーマン
語源はフランス語の“piment”です。(ただし、「ピーマン」を意味するフランス語は“poivrons”。)
英語では色によって“green pepper”、“red pepper”、“yellow pepper”と名前を使い分けたり、あるいは“sweet pepper”と言ったりします。
日本で見かけるピーマンはほとんどの場合緑色なので、“green pepper”と覚えておけば問題はないと思います。
(なお、唐辛子は“hot pepper”となります。)
・パプリカ
語源はハンガリー語の“paprika”です。
英語では色によって“red pepper”、“yellow pepper”と名前を使い分けたり、あるいは“bell pepper”と言います。
とりあえずbell pepperと言っておけば色まで区別する必要はなさそうだから、これが一番便利な単語だと思います。
・パン
語源はスペイン語の“pao”です。(aの上には「~」が付きます。)
英語では薄く切ってから食べるパン(食パン、フランスパンなど)の場合は“bread”ですが、ハンバーガーやホットドッグに使うパンなど、切らずに1個まるごと食べる場合は“bun”となります。
なお、breadは不可算名詞で、a piece of bread(大きな塊の場合)、a slice of bread(薄く切った場合)と数えるけれど、bunは加算名詞だから、使い方には注意してくださいね。
・バカンス
語源はフランス語の“vacances”です。
同じ意味の英語は、アメリカ英語では“vacation”、イギリス英語では“holiday”が一般的です。
動詞と組み合わせて使う場合はtakeを使い、take a vacation、take a holidayという使い方をします。
なお、英語圏では「旅行をする」という意味合いが含まれることがあるので、もし連休中に家でゴロゴロ過ごしていたら、ただのday offになってしまうかもしれませんね。
・ゴム
語源はオランダ語の“gom”です。(英語のgum(意味はお菓子のガム)にあたる単語です。)
英語ではrubberという単語が使われています。
(rubber単独では不可算名詞だけれど、輪ゴム(rubber band)は可算名詞です。)
ゴムの木は英語でgum treeと言うので、gumにもゴムの意味合いは残っています。
しかし私達が日常使っているゴムの意味はrubberという単語に明け渡し、自らは「ガム」という意味になってしまった感じです。
余談ですが、複数形のgumsには「歯ぐき」という意味もあります。
(歯ぐきは少なく見積もっても上下2ヶ所にあるので、複数形になります。)
・グミ
語源はドイツ語の“gummi”です。(これも英語のgumにあたる単語です。)
英語では“gummy”となり、「ガミー」に近い発音をします。
これはドイツで子供達に噛むことを推奨する目的で誕生しました。
・シュノーケル
語源はドイツ語の“schnorchel”です。
英語では“snorkel”となります。
最近は日本語でも「スノーケル」という名称が定着してきているので、今後はそちらの名前の方が定着していくかもしれませんね。
ちなみに私の知り合いのネイティヴスピーカーの人は「どうして日本人はsnorkelを「シュノーケル」と発音するんだろう。」と言っていました(笑)。
・ゲレンデ
語源はドイツ語の“gelande”です。(aの上には「‥」が付きます。)
英語では“ski slope”または“slope”と言います。
ゲレンデ1つについて言う時には単数形だけれど、スキー場にあるゲレンデそのものを言う時には複数形を使います。
(スキー場には複数のゲレンデがあるので、実際の会話では複数形で言うことが多いです。)
・オードブル
語源はフランス語の“hors d'oeuvre”です。
英語ではつづりはこのままだけれど、発音は「オーダーヴ」という感じに聞こえます。
日本では大きなプレートにたくさんの揚げ物などが乗せられ、メインのおかずのような意味になりますが、フランスや多くの英語圏ではメインディッシュの前に提供され、食欲をそそるための前菜の意味になります。
「オードブル」の意味する料理は国によって違うから、ちょっとややこしいかも?
・アンケート
語源はフランス語の“enquete”です。(真ん中のeの上には「^」が付きます。)
英語では“questionnaire”となります。
単語自体は全然違うけれど、意味は日本語のアンケートと同じなので、単語をquestionnaireに置き換えればそのまま使えますよ。
・ジャンル
語源はフランス語の“genre”です。
英語ではつづりはこのままだけれど、発音は「ジョンラ」という感じに聞こえます。
なお、意味は日本語の「ジャンル」と同じだから、発音さえ間違えなければそのまま通じますよ。
私自身、色々単語を調べたら、当初の予想以上に集まったため、この項目は2つに分けることにしました。
というわけで、このメールを送った後、次の原稿を作成し、また弥富さんに送ることにしました。
今回は弥富さんのメール内容が全然ありませんが、それについては次回に掲載することにします。
それでは今回は以上となります。読者の皆さん、See you.