表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/85

1月~12月の由来

今回は「曜日の由来」の続きで、私が弥富さんと会って話をした時のエピソードです。

彼女は、日曜日から土曜日の名前の由来に関する質問に続いて、今度は

「あの、ついでに何ですが、1月から12月までの名前の由来も教えていただけますでしょうか?よく言われていることですが、OctoberのOctoは数字の8を意味するのに、実際は10月ですし、この理由についても知りたいのですが。」

という質問をしてきました。

そういうわけで、今回は1月~12月の名前の由来について解説をしていきます。


「いきなりちょっと驚くかもしれないけれど、実は昔のローマでは、1年は今の3月から始まり、12月に終わるということになっていたの。」

「ええっ!?それじゃ、1年は10ヶ月だったんですか!?」(←予想通り、結構驚いています。)

「そうよ。その場合、10月は何番目の月になるかしら?」

「ええっと…。1月と2月がないので、2を引くことになるから…、あっ、8番目になるわね。」

「そのとおり。だから、8番目の月という意味でOctoberとなったの。」

「分かりました。じゃあ、9月を表すSeptemberは「7番目の月」という意味なんですか?」

「そうよ。数字の7はSeptem、8はOcto、9はNovem、10はDecemなの。だからこれらにberをつけた4つは、まさしく7番目の月~10番目の月、今の9月から12月という意味になるわね。」

「じゃあ、1月から8月までは何に由来しているんですか?」

弥富さんは次から次へと疑問がわいてきたようで、段々質問攻めのような状況になってきました。

私は持っている知識や、スマートフォンで検索して得た情報をもとに、彼女に色々と説明しました。



先述の通り、古代ローマでは1月と2月がなく、1年は今の3月から12月までの10ヶ月で構成されていました。

そこに名前をつける時、最初の4ヶ月には神様の名前を、残りの6ヶ月には「~番目の月」という意味になるように数字を当てはめました。

その結果、月の名前は次のようになりました。


3月 … Martius(戦の神、Marsに由来)

4月 … Aprilis(諸説がありますが、美の神Aphroditeに由来すると言われています。)

5月 … Maius(春の女神、Maiaに由来。ただし、諸説もあります。)

6月 … Junius(女神、Junoに由来。ただし、諸説もあります。)

7月 … Quintilis(5番目の月という意味。)

8月 … Sextilis(6番目の月という意味。)


ここまで説明したところ、弥富さんからは

「3月から6月まではこれで何とか納得できますけれど、7月と8月が今と全然違うんですね。どうしてなんですか?」

という質問をもらいました。

確かに上記の名前だとそうなってしまいますね。その理由を一言で説明するのは難しいので、順番に一つ一つ説明することにしました。


古代ローマでは、このような形で月の名前が決まりましたが、その時の1年は大体300日あまりしかなかったので、年を追うごとに季節が段々ずれてしまうという問題を抱えていました。

その後、そのずれを解消するために2ヶ月を追加し、1年を12ヶ月にすることを決定しました。

それが、これまで1年の始まりとなっていたMartiusの前に追加されたため、Quintilis、Sextilis、September、October、November、Decemberは2ヶ月後ろにずれてしまい、本来の数字と実際の数字が合わなくなってしまったわけです。

ちなみに追加された1月と2月は次のように命名されました。


1月 … Januarius(始まりの神、Janusに由来)

2月 … Februarius(浄化の神、Februa(Februus)に由来。)


「弥富さん、これで1月~12月の名前に関する謎もだいぶ解けたのではないかしら?」

「はい。でもまだ7月と8月の謎が解けていないのですが。」

「それは今から解説するわね。」


というわけで、今から7月と8月の由来について解説します。

上記のような形で1年が12ヶ月となり、各月の名前も決まりました。

しかし、それでも1年の日数は355日で、実際の地球の公転周期(365日5時間48分)には届いておらず、季節のずれは解消されませんでした。

その後、歴史上で非常に有名な人物であるJulius Caesar(ユリウス=カエサル、英語名:ジュリアス=シーザー)がエジプトに遠征した時、太陽暦を学び、これをローマに持ち帰って、1年を365日、うるう年の時は366日と紹介しました。

シーザーはこの365日を12の月にどのように振り分けるかについてもかかわった人で、奇数の月を31日まで、偶数の月を30日までと定めました。

ただ、そうすると1年が366日(31日×6 + 30日×6 = 366日)になってしまい、うるう年の時しか当てはまらなくなってしまいます。

そこで平年の時は2月の日数を1日減らして29日までにしました。

この改革によって、それまで人々を悩ませていた季節のずれは見事に解消されました。

そして、当時のローマ議会(元老院)は、そのシーザーの功績を称え、彼の誕生月である7月を彼の名前を取ってJuliusという名前に変更しました。

(※ただし、シーザーが制定した暦は必ず4年に1度うるう年になるので、地球の公転周期が365日6時間0分でないといけなくなります。実際の周期は上記の通り365日5時間48分なので、どこかでうるう年の規則性に例外を作る必要が生じました。その結果、西暦1700年、1800年、1900年、2100年がうるう年にならないように改められました。)


「そうなんだ。7月のJulyってジュリアス=シーザーの名前に由来していたんですね。すごーい。」

「そうよ。すごくドラマチックなエピソードでしょう。」

「はい。それじゃ、8月のAugustも人の名前なんですか?」

「するどいわね。まさにその通りよ。ローマ帝国の初代皇帝となったAugustus (アウグストゥス)という人が、シーザーに対抗するような形で、8月を自分の名前にちなんだAugustusに変更したの。」

「あらら…。そういう行為ってやっぱり起こってしまうもんなんですね。」

「まあ、このような前例ができてしまうと、自分もやってみたくなるのが人間の性でしょうからね。ちなみにアウグストゥスは、自分の月がシーザーの月よりも1日少ないことを嫌がって、2月を28日までにし、その1日を8月に持ってきて31日までにし、Julyと同じ日数にしたの。彼はさらに、9月以降の奇数の月を30日まで、偶数の月を31日までに変更した人でもあるわよ。」

「なるほど。そのようにして最終的な今の月の名前と日数が定まったわけですね。」

「結果的にはそうなるけれど、歴史上ではその後もシーザーとアウグストゥスに便乗して、自分の名前を月の名前にした人はいたわよ。」

「ええっ?ずるい、それ。誰がいたんですか?」

「知名度のある人で言えば、悪名高い皇帝として知られるネロがいるわね。でも、後に全て元の名前に戻されてしまい、人の名前に由来する月は7月と8月だけになったの。」

「なるほどね。」

「弥富さん、説明としては以上でよろしいかしら。」

「はい、十分です。よく分かりました。ありがとうございます!」



というわけで、英語の1月から6月は神様の名前、7月と8月は人の名前、9月から12月は数字に由来しています。

弥富さんに以上のことを説明していたら、すっかり時間が過ぎてしまい、その後はあまり話すこともできないままバイバイをするハメになってしまいました。

でも、彼女の嬉しそうな表情を見ると、教えてよかったと思いましたし、私としても嬉しかったです。


というわけで、今回は以上です。それではみなさん、See you.


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ