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序・欠片
【 序・欠片 】
私は何も持たない。
――どこにいるの。
叫んでも返事は無い。
私は一つしか知らない。
――それが私そのもの。
以前はもっと知っていた気がする。
私は私になれない。
――私は誰。
あの瞬間の思いが全て。
終わらない残酷な世界で、私は祈った。
――全部壊れてしまえばいい。
彼らの世界に終焉を。
取り戻せば思い出せるかもしれない。
――返事ヲシテ、貴方ナンデショウ。
彼女が死んで、深淵に欠片が落ちてきた。
ここは真っ暗で、何も見えない。