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名前を間違えやすい飲食物

ある日、私は弥富さんと一緒にレッスンをする機会がありました。

設定は、コンビニエンスストアや飲食店で私が店員になり、弥富さんが買い物や注文をするというものでした。

一通り会話をやり終えた後、私は彼女にレッスンの感想について問いかけてみることにしました。


“Yatomi-san. How was today's lesson?”

(弥富さん。今日のレッスンはどうでしたか?)

“I think … I could do it …, but ….

(自分ではできた方だと思いますが、でも…。)

“But, what's the matter?” It's alright if you speak Japanese.”

(でも、どうしましたか?日本語を話しても大丈夫ですよ。)

“Oh, really?”

(えっ?本当ですか?)


この時点ではまだレッスンの最中ですが、ここから日本語でのやり取りになりました。


「先生、『私がフライドポテトとアメリカンドッグをください。』と言った時に、少し顔をしかめたように見えたのですが、気のせいでしょうか?」

「確かにちょっと表情に出てしまったわね。というのも、それらは和製英語に入ってしまう単語だから。」

「えっ?そうなんですか?じゃあ、ネイティヴスピーカーには通じないんですか?」

「日本語に精通している人なら通じなくもないけれど、英語圏では正しく通じないと考えた方がいいでしょうね。」

「じゃあ、フライドポテトとアメリカンドッグの正しい言い方を教えてくれますか?」

「いいですよ。ただ、もうすぐレッスン終了の時間なので、後で紙に印刷して渡してもいいですか?」

「OKです。」


私は次のレッスンの時間が空いていたので、それを利用して文章をまとめました。

今回はその時の原稿をもとに、名前を間違えやすい飲食物について挙げていきたいと思います。



1)フライドポテト

ファーストフード(fast food)の店でよく言う単語なので、使用頻度の高い単語です。

でもpotatoは普通、切っていない状態のジャガイモを意味するので、fried potatoと言った場合、ネイティヴスピーカーには「1個のジャガイモをまるごと揚げた物」と解釈される可能性があります。

日本語のフライドポテトは、アメリカ英語では“French fries”(FrenchのFは大文字)または“fries”と言います。

ポテトという単語が出てきませんが、アメリカ英語で「揚げ物」と言えば、自動的に切ったジャガイモを揚げた物だと解釈されることになります。

ちょうど、日本語で揚げ物と言えば「てんぷら」の意味になるのと同じですね。

ただ、French fried potatoesという言い方もあるにはあるので、こちらが「フライドポテト」と言ってしまったとしても、相手がきちんと理解してくれる可能性はあります。

なお、イギリス英語では“chips”と言います。

日本語でチップスと言えばポテトチップスの意味になるので、ややこしいですが、イギリス英語圏に行ったことのある人なら“fish and chips”(白身魚のフライとフライドポテト)という単語に出会ったことがあると思います。

(作者もオーストラリアにいた時、何度も注文して食べたことがあります。日本で言うなら、小腹が空いた時におにぎりやアンパンを食べるような感覚でした。)

ですからそれをイメージできれば納得できるのではないでしょうか。



2)アメリカンドッグ

ソーセージをトウモロコシの衣で包み、油で揚げた食べ物を、私達は「アメリカンドッグ」と言っています。

これはアメリカから伝わったのでこの名前がついたのでしょう。

しかし英語でAmerican dogと言ってしまうと、文字通り「アメリカの犬」となってしまい、店員さんから「この人、一体何を言っているの?」と思われそうな気がします。

正しい英語は“corn dog”と言います。これは衣の原料がトウモロコシだからでしょう。

ネイティヴスピーカーと話す時や、海外では間違えないように気をつけてくださいね。



3)アメリカンコーヒー

普通のコーヒーよりも薄めのものを私達は「アメリカンコーヒー」と言っています。

これもアメリカから伝わったのでこの名前がついたのでしょう。

しかし英語でAmerican coffeeと言ってしまうと、こちらも文字通り「アメリカのコーヒー」となってしまい、やはり意味不明なことを言っているように受け取られてしまいます。

正しい英語はweak coffeeと言います。

(ただし、薄めのコーヒーであってもweakを使わず、coffee一語となることも多いです。)

また、濃い目のコーヒーのことをstrong coffeeと言います。

ちなみに根本的なことですが、coffeeは「コフィー」と発音しないと通じませんので、ご注意ください。



4)ブラックコーヒー

日本語で「ブラックコーヒー」と言った場合、砂糖やクリーム(またはミルク)の入っていないコーヒーの意味になります。

それに対し、英語ではクリーム(またはミルク)の入っていないものをblack coffeeと言います。

この場合、砂糖の有無は考慮していないため、砂糖を入れてもblack coffeeという意味になります。

砂糖やクリームの入っていないコーヒーを飲みたいことを相手に伝える場合は、

“Black coffee without sugar, please.”

というように、砂糖がいらないことを伝える必要が出てきます。


例文

A: What would you like to drink?

(飲み物は何になさいますか?)

B: Coffee, please.

(コーヒーください。)

A: Black or white?

(クリーム無しですか?入れますか?)

B: Black, please.

(クリーム無しでお願いします。)

(※この場合、コーヒーと一緒に、スティックに入った砂糖が出てくることが考えられます。)



5)サイダー

日本語では無色透明な炭酸飲料のことをサイダーと言っています。

この単語は海外から炭酸飲料が日本に持ち込まれた時に伝えられたものなので、日本生まれの和製英語というわけではないのですが、今の英語では正しく伝わりません。

ちなみに私の持っている英英辞典では次のように定義されています。

“a drink that is made from pressed apples”

(押しつぶしたりんごから作られた飲み物)

つまり、現在の英語では「りんごの飲み物」という意味になっています。

さらに詳しく言いますと、アメリカ英語ではりんごジュース、イギリス英語ではりんご酒と書かれています。

国によってcider(他に、cyderというつづりもあります)の定義が違いますが、少なくとも無色透明な炭酸飲料という意味では伝わりません。

これに該当する英単語はsoda pop、またはsodaになります。

(popで通じる場合もあります。)

この単語にはコーラやジンジャーエールも含まれる場合が多いです。

飲み物に関する表現は国や地域によってまちまちな場合もあるので、注意が必要です。



「先生、色々と教えていただき、ありがとうございます。」

「どういたしまして。これでこれらの単語は今後間違えずに済みそうですね。」

「はい。でも先生は飲食物について、他に間違えやすい単語を知っているんでしょうか?」

「私の経験では、生徒さんがアイスコーヒーをice coffeeと言っているのを聞いたことがあるわね。」

「えっ?その単語って間違いなんですか?」

「そう。正しい単語はiced coffee。つまり『冷やされたコーヒー』と解釈していることになるわね。」

「じゃあ、Ice coffee, please.と言ってもアイスコーヒーは出てこないんですか?」

「出てくるとは思うけれど、そのiceを氷と解釈されたら変な意味になってしまうから、ちょっと笑われるかもしれないわね。」

「あっ、言われてみればそうですね。では、その単語についても気をつけます。」



というわけで、今回は名前を間違えやすい飲食物を色々と挙げてみました。

(他にもまだありますが、とりあえずこれだけにしてみました。)

海外で間違えるとみんなの前で恥をかく可能性があるので、ぜひこの機会に覚えてください。

今回は以上です。それではみなさん、See you.


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