第六話 【前途多難 いきなり囚われの身】
今回も面白くありません。
予め言っておきますが、次話もそのまた次話も面白くありません。
というか、この小説面白く―――うわやめろなにをするきさま
ただ一箇所でジャッ君が色々考えるだけです。
私達は人間ですから(笑)虫視点で分析されているものの正体が分かるかも・・・
あ、はい。それでは。
「さて・・・他島はいつまで経っても見当たらんねぇ・・・」
この独り言はもう五十回は繰り返されただろう。
まぁ、そう言いたくもなる。
何せ島を飛び出してから四十五分間、海。海。海。空。空。空状態なのだから。
退屈には相当慣れてはいたが、どうやらあの島の中だけでのことだったらしい。役立たずが。
それに、いざ飛んでみると案外荷物が重い。これは想定外だった。
ジャックは「何をどのくらい持って行けば足りるか」ということを重視して荷造りを行った。
移動中の自分にかかる負担など微塵も考えていなかったのだ。
今更ながら、自分の頭の悪さを呪った。早めに島に乗り上げないと疲労で死ぬ。戦争以前に死んだら笑い者・・・のレベルじゃない。
という訳で足に紐が食い込んで痛いわ、すれ違った鳥に突付かれて痛いわで道中散々な眼にあったジャックだったが、その日のうちに大陸に到着することができたのである。
浜辺に身を預けてそのまま眠ってしまったことは言うまでも無い。
本当に精根尽き果てた、といった顔で熟睡していた。
・・・・これが、悲運だった。
この島は当然ジャックが通る予定の決まっていた島だったのだが、流れ着いた場所が悪かった。
此処は――――――――人間の住む港町だったのだ。
ジャックが熟睡という形で疲れを癒した後、ゆっくり起き上がって視界に入ってきたのは、見慣れない緑色の棒が横に大量に並んでいる様だった。
ん?これはどっかで・・・もしかしたら・・・・
頭上を見上げると、予想通り、自分を囲うこの緑の棒と同じもので、屋根がこしらえてあった。
まず最初にやってきた考えは、「囚われの身」
その次は、「脱出不可能」
またまたその次は、「・・・終わり?」
「マジかよ・・・・」
間違いない。今自分はこの檻の中、脱出不可能の状況にいる。
囚われの身。マジか。旅始まったばっかだぜ?一日も経ってないんだぜ!?
これじゃ飢え死にか?情けなさ過ぎるだろォォ・・・
熟睡で疲労を取り払ったジャックに襲い掛かる「絶望」。
が、ここでパニクって恐怖したところで状況が好転する筈も無い。まずは・・・冷静に。
「とは言っても、旅始まっていきなり眠って捕まるとか、俺馬鹿だろ」
自嘲的に笑いながら、慣れた独り言を見知らぬ地で呟いた。
流石に浅はかすぎた。殆どなんの危険も無い、と言っても過言じゃない場所で油断しっぱなしの生活を送ってきたジャック。睡魔が誘ってきたらすぐ寝入ってしまうという癖は早めに直さないと、これから先は生きていけなさそうだ。
そして、パニックになる前に冷静に彼らしく、今の状況を分析しだした。
まず、地面だ。
これは故郷の土じゃない。赤茶色やら焦げ茶、黒などが混じった土。
恐らく、何者かによって作られた土なのだろう。どんな効果を秘めているのか知らないが、何か特殊な作用がある筈だ。でなければ態々こんなものを作る必要などない。普通の土を敷き詰めればいい話なのだから。
改めてそこをちょっと歩いてみると――――極端に柔らかい。
一歩ごとに体がちょっと沈む感じだ。足に力を入れてないのにかなり下にまで潜って行く。
更に人工のものだという可能性が高まった。ここまで柔らかい土は流石に常識はずれだろう。
故郷の土しか踏んでいなかった井の中の蛙でも、この差は大きすぎる。当然の判断。
触覚を地面に走らせて見ると、僅かに葉っぱの匂いがした。
何か異色の匂いだったが。故郷で散々嗅いできたそれとはかなり違う。
しかし、確かにこれは葉っぱの香りだ。少々変わってるが。
その変わりようを言葉にするとしたら・・・・腐った葉っぱ?
まぁそれはいいとしよう。
次に、土の下がどうなってるか気になった。
験しに土を除けてその下を覗いてみた。
・・・・これは、檻の天井、壁と同じ質と色の棒だ。縦一方向だけに並んでいる。
更にその棒の下には少し土に塗れた凹凸の無いまった平らな乳白色。恐らくこれも何かの加工物。
「ふむふむ・・・・これは・・・間違いないな・・・」
壁――――――というより、緑の棒が並んだだけの柵の奥に見える世界。
それが、ジャックの疑いを確信に変えた。
そもそも俺をこんな檻に閉じ込められるほどの巨大な奴なのだろう。最初から見当はついていた。
『俺は、人間に捕まった』
檻の外の世界は、ジャックがこれまでに見てきた緑や茶色などの自然色では無く、透明やら何やらと、明らかに「塗られた」世界。そして、何もかも巨大、「拡大された」世界。そして、一番最後に―――ジャックが唇を噛んだ。
「人間!」
自分の故郷を襲いにきた人間達と、明らかに同種と思われる生命体がいたるところに居た。
両腕をブラブラ揺らしながら、どこか滑稽な動きで前進する。紛れも無い、人間だ。
激しい嫌悪感がジャックに吐き気を催した。喉元までやってきた胃液がすんでのところで放出されずに体内に留まる。
もう見ていられない。人間だなんて。人間だなんて。人間だなんて。
が、無理をしてでもジャックは人間の居る外界を見なければならない。
自分が脱出した時に此処からどうやってどういう風に、どちらに進むのがいいかを予め考えておかなければならないからだ。ジャックはビクビクしながらも再度視線を真っ直ぐ外界に向ける。
・・・不意に、視界に感じたことのない違和感が出現した。
周りの世界が何か妙に歪んでいる。そう見えた。また別の言い方をするならば・・・何かに「遮られている」感覚?
試しに棒の間から前足の一本を突き出し、外の世界に触れてみた。
が、そこにあるのは何の異変も無いただの大気のみ。強いて言えば臭いだけの。
「おかしい・・・やはり人間、何か特殊な壁でも・・・?」
更に体を引き伸ばし、腕を更に奥へ奥へと突き出してみる。
そして、今度こそ大気以外の何かに触れた。冷たい。そして、堅い。これは・・・?
―――――突然、轟音が響き渡り、不意をつかれた上に何がなんだか分からないジャックは、自分で自分を解明しようと踏ん張ってみるも、その場に倒れこんで気絶してしまった。檻から突き出した前足がズル・・・ズル・・・と檻内部へ戻っていき、やがて地面に伏した。
「・・何だって・・・んだ・・・・・・・・」
いつにもまして短いorz
そして言うことも無いorz