前置詞for
先日、私は久矢君からこのような質問を受けました。
「あのさ、サキ。ちょっと質問があるんだけれど、今、時間大丈夫?」
「うん、大丈夫よ。どんな質問?」
「あの、前置詞のforを使った文章なんだけれど、どう訳せばいいのか分からなくて。ちょっと訳してくれないかな?」
彼はそう言うと、その文章が書いてある紙を私に見せてくれました。
その紙には“It's warm for a winter day.”と書いてありました。
「これ、『冬の日のために暖かいです。』だと変だし、何て訳せばいいの?」
「なるほどね。まずヒントを言うけれど、このforは『~のために』ではなく、違う訳し方をするわよ。どう訳せばいいと思う?」
「ええっと…。分かんないや。もっとも、分かんないから聞いたわけだし。」
「あらそう。できることなら考えて欲しかったけれど、答えを言ってもいい?」
「うん、頼む。」
「ずばり『冬の日としては暖かいです。』が正解よ。このforは『~の中では』、『~としては』、『~の割には』と訳すの。」
「えっ?そんな訳し方をするの?」
「うん。forは実際のところ、色々な意味を持っている単語なの。」
というわけで、今回は前置詞forについて取り上げてみたいと思います。
この単語は、よく知られている意味として「~のために」、「~のための」、「~の間」があります。
例文
・What Can I do for you?
(あなたのために何ができますか?)
・This product is for that person.
(この商品はあの人のためのものです。)
・She has stayed in the hospital for three months.
(彼女は3ヶ月の間入院している。)
英英辞典を調べてみると、この単語は他にも色々な意味があります。
その中で、私は3つを選んでパソコンに文章を書き、印刷して久矢君に渡すことにしました。
書いた文章は次の通りです。
1)~の中では、~としては、~の割には
forの前に形容詞を持ってきて、後ろに何かのカテゴリーを表す名詞を持ってくると(要するに形容詞A for 名詞B)、「Bの中ではAだ」、「BとしてはAだ」、「Bの割にはAだ」という意味になります。
例文
・Gold is heavy for metal.
(金は金属の中で重い。)
・For a five star hotel, it's not gorgeous.
(五つ星ホテルとしては豪華ではありません。)
・He is strong for a senior citizen.
(彼は老人の割には強いです。)
forの前は名詞が来ることもあります。
例文
・Singapole has lots of people for a small country.
(シンガポールは小さい国の中ではたくさんの人がいます。)
2)~に賛成して
この場合は、ちょうどagainst(~に反対して)の反対の意味になります。
もちろんagree withと言ってもいいけれど、forを使えばさらに短くなるので、便利な表現ですよ。
例文
A: I'm for 8% of consumption tax. How about you?
(私は消費税8%に賛成です。あなたはどうですか?)
B: I'm against it.
(私は反対です。)
3)単語の意味について問いかける時
これはいきなり例文を書いてしまいます。
例文
A: What's the “V” for UV?
(UVの「V」って何ですか?
B: It means “violet”.
(violet(紫)ですよ。)
※ちなみにUVはultra violetの略で、意味は「紫外線」です。
A: What's the English word for “Hashi(箸)”?
(「箸」の英語は何ですか?→「箸」を英語で何と言いますか?)
B: It's “chopsticks”.
(chopsticksです。)
※もちろん、“What do you say “Hashi” in English?”でもOKです。
この文章を読んだ久矢君は
「へえ、forにはこんな意味があったんだ。全然知らなかった。」
と言っていました。
でも早速自分で例文を作って私に確認をお願いするなど、勉強熱心な一面を見せてくれました。
前置詞forをこのように訳す機会は「~のために」、「~のための」、「~の間」と比べて少なく、学校で学ばないことも多いので、知らないのも無理はないかもしれません。
英会話でもかなり上のレベルで習う表現ですが、知っていればきっとどこかで使う表現だと思いますよ。
というわけで、今回は以上です。それではみなさん、See you.