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最後にアップ、ダウンのつく和製英語

私は以前弥富さんとレッスンをした時、和製英語になっているカタカナ語について指摘をしました。

それから彼女はすっかり和製英語に興味を持ったようで、自分で色々調べるようになりました。

それを裏付けるように、ある日、私あてに彼女からメールが来ていました。

タイトルが「和製英語について」だったので、私は

(弥富さん、「この単語は和製英語ですか?」と質問をしてきたのかな?)

と思いながらそのメールを開きました。

すると、あいさつ文に続いて次のようなことが書いてありました。



先生、私この度「プライスダウン」、「コストダウン」というカタカナ語が和製英語であることを知りました。

その時、じゃあ正しい英単語は何だろうという疑問がわいてきたため、自分で一生懸命調べることにしました。

そして先生の作品を参考に、私なりに文章をまとめてみたので、ぜひ見てください。



1)プライスダウン

この言葉は「割り引き」、「値引き」という意味で使われており、PRICE DOWNという英語表記もよく見かけます。

しかしこれは和製英語なので、ネイティヴスピーカーには伝わりません。

英語ではdiscountと言います。この単語はすでに日本語のカタカナ語としても定着しているので、使いやすいのではないかと思います。


例文

・Could I get a discount?

(割り引きしてもらえますか?)

・Could you give me a discount?

(割り引きしてもらえますか?)



2)コストダウン

会社などで「経費削減」という意味でこの単語が使われていますが、これも和製英語です。

英語ではcost reductionと言います。ちょうど、経費削減を英語に直訳した形になります。


例文

We need more cost reduction. Do you have any ideas?

(私達はもっとコストダウンが必要です。何かアイデアはありますか?)



先生、どうでしたでしょうか?

もし間違いや、何か補足したいことがあったら遠慮なく教えてください。

私も英語の勉強頑張ります。それでは先生、See you.



私はまさか弥富さんが自分で作品をまとめてくるとは予想していなかったため、驚きました。

確かに私のやり方にそっくりですし、まとめ方も見事だったので、読んでいてすごく嬉しくなりました。

私は返信の中で、これを読んだ感想に加えて、遠慮なく補足もしておくことにしました(笑)。



補足

・私の持っている英英辞典では、downの定義は

“to or at a lower level”

(低いレベルに、低いレベルで)

となっています。

ですから“price down”、“cost down”と言うと、「値段や経費のレベルを下げる」と言っているような感じになり、よく分からない意味になってしまいます。


・割り引き、値引きという意味の表現は、discountの他に、low priceや 50% OFFという表現もあります。

これらの表現はチラシ広告などで見ることができますよ。


・コストダウンという意味の正しい英語は、cost reductionの他に、「コストダウンする」という意味の動詞でreduce costsと言うこともできます。

(costには可算名詞、不可算名詞の意味がありますが、この場合のcostは可算名詞で、通常複数形になります。)


例文

We can no longer reduce costs.

(もうこれ以上コストダウンはできません。)



その後、私は弥富さんのメールに即発されて、最後にアップ、ダウンのつく和製英語についてさらにまとめてみることにしました。

今回はその原稿をここに掲載します。



3)ベースアップ

メーデーの頃にニュースなどで「賃金を上げる」という意味で「ベースアップ」という言葉をよく聞きます。

これはbase pay(基本給)をアップするという意味で「ベースアップ」と言うのではないかと思います。

(ちなみにbase priceで「基本価格」という意味になります。)

一方、英語では「賃金を増やす」という意味でpay increase、または「賃金を上げる」という意味でpay raiseと言います。

baseという単語は単独で使うと「土台、基礎、野球のベース」という意味になるので、後ろにpayをつけなければネイティヴスピーカーに「基本給」を連想させることはできないと思います。


例文

・I'd like to receive a pay increase at least 50 dollars.

(私は少なくとも50ドルのベースアップがほしい。)

・The company didn't give us any pay raises this year.

(その会社では今年、全くベースアップがなかった。)



4)イメージアップ、イメージダウン

英語のimageは簡単に言うとthe general impression、つまり「世間一般の印象」という意味になります。

私達はこれを改善することをイメージアップ、損害を与えることをイメージダウンと言っていますが、このままでは和製英語です。

英語では前者はimprove one's image、後者はdamage one's imageと言います。

ちょうど「イメージ」の意味は英語と同じですが、imageの発音は「イミッジ」なので、その点を注意してください。


例文

・He needs to improve his image to win an election.

(彼が選挙を勝ち抜くにはイメージアップを図る必要がある。)

・Harmful rumor had seriously damaged our company's image.

(風評のせいで私達の会社は深刻なイメージダウンを受けた。)



5)グレードアップ、バージョンアップ

物の質や、ソフトウェアのバージョンが上がることについて、私達は「グレードアップ」、「バージョンアップ」という単語を使っています。

一方、英語ではupgradeと言います。

最近ではこれらが和製英語であることに気付いて、英語として通じる「アップグレード」というカタカナ語を使う人が増えているようなので、そのうち「グレードアップ」、「バージョンアップ」は使われなくなっていくかもしれません。

なお、ソフトウェアのversion形式の数字が大きくなる場合では、version upgradeというように、versionまでつけるとより分かりやすくなりますよ。


例文

・Why don't you upgrade the product?

(この製品をアップグレードしてみてはいかがですか?)

・When is the next version upgrade of this software?

(このソフトウェアの次のバージョンアップはいつですか?)



なお、次に挙げるカタカナ語は、英語と同じ意味で使えます。

・ダウンロード(download)

・ダウンタウン(downtown)

・アップデート(update)

・クローズアップ(close-up)

・スピードアップ(speed up)



いかがでしたでしょうか?

一般に、最後にアップやダウンのつくカタカナ語は、和製英語である可能性が高いので、注意が必要です。

みなさんも英会話や海外旅行では注意してくださいね。

今日は以上です。それではみなさん、See you.


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