間違えやすい表現(2)
今回も前回に引き続いて、間違えやすい表現を3つ挙げてみたいと思います。
特に今回挙げたものは間違える確率の非常に高いものです。
私達が日本語で理解している意味で使ってしまうと、レッスンで誤解されたり、注意されたりすると思うので、これを機会にぜひ正しく理解しておきましょう。
1)tension
日本語での会話では、「興奮した状態、モチベーション」という意味で「テンション」という言葉をよく聞きます。
私は日本語で会話している時には全く気にしません。
でも英語のレッスンをしている時、生徒の人がこの単語を使ってきた場合、私は“This word is Japanese-English.”と言っています。
ずばり、日本人が使っている「テンション」は和製英語で、英和辞典には「緊張、緊迫、電圧」と書いてあります。
ですから、英語でhigh tensionと言った場合、「高い緊張状態の、高電圧の」という意味になってしまいます。
「彼女はテンションが高い。」を英語にする場合、その人が元からそういう性格の持ち主であれば
“She is excitable.”
その時たまたま興奮している状態であれば
“She is excited.”
「テンションが上がる。」というのであれば
“It raises one's motivation.”
と言うのが妥当なところでしょう。
テンションが下がる場合には、raiseをlowerに変えればOKです。
(ただ、日本語のテンションと100%意味が合致するとは限らないので、多少は意味合いがずれるかもしれません。)
英語のtensionという単語の使用例としては次のようなものがあります。
例文
・The conflict grew tensions between two countries.
(その衝突によって2つの国の緊張状態がひどくなった。)
・We're feeling a tension because we hear something weird.
(何か奇妙な声が聞こえるので、緊迫している。)
ただ、英語で実際にtensionという単語を使うことは少ないと思いますけれどね。
2)renew
私達は建物を改装することを「リニューアルする」、改装後に再度開店することを「リニューアルオープン」と言っています。
また街中で、看板に英語で“Renewal Open”と書いてあるのを見たことがある人は多いと思います。
でも実は私達、リニューアルという単語を本来の英語とは違う使い方をしているということをご存知でしょうか?
このrenewalという単語の動詞形はrenewで、英英辞典では
“to give new strength or energy”
(新しい強さや新しいエネルギーを与える)
“to start something again”
(何かを再び始める)
“to make something valid for a further period of time”
(有効期間を伸ばす)
と書いてあります。
この単語の使用例としては
・I wish the two countries could renew the friendship once again.
(その2つの国がもう一度友好関係を築くことができたらいいのに。)
・I have to renew my driver's license as soon as possible.
(私はできるだけ早く自分の運転免許証を更新しなければならない。)
があります。
日本語の「リニューアルする」にふさわしい英単語は、ずばり“renovate”です。
この単語は英英辞典では
“to repair an old building and put it back into good condition”
(古い建物を修理し、よい状況に戻す)
と書いてあるので、確かにこちらの方が合っていることがお分かりいただけるでしょう。
ちなみに名詞形は“renovation”で、
・This building is in need of renovation.
(この建物はリニューアルする必要がある。)
・This store has been closed for renovation for a while.
(この店はリニューアルのため、しばらくの間閉店しています。)
という形で使われます。
もし「リニューアルオープン」というように、「オープン」の意味まで含ませたい場合には“reopen”という単語がふさわしいです。
renovate、reopenの使用例としては次のようなものがあります。
・How do we renovate the building?
(どうやってその建物をリニューアルしますか?)
・That store will reopen at the end of this year.
(あの店は年末にリニューアルオープンします。)
3)名詞+free
ある日、私は“Is it okay if I~?”(~してもよろしいですか?)というキーワードでレッスンをしました。
その時、次のようなやり取りがありました。
生徒:Is it okay if I smoke here?
(ここでタバコを吸ってもいいですか?)
私:Sorry, this room is smoke-free.
(すみません、この部屋はスモークフリーなんです。)
生徒:You mean, I can smoke freely?
(つまり自由にタバコを吸っていいということですか?)
この生徒さんはsmoke-freeという単語を全く逆の意味に解釈してしまったようです。
ずばり、smoke-freeとは「禁煙」という意味です。
(もちろん、Non-smoking.でも通じますが、smoke-freeの方がやわらかい言い方になります。)
もう少し詳しく説明すると、名詞の後にハイフンを挟んでfreeという単語が来た場合、「~のない」という意味になります。
日本語でもドゥーティーフリー(duty-free、免税)と言っているので、私達は知らず知らずのうちにfreeをこの意味で使っています。
でも、いざ会話となるとどうも「自由な」という意味に解釈してしまうケースが多いようです。
freeが「自由な」という意味になるのは名詞の前に来た時です。
・free conversation … 自由な会話
・free time … 自由時間
また、feel free to+動詞の原形で、「自由に~する」という意味になります。
ですから“Is it okay if I smoke here?”という質問を受けて、「どうぞ、ご自由に吸ってください。」と言う場合は
“Please feel free to smoke here.”
となります。
(ただし、実際にこんなこというのは非常にまれだと思いますけれどね。)
というわけで、今回は間違えやすい表現の中で、特に間違えやすいものを挙げてみました。
次回はあまり頻度こそ多くないものの、やはり間違えやすい表現について触れてみたいと思います。
ですから、久矢君、弥富さんにはもう1話、出番を我慢してもらうことになります。
それではみなさん、See you.