否定疑問文
日本語、英語にも否定疑問文というものが存在します。
日本語では「そう思いませんか?」とか「この部屋、タバコのにおいがしませんか?」と言いますね。
英語では“Don't you think so?”や“Isn't this room smoky?”と言います。
ここまではいいんですが、この質問に答える時、yesとnoは日本語と英語で意味が逆転するため、苦労する人は多いと思います。
(作者も答えに迷って、少しタイムラグが生じてしまうことがあります。)
この否定疑問文で逆の答えを言ってしまい、相手を混乱させてしまうことはよくあると思います。
私が久矢君とレッスンをした時も、次のようなやりとりがありました。
例文
私: “Isn't this room smoky?”
(この部屋、タバコのにおいがしない?)
久矢: “Yes, it's not smoky.”
(「はい、においません。」と言ったつもり。)
私: “What?”
(えっ?)
この場合、久矢君は“No, it's not smoky.”と言うべきでした。
実を言うと、このような間違いは私も過去に経験しましたし、厄介なのは私にも分かります。
久矢君もこのようなことに悩まされた一人で、レッスンの後、私にこんなことを言ってきました。
「サキ、この否定疑問文なんだけど、何回やっても間違えるんだ。何とかならないかな?」
「そうねえ。私としては間違えながら慣れていくのが一番の方法だと思うんだけれど。」
「ええっ?まじかよ。否定疑問文って、何でこんなにややこしいんだろ。あと、数字の桁もやっかいだし。」
「それは日本語を外国語として学んでいる人達も同じよ。彼らだって壁にぶつかりながら覚えているんだから。」
「そう言われてもなあ…。そもそもサキはどうして僕に対して度々否定疑問文を使ってくるんだよ?通常の疑問文でいいのに。」
「私だって初心者の人には使わないように気をつけているわよ。でも久矢君のように日常会話ができる人と話す場合、通常の疑問文よりも感情や不満を込めたい場合には、積極的に否定疑問文を使うことにしているの。」
「感情や不満?」
「そう。レッスン中に私が言った“Isn't this room smoky?”という表現で例えてみると、タバコが嫌いな人が部屋に入った途端、煙いことを敏感に察知してちょっと感情的になったという感じになるわね。」
「なるほど。英語ではそんな意味になるのか。知らなかった。」
「この考え方は日本語でも通じているわよ。例えば『今日中にレポートを書き終えられますか?』と言うよりも『今日中にレポートを書き終えられないんですか?』と言った方が、感情的でかつ、または相手に不満をぶつけているという感じになるでしょ?」
「ああ、そうか。」
「というわけで、久矢君に対してはこれからも否定疑問文を有効に使っていくつもりだから、頑張ってね。」
「そんなあ…。」
というわけで、否定疑問文は、感情や不満を込めて問いかける時によく使う表現です。
とはいえ、ちょっと難しい表現ですが、どうすれば間違えずにすむのか、私は自分なりに色々と考えました。
その結果、否定疑問文を肯定疑問文に直して考えるという手段を思いつきました。
こうすればyesとnoが元通りの意味になります。
例文
私: “Isn't this room smoky?”
(これをIs this room smoky?に置き換える。)
久矢: “No, it's not smoky.”
(においません。)
早速これを久矢君に教えてみましたが、それでも簡単ではないようで、結局yesとnoを逆に考えるクセが抜けませんでした(汗)。
やっぱり慣れが必要みたいですね。
次の対策として、私は例文をたくさん用意して久矢君に見せ、回答してもらうことにしました。
内容は次の通りです。
なお、否定疑問文は必ずしもyes、noで答える必要はないので、疑問文の一部をそのまま使って答えるというやり方でもOKと彼には伝えました。
例文
①Hey, didn't anyone smoke in this room?
(ちょっと、誰かこの部屋でタバコ吸わなかった?)
②Oh, Isn't he left-handed?
(えっ?彼、左利きじゃないの?)
③Isn't it raining outside?
(外は雨が降っているの?)
④Don't you feel like eating sushi?
(おすしを食べたい気分なの?)
⑤Couldn't you decide it quickly?
(早く決められないの?)
⑥Can't she stop drinking so much alcohol?
(彼女はそんなにたくさんのアルコール(お酒)を飲むことをやめられないの?)
これらの質問に対する、彼の回答は次の通りでした。
①Yes. I guess someone did.
(いいえ。誰か吸ったみたいですね。)
②He's left-handed.
(彼は左利きですよ。)
③It's raining outside.
(降っていますよ。)
④Yeah, I'd like to, actually.
(うん、実はぜひ食べたいんです。)
⑤Sorry, I couldn't. Just a moment, please.
(ごめんなさい、決められません。ちょっと待ってください。)
⑥No, she can't
(はい、やめられないですね。)
6つの質問のうち、yes、noを使って答えたのは2つでした。
答としては合っていますが、やっぱり彼には苦手な文法のようです。
でもテストではないので、意味さえ正しく伝わればOKということにしました。
この否定疑問文は会話で慣れるまではあまり意識せずに、文章で答えるなどのやり方でも大丈夫です。
皆さんも少しずつ慣れていってくださいね。
というわけで、今回は以上です。それでは皆さん、See you.