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りんごはいかがですか?

この度ハワイに住んでいる私の父、アーロンと母、桜が1週間の予定で来日することになりました。

私は久矢君と一緒に空港まで出迎えに行き、久しぶりの再会を喜びました。

リムジンバスの乗っている時、私は父から発音や文法のチェック、さらには英会話講師としての心構えなどに関するチェックを受けることになりました。

その中で、私は父から次の文章の違いをきちんと説明できるか、質問を受けました。


・Would you like some apples?

・Would you like any apples?

・Would you like apples?

・Would you like an apple?

・Would you like the apple?

・Would you like apple?


私は自分の答をはっきりと伝えました。そして父も“OK, good job.”(OK、よくできた。)と言っていました。

チェックの結果はもちろん合格で、私は講師としての弾みもつき、ますますやる気がわいてきました。

その後、私達が英語で話す様子を聞いていた久矢君は上記のことが気になったようで、後で私に質問をしてきました。

「サキ。これらの文章を訳すと、どれも『りんごはいかがですか?』だよね?」

「日本語ではそうなりそうね。でも英語では全部状況に違いがあるので、講師だったらこれらの違いも説明できる必要があるでしょうね。」

「へえ、そうなんだ。でもappleって可算名詞なのに、最後の文章では冠詞が無いよね。」

「そう。このappleは不可算名詞だから冠詞が無いの。」

「えっ?それで意味として成立するの?」

「成立するわよ。これがどういう状況なのか知りたい?」

「うん、ぜひ!」

「じゃあ、順番に説明していくわね。」


というわけで、今日はリムジンバスの中で冠詞の有無による意味の変化について説明していきたいと思います。

ちなみに上記の文章は全て相手にりんごをあげようとしている状況を想定しています。


・Would you like some apples?

以前「someとany」の回で説明をしていますが、復習も兼ねて再び説明をします。

この場合は相手がりんごを受け取ってくれるだろうという前提で、りんごを渡そうとしています。

この時に相手が「結構です。」と言ってきたら、渡そうとしている人は驚くかもしれません。

また、あげようとしている相手が一人の場合は「いくつかの、数個の」という意味で解釈してかまいませんが、仮にこのyouが複数の場合は、それに応じて数が増えてしまいます。

ですから人数の確認が必要かもしれませんね。



・Would you like any apples?

この場合は、相手がりんごを欲しがるかどうか分からない状況の中で問いかけています。

ですから、相手が結構ですと言ってくればあげる必要はなくなります。

相手の答がYesの場合でも、あげる数は1個だけになるかもしれませんし、複数になるかもしれません。



・Would you like apples?

この場合、数は一切考慮しておらず、「とにかくりんごその物はいかがですか?」と問いかけています。

相手の答がYesの場合は当然あげることになりますが、アメリカ人などの感覚では、日本人と比べて数や量が多い傾向があります。

ですから、こちらが思っているよりもたくさんのりんごをあげる羽目になるかもしれません。

場合によっては大量のりんごをあげることになってしまう可能性もあり得ます。



・Would you like an apple?

この場合、どのりんごなのかは考慮せずに、「1個のりんごはいかがですか?」と言っています。

自分が複数のりんごを持っている場合、この中から無作為に1個を選んで相手に渡すことになります。



・Would you like the apple?

この場合は、どのりんごなのかを特定した上で、「その1個のりんごはいかがですか?」と言っています。

自分が複数のりんごを持っている場合、無作為ではなく、特定の1個を相手に渡すことになります。



・Would you like apple?

久矢君が不思議に思っていたこの文章ですが、可算名詞が不可算名詞として扱われることもあります。

この場合は「原形をとどめていないりんご」という意味になります。

つまり1個のりんごをいくつかに切り分けたり、すりおろしたりした上で、「りんごはいかがですか?」と言っています。

基本的に可算名詞は原形をとどめていない状況になると、不可算名詞として扱われます。



「なるほど、原形をとどめていないりんごだと不可算名詞になるのか。全然知らなかったなあ…。」

「確かにこれは英会話でも上のレベルで触れることになると思うので、知らない人が多いのも無理はないかもしれないわね。でも母親が子供にりんごをあげようとしている時などによく聞きそうな表現なので、英語圏で過ごしていれば学ぶ機会も多いでしょうね。」

「サキは桜さんからこのような感じで、切ったりんごをもらったことはある?」

「たくさんあるわよ。特に小さかった頃はね。私りんご大好きだから。でも、母とは日本語で話していたので、いつも母は『咲、りんごほしい?』って言っていたけれどね。」

「日本語だったんかい!」



その後、久矢君は私の母とその時のエピソードについて問いかけたことをきっかけに、私が幼かった頃の話をし始めました。

私としてはちょっと照れくさかったですが、4人で楽しい時間を過ごすことができました。

その話題の後、父アーロンは久矢君に「僕と英語で話してみないか?」と提案してきました。

久矢君は私以外の人と英語で会話をしたことが少なかったので、最初は緊張気味でしたが、すぐに

OK. I'll try it.

(オーケー。やってみます。)

と言って、会話に挑戦することにしました。

そのエピソードに関しては、次回の久矢君の登場回で触れてみたいと思います。


日本語では一口に「りんごいかがですか?」と言う場合でも、英語では冠詞の有無で色々と違う意味になります。

これらの違いを正確に伝えることはちょっと難しいですが、何度も練習をして身に付けていってくださいね。

今日は以上です。それではみなさん、See you.



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