be動詞+動詞の過去分詞
今回は弥富さんと直接お会いした時のエピソードです。
「咲先生、私、邦楽の曲の歌詞に使われている英語で疑問に思ったことがあるんですけれど、質問してもいいですか?」
「いいですよ。どのような質問ですか?」
「歌詞の中で“You're gone.”といったような表現を見かけることがあるのですが、これっておかしくないですか?現在形の文章なのに日本語に直すと『あなたは行ってしまった。』と過去形ですし、それにbe動詞+動詞の過去分詞なので、これだと受け身になるはずですし。」
「するどいわね。しかも両方とも気付くなんて、さすがね。」
「あ、ありがとうございます。でもなぜこうなるのか不思議なんですけれど、教えてくれますか?」
「分かりました。少しお時間よろしいですか?」
「はい、大丈夫です。お願いします。」
※普段はここから文章形式でまとめることが多いのですが、今回は会話形式で進行していくことにします。
「実はこのbe動詞+動詞の過去分詞という形は、昔の英語の名残という形で今も使われていて、文章こそ現在形だけれど、実際は動作がすでに完了したことを意味しているの。」
「昔の英語の名残ですか。昔の英語は今と随分違っていたんですね。」
「そうなるわね。昔は二人称単数としてthou(発音はザウ)という単語が使われていたし。」
「ええっ?youじゃなかったんですか?」
「そう。youは元々二人称複数の意味しかなかったの。そして長い年月が流れるうちにthouに代わる形で、単数の意味も持つようになった単語なの。」
「それは意外でした。それで、話を戻しますけれど、be動詞+動詞の過去分詞の時って、goしか使えないんでしょうか?」
「他にもdoやcome、finishで見ることができるわよ。今から例文を書いていくわね。」
(そう言って、私は紙とシャープペンシル(英語ではmechanical pencil)を取り出しました。)
・Sausages are done.(ソーセージが焼けましたよ。)
・I'm done for today.(今日の仕事は終わりました。)
・Autumn is come.(秋が来ました。)
・This project is finished.(このプロジェクトはつぶれてしまった。)
「このような使い方ができるわよ。」
「そうなんですね。分かりました。参考にさせていただきます。」
「それからfinishなんだけれど、be動詞+finishedという形で使うと、会社がつぶれた時や、物事の一巻の終わりみたいな、深刻な意味になってしまうことが多いの。上記のThis project is finished.だとプロジェクトが水の泡になってしまったと解釈されるわよ。」
「えっ?プロジェクトが無事に終了したという意味にはならないんですか?」
「その場合だったら“We finished this project.”と言うべきでしょうね。ちなみに“We are finished.”と言った場合なら、『(今日の仕事、レッスンは)終わりました。』という意味にもなるわ。ただし文脈によっては『私達はもうおしまいね。』という意味にもなるので、使う時には注意してね。」
「はい、分かりました。」
「どう?私の説明、役に立ったかしら?」
「はい、とても。ありがとうございます。これからも質問があればお願いします。」
「いいわよ。いつでもお待ちしています。というわけで、今回はbe動詞+動詞の過去分詞という形について解説しました。それでは皆さん、See you.」
「先生、誰に向かって言っているんですか?」
「あら、いけない。いつものクセでこう言ってしまったわね。」
「というわけで、みなさん、See you.」
「弥富さん、それ私のセリフ!」
…というわけで、今回は以上です。それでは皆さん、See you(苦笑).