可算、不可算で意味が変わる名詞
前回、私は可算名詞と不可算名詞について解説をしました。
大抵の名詞の場合、可算なのか不可算なのかは名詞によってほぼ決められているので、覚えてしまえば何とかなります。
しかし前回も書きましたが、cabbage(キャベツ)には可算、不可算の両方の意味があり、一筋縄にいかない物もあります。
復習もかねてもう一度書きますと、通常、この単語は不可算名詞になり、可算名詞になるのは農場で栽培されている時や、スーパーで1玉丸ごと売られている時(この場合も不可算名詞と解釈されることが多いです。)等に限られます。
この単語の場合はどちらの場合でもキャベツという意味になりますので、間違えてもあまりたいしたことにはならないと思います。
しかし中には同じスペリングでも可算名詞と不可算名詞では意味が違うものもあり、気をつけないと大きな誤解を招く可能性があるものもあります。
今回はそれらの単語について挙げて見ることにしました。
なお、今回は本来であれば弥富さんの出番なんですが、彼女には1話待っていただくことになりました。
1)paper
電話などで伝言を書きたくて紙が必要な場合、他の人のところにメモに使える紙があれば、私達は
「紙1枚ください。」
とよく言います。
ではこれを英語で言った場合、次のどれが当てはまるでしょうか?
①Could you give me paper?
②Could you give me a paper?
③Could you give me a piece of paper?
日本語では単に「紙」と言った場合、1枚の紙をイメージすることが多いと思いますが、英語で“paper”と言った場合は、どれくらいの量なのかはっきりしません。
父に質問したところ、1枚の紙よりも、紙の束または塊と解釈されるケースが多いと言っていたので、もしかしたら必要以上の紙を渡されてしまうかもしれません。
ですから①番はあまり適していません。
②番では可算名詞として扱われていますが、この場合は「新聞」という意味になってしまいます。
つまりこれは「新聞を1部ください。」と言っていることになるので、これは違います。
というわけで、相手に正しく伝わるのは③番のCould you give me a piece of paper?になります。
ちなみにa piece ofは、a sheet ofと言っても大丈夫です。
・A piece of paper, please.
・Do you have a piece of paper?
という言い方もあります。
英語のpaperにはこのような違いがあるので、注意が必要です。
2)hamburger
このhamburgerという単語にも可算、不可算の両方の意味があります。
一見すると、どちらも「ハンバーガー」に見えてしまいますが、英英辞典にはそれぞれ次のように書かれています(説明を簡単にするため、一部文章をカットしました)。
・可算名詞の場合
a sandwich with chopped meat that has been formed into a flat round shape, in a soft round bread roll
(やわらかくて丸いパンの中に、平らな丸い形に整えられたひき肉の入ったサンドイッチ)
・不可算名詞の場合
meat from cows that has been cut into very small pieces
(小さなピースにカットされた牛の肉)
つまり、可算名詞の場合は「ハンバーガー」、不可算名詞の場合は「ハンバーグ」という意味になります。
見た目ではわずかな違いですが、それによってこの単語の意味はかなり変わってしまいます。
ちなみにhamburgと言った場合は、ドイツ北部にあるハンブルクという都市の名前になってしまいます。
実は私も過去に間違えたことがあるので、印象深い単語になっています。
例文
・Do you like hamburgers?
(ハンバーガーは好きですか?)
(※この場合、私はsをしっかりと発音し、相手に誤解されないように気をつけています。)
・Do you like hamburger?
(ハンバーグは好きですか?)
3)corn
意外かもしれませんが、cornにも可算名詞、不可算名詞としての意味があります。
では、「トウモロコシ」という意味のcornはどちらでしょうか?
日本語ではトウモロコシを1本、2本と数えているので、可算名詞と考えたくなるでしょう。
しかし、英語ではその意味のcornは不可算名詞です。
(多分、小さな粒がたくさん集まり、1つの集合体となってトウモロコシになるからと解釈されているためだと思います。)
一方、可算名詞として解釈した場合は「魚の目」という意味になってしまいます。
(もちろん、足にできるあの痛いできものです。)
ですから、間違えて使うと恥ずかしい思いをするかもしれません。
とはいえ、仮にcornを可算名詞として扱ったとしても、私は文脈でトウモロコシだと分かりますので、特に初心者の場合はほとんど黙認しています。
(久矢君が間違えたらお笑いネタにしてみようと思っていますけれどね。)
ちなみにトウモロコシ1粒はkernel(これは可算名詞)と言います。
なお、発音の似た単語として“cone”(発音はコウン。一方、cornの発音はコーン)があります。
これは「円すい」、「カラーコーン」という意味になります。
(ちなみに可算名詞です。)
発音次第ではこちらの意味に解釈されてしまうこともあるので、注意しましょう。
例文
・Do you like corn?
(とうもろこしは好きですか?)
・To barbecue, we need to buy three more onions and five ears of corn.
(バーベキューをするには、たまねぎをさらに3個とトウモロコシを5本買う必要があります。
(※トウモロコシを数える必要がある場合は、an ear of cornと言います。)
4)chicken
この単語は結論から言いますと、可算名詞の場合は「ニワトリ」、不可算名詞の場合は「鶏肉」になります。
ですから、「鶏肉は好きですか?」と言う場合に
“Do you like chickens?”
“Do you like a chicken?”
と言ってしまうと、それぞれ
「ニワトリは好きですか?」
「1羽のニワトリは好きですか?」
という意味になってしまいます。
同様に“I'd like to have a chicken.”と言うと、
「1羽のニワトリを食べたい。」(←文脈によっては「一羽のニワトリを持ちたい。」)
という意味になってしまいます。
文脈次第ではchickenを可算名詞として使っても、鶏肉だと解釈してくれる場合もありますが、すると今度は
「鶏肉を丸ごと1羽分食べたい。」
となり、まるで北京ダックを1人で全部食べようとしているかのように伝わってしまいますので、ぜひとも間違えないようにしてほしいです。
5)beef
この単語はほとんどの場合、不可算名詞である牛肉という意味で使われていますが、可算名詞としての意味もあることはあります。
その場合は「不平」、「不満」という意味になります。(複数形はbeefs)
ですから“Would you have beef or chicken?”(または単にBeef or chicken?”)
(牛肉にしますか?鶏肉にしますか?)
と聞かれた時に
“I'll have a beef.”
と言ってしまうと、相手は牛肉を食べたいということは理解してくれると思いますが、実際には「私は不満を持つでしょう。」と言っていることになってしまいます。
ちなみにここで“I'll have a chicken.”と言うと、「私は1羽のニワトリを食べます。」という意味になるので、どちらの間違いでもお笑いネタになってしまいそうです。
(さらに付け加えますと、ここで“I am beef.”、“I am chicken.”、“I am a chicken.”と言ってしまうと、「私は牛肉です。」、「私は鶏肉です。」、「私はニワトリです。」(つまり、人間ではない。)という意味になるので、ますますお笑いネタになってしまいます。)
これらの単語を間違えて使うと、かなりの確率で相手に誤解をされてしまうことになります。
仮に正しく理解してくれたとしてもまわりにいるネイティヴスピーカーがクスクスと笑い出すかもしれませんので、恥をかかないためにもぜひ覚えて欲しいです。
今回の資料は弥富さんや英会話教室の生徒さん達に見せてみたいと思っていますが、あえて久矢君には見せないつもりです。
そして彼が間違えたら、ぜひともお笑いネタとして突っ込んでみたいです(笑)。
今回は以上です。それではみなさん、See you.