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深刻、大げさな意味に解釈される表現(1)

今回は、タイトルにもあるとおり、英語では深刻な意味に取られてしまう表現を取り上げてみることにします。

昨日、私が久矢君とレッスンをしていた時、彼は次のようなことを言っていました。

“I couldn't win the race the other day. I want to revenge this time.”

(先日僕はそのレースに勝てなかった。だから今度はリベンジをしたい。…と言っているつもり。)

私はその場では気にすることはせず、そのままレッスンを続けました。

このレッスン終了後の食事休憩(meal break)の時間を利用して、私はパソコンで資料を作ることにしました。

資料が仕上がると、私は休憩時間が終わる前に印刷して、別室で自習をしている久矢君に会いました。


「久矢君、ちょっと今日のレッスンのことで復習をしたいんだけれど、時間あるかしら?」

「いいけれど、サキは休憩中だろ?」

「まあ、そうなんだけれど、手早く説明するから、大丈夫よ。」

「サキがそう言うなら、それでいいよ。で、今日は何?」

「今日はrevengeという単語についてよ。」


私はそう言って、資料を見せました。



「リベンジ」という言葉が流行語になって以来、この単語は「借りを返す」、「過去の失敗を取り返すためにもう一度やってみる」という意味で定着しました。

今のこのご時勢だったら、日本語として使っている限り、問題ないですが、英語圏の人には通用しないと思います。

というのも、この単語は英英辞典では

“something that you do to punish somebody who has hurt you or made you suffer”

(あなたを傷つけたり、苦しめた人を罰するためにあなたがすること)

と書いてあります。

つまり、ただ借りを返すというわけではなく、今まで苦しめられてきたことや恨みに対する復讐を意味するので、日本語のリベンジよりもずっと深刻な意味になってしまいます。

現に、英和辞典でも「復讐、報復、仕返し」というようなことが書いてあります。

借りを返すという意味の正しい英語は“repay the debt”です。

この表現は借金を返すという意味でも使えます。

また、一度失敗した物事にもう一回やってみる場合は、“try(またはdo)~ once again”、または“retry”と言うべきでしょう。


例文

・I'll have to take revenge on him because my girlfriend was killed.

(僕はガールフレンドを殺されたので、彼に復讐しなければならない。)

(※revengeは大抵名詞として使われるので、動詞として使いたい場合は、“take revenge on”という形が好まれます。)



これを見た時の久矢君の反応は次の通りでした。

「げっ!リベンジってそういうことだったのか。こないだ外国人の人に間違った意味でこの単語を使っちゃったよ。」

「あら?そうなの?」

「うん。まずいなあ…。相手の人はどう思ったんだろう…。謝った方がいいのかなあ…。」

「久矢君はノンネイティヴスピーカーだし、相手も配慮してくれるでしょうから、1回言ったくらいでは大したいことにはならないと思うわよ。」

「ならいいけど。とにかく使い方を間違えないように気をつけよおっと。」


というわけで、英語のrevengeは日本語のリベンジと比べてかなり深刻な意味になってしまいます。

問題集やクイズで不正解になったり、スポーツの試合に負けて借りを返したい時に、この単語を使わないように気をつけてくださいね。


その日、私は仕事を終えて自分の部屋に戻ると、この作品のために、他の単語についても調べて文章にしてみることにことにしました。



1)liar

英英辞典では

“a person who tells lies”

(うそを言う人)

と書いてあります。

これだけでは日本語の「うそつき」と何ら変わりないように見えるでしょう。

でも、英語圏ではうそをつくことはやってはいけない、卑劣な行為(つまりtaboo)と教えられることが多いので、実際は日本語の「うそつき」よりもずっとネガティヴな意味になります。

もし相手にうそをつかれた時に、軽い気持ちで“You're a liar.”と言ってしまうと、かなりの侮辱の意味になってしまう可能性が高いです。

仮に1回言っただけなら相手は容赦をしてくれるかもしれませんが、何度も言ってしまうとさすがに深く傷つけてしまいますし、せっかく築いた仲を崩壊させてしまうかもしれません。

もし相手がうそをついていて、それをできるだけやんわりと指摘したい時には

“I hope you're more honest.”

“I'd like you to be more honest.”

(もっと正直な人になってよ。)

が適切です。

また、親しい仲での会話で、簡単に水に流してしまいたい時には

“Oh, come on!”

(なによ、もう!)

“Oh, dear.”

(まいったなあ。)

という感じで、さっさと済ませてしまう方がいいでしょう。


私は過去に、映画で“You lied to me?”(うそついていたの?)と言うのを聞いたことがあります。

これは自分が興奮していたり、カッとなっている時に言ってしまう表現だけれど、冷静さを保っている時にはこれも言わない方がいいと思います。



2)loser

日本語では「敗者」と解釈されるけれど、この単語には侮辱の意味があるので、相手には深刻な意味に取られかねない単語です。

くれぐれも負けた相手には直接“You're a loser.”と言わないようにしましょう。

また、自分が負けた時に“I'm a loser.”と言っても、相手には自虐的な言い方に取られて、良くない印象を受けてしまう可能性があります。

結果的に言えば、人前ではこの単語を使わない方が身のためです。

私の経験では、英語では負けてしまった相手に

“You're an underdog.”

と言っているのを聞いたことがあります。

“underdog”という単語は、英和辞典で調べると「負け犬、敗北者」と書いてあるので、日本語的に考えるとこちらの方が侮辱っぽい感じがしてしまいます。

一方、英英辞典では

“a person who is in a weak position and is expected to lose a competition”

(弱い方の立場にいて、競争で負けると予想される人)

と書いてあります。

私の経験では、負けてしまった人や、劣勢の立場にいる人、さらには弱い方を応援する人という意味合いで使っているのを聞いたことがあります。

人によって解釈の違いはあるかもしれませんが、私の考えではloserよりはunderdogの方がまだ安全な単語のような気がします。

でも、この表現もあまり人前で乱用はしない方がいいと思いますよ。



3)die

「死ぬ」は英語に訳すとdieなのは知っていると思います。

ただ、この単語は直接的な言い方で、ただでさえ傷ついている人をさらに傷つける言い方になってしまうので、身近な存在の人(知り合いや親族など)には使わないでください。

もし使うと、深刻な意味に取られて相手に怒られてしまうことがありますよ。

(※作者も英会話で実際に注意を受けたことがあります。)

日本語では死ぬの別の言い方として、「お亡くなりになる」という言い方があるように、英語にも“pass away”という言い方があります。

ですから相手に配慮が必要な場合には、ぜひこの単語を使うようにお願いします。

例文

“I'm sorry to hear that your grandfather passed away last week.”

(あなたの祖父がお亡くなりになられたことを聞いて残念に思います。)



今回は、日本語ではあまり大した意味には解釈されないけれど、英語では大げさな意味、深刻な意味になるので、注意して使わないと大きな誤解を招いてしまうものを挙げてみました。

次回もこのような表現を挙げてみたいと思います。

というわけで、本日のレッスンは以上になります。それではみなさん、See you.


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