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星色  作者: 一路
4/7

〜4〜

2ヶ月経った今でも、彼は瑠璃に連絡することができないでいた。

忙しいわけではない。時間を作ろうとすればいくらでも作れる。

ただ瑠璃に会うのが怖かっただけだった。

しかし、今日こそは会って確かめようとしていた。あの現実を。

そして、

「もしもし?真一だけど、今大丈夫?」

「やっと連絡してくれたね。連絡してくれないから、私に会いたくないのかと思ってたよ。」

「それなりに時間ができてね。今からでよかったら会えるんだけど…きついかな?」

「平気だよ!じゃ場所は、私と初めて会ったあの店は?私あそこなら10分もあれば着けるんだけど。」

「わかった。10分じゃきついかもしれないけど、すぐ向かうよ。」

「なら先待ってるね。」

店に行く途中、彼はずっとあの現実が嘘である事を願っていた。

それしか考えられなかった。

そしてついに店の前まで来てしまった。

彼はひとつ息を吸い、ドアを開けた。

夕方ということもあり少し混んでいた。

中に入ったとたん彼の中にあらゆる人の感情が流れ込んできた。

それらを振り分け、彼女を探した。

だが見つからない。

感情が出ているところを見ても、彼女はいない。

不意に後ろから、

「真一君!」

彼は返事をすることができなかった。

そしてあたかもそこに、人がいないかのようなまなざしで彼女を見た。

不思議に思った瑠璃は、席を立ち、一歩近づいた。

だが真一は、一歩後ずさりした。

「どうしたの?」

「いや、なんでもない。」

そしてゆっくり近づき、席に着いた。

「久しぶりだね。」

「ああ。」

「具合でも悪いの?」

「ちょっと歩き疲れただけだよ。」

「あ〜運動不足でしょ!」

「少しね。」

必死で笑顔を作った。

「初めて会ったときから色々あってね、そうそう明日香が……」

会話が始まったものの、彼はずっと気になっていた。

彼女が何を思い話しているのか。

人間と話しているというよりか、物と話しているかの用だった。

話の内容を何一つ信用できず、必死で彼女を自分の中に入れないようにしていた。

「ねぇ、人の話し聞いてるの?」

「えっ、あ、うん。」

「もお!」

「ごめん。」

「今何考えてるか、当ててあげよっか?」

「え?」

「『私何考えてしゃべってるんだろ?』でしょ?」

何もかも見透かされてる感じがした。

「これでもカウンセラー目指してるんだから、人間の心理には強いんだよ!」

「よく見てるね。」

「戸惑うのは解るけど、話に集中してよね。あっ!ところでさ、なんで真一君はカウンセラーになろうとしたの?」

「何でだろうね。人と接しているほうが楽なのか、心の悩みを治してあげたいのか、まだよくわかんないや。君はどうしてなろうと思ったの?」

「何でだと思う?当ててみて!」

「ヒントは?」

「じゃぁ、1、幼少期の時、お世話になったからその憧れで。

2、友達が心に傷を負ってて、それを治そうとしたのがきっかけ。

3、私人の心が読めるの。だから役に立つかな、って思って。

さぁどれでしょうか?」

「…3番?」

「真一君って以外にロマンチストなんだね。おっと、そろそろ行かなくちゃ。」

「えっ答えは?」

「次回のお楽しみ。じゃまた連絡待ってます!」

「あっ、ちょっと!」

彼女は振り返りもせず去っていった。


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